【連載】ボイトレの???(ハテナ)にこたえる 声と歌の小泉クリニック

小泉 誠司

ニューベリーサウンド

【ボイトレ】「歌っていて息苦しく感じる」の解消法教えます!/連載「ボイトレの???(ハテナ)にこたえる声と歌の小泉クリニック:第101回」

「息を吸って歌うクセ」の解消がポイント!

 前回、記念すべき第100号は……、

 多くの人が経験してるはずの「あれ? なんか今日気持ちよく声が出ない、息が続かない」の原因を解明しました。

 まさか「息を吸って歌っている」ことが原因だとは思わなかったと驚かれた方も多いと思います。

    

前回のおさらい:「息を吸いながらの発声・発音」を「自覚」する

 私が行なっているレッスンでも、「息を吸って歌っている」ことに最初は信じられないという方がほとんどなのですが、実際にレコーディングして録音された音声の波形を見て驚きつつも納得される方が多いです。

 下記参考動画では「大きな古時計」を「息を吐いて」、「息を吸って」で歌った波形データも掲載したので、納得された方も多いと思います。

参考動画:【謎解きボイトレ】

◎#1 息を吐いて「大きな古時計」を歌ったときの音声波形データ

◎#2 息を吸って「大きな古時計」を歌ったときの音声波形データ

 息を吸いながら発声や発音すると苦しいはずなのが、それを自覚することが少ないのが「改善できない大きな理由」との専門医の言葉。

 なので、「自覚」が最も即効性のある処方箋ということで、

 前回では
・引き笑い
・ハーモニカ(息を吸って鳴らすとき)
・息を吸いながら歌う

 ……など「息を吸う」ことで発声や発音する例を説明しました。

「息を吸いながら歌う」症状改善に効く処方箋

 今回は「自覚」に続く、「息を吸いながら歌う」症状改善に効く処方箋をお出ししたいと思います。

 ところで、歌に限らず「クセを取る」ことは、とても難しいことです。
 なので「普通に歌う」という練習を行なっていては「息を吸いながら歌う」という症状の改善は難しいのです。

 今回の場合、「歌ったらクセが出てしまう」ので、まずは「息を吐く」ことを身体に教え込むことが、クセから脱却するための第一歩となります。

 なぜなら声の動力は「息」、「息」があっての「声」だからです。
 そこで、「息の上に声を乗せてあげる」という意識を持つことが重要となります。

 具体的には「息を吐いてから途中で声に変換する」のです。では具体的に説明していきましょう。

①まず「フー」と息を強く吐いてください(ローソクの火を消すように)。
②「おはようございます」と言ってみてください。
③「お」を発音する代わりに、息を「フー」と吐いてから「はようございます」と言ってみてください。「フー(息)はようございます」と。

 ここで注意点です。
①「お」を発音する代わりの「フー」は、息でなければいけません。言葉の「ふ」ではダメです。これだと「お」と同じように息を吸って発音してしまう危険性が高くなります。

②「フー(息)はようございます」の「フー」と「はようございます」は繋げてください。「フー」と「はようございます」の間が空かないように。

◯「フーはようございます」
✗「フー」「はようございます」

「おはようございます」
 と
「フー(息)はようございます」
 を発声して比較してみてください。

「フー(息)はようございます」のほうが気持ちよく声が出て声量も大きくなるはずです。

 次は好きな曲を、フレーズの頭の音の代わりに「フー(息)」から始めて歌ってみましょう。下記の動画では実際に「涙そうそう」を例にとって、フレーズの頭の音の代わりに「フー(息)」から始めて歌っていますので参考にしてみてください。

【謎解きボイトレ】「歌っていて息苦しい」をやめたいなら「息を吸うながら歌う」のをやめればよい!

 ここでは、スマホのアプリで良いので、録音して比較してみることを強くお薦めします。リアルタイムではわかりにくい違いも、録音してみるとよくわかるはずなので。

 パソコンのDAWなどソフトウェアが使える人は、録音すると波形が残るので違いがさらにわかりやすいと思います。

 上記参考動画では、フレーズの頭の音の代わりに「フー(息)」から始めて歌う以外に、
・口笛から始めて歌う
・リコーダーを鳴らしてから歌う
 などの練習法も説明、実際にデモンストレーションを行なっていますので「フー(息)から始めて歌う」がうまくできない場合は「口笛」や「リコーダー」も試してみてください。

 これらの練習、最初は慣れないかもしれませんが、「普通に歌う」よりずっと「息を吸って歌うクセ」を解消してくれますので、ぜひ実践してみてください。


小泉誠司
撮影:ヨシダホヅミ

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小泉誠司のプロフィールページ、レッスン詳細などはこちら!
https://uta-school.jp/teacher/detail/8

2024年2月27日(火)にレッスン空き枠あります!

本コラムの執筆者

小泉 誠司

ニューベリーサウンド

小泉 誠司(コイズミ セイジ)

ボイストレーナー/作編曲家。米バークリー音楽大学卒。帰国後数々のアーティストの作編曲&プロデュースする一方、ボイストレーニング等新人育成にも力を注ぎ、数多くのアーティストをデビューさせた実績を持つ。

伝説のTVオーディション『ASAYAN』はじめ、数々のオーディションでレッスンや審査を行なうほか、機動戦士ガンダムの主題歌作曲も手がけるなど、多様なメディアで活躍。医療機関でのセミナーも多数、医学的見地に基づいた指導には著名アーティストや人気俳優&声優はじめ、セミナー講師、医師、弁護士など各方面からの信頼も厚い。テレビ東京『〇〇式って効くの?歌下手が3時間で…激変!?』など、TV出演や監修も多数。

著書に『ボイトレの“当たり前”は間違いだらけ!? すぐに歌がうまくなる「新常識」』(リットーミュージック)、『人生を変える「勝ち声」「負け声」 あなたを救う「声の法則」教えます ! 』(リットーミュージック)、『1分でいい声になる! 』(自由国民社 )などがある。

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