【連載】ボイトレの???(ハテナ)にこたえる 声と歌の小泉クリニック

小泉 誠司

ニューベリーサウンド

第14回:「万歳三唱」で運気も歌もアップさせよう!

前回までの処方箋……

「自然に肺に空気が入りやすくなる」
「自然に肺から空気が漏れていく」

今回も、これらにさらに「効くお薬」を処方させていただきます。

今回の「お薬」は「バンザイ呼吸法」です。
バンザイって? あの「万歳三唱」のバンザイ?
そうです。イラストの女の子がやっている、おめでたいときにする、あの「バンザイ」です。

「えっ? でも、バンザイと腹式呼吸とどういう関係が?」と思われる方は多いと思いますが、実は「バンザイこそが腹式呼吸の理想形」なのです。

第3回:「笑う者には、腹式呼吸来たる」では、「笑う」ことによって、「大腰筋→横隔膜→肺」の順に上がり、肺の中の息を押し出すことによって腹式呼吸がマスターできる。呼吸のシステムは注射器の構造とよく似ていて、ももを押し上げると最終的には肺の中の空気を押し上げてくれる……と、ご説明しました。

今回ご紹介する「バンザイ呼吸法」も、同じ効果を生み出せるのです。

笑う:肺を「下から」押し上げる
バンザイ:肺を「上から」引っ張り上げる

「笑う」、「バンザイ」は、上下どちらから攻めるかの違いだけで、肺を小さくして中の息を押し出す原理は同じなのです。

バンザイをしながらの呼吸は、

両手を上げるときに息を吐く→肺が小さくなるので出しやすい
両手を下げるときに息を吸う→肺が大きくなるので入りやすい

したがって、理想的な呼吸、すなわち理想的な腹式呼吸になっていると言えます。

イラスト:著作『人生を変える「勝ち声」「負け声」あなたを救う「声の法則」教えます』P134より。

それでは、具体的な練習方法をご説明していきましょう。

①「バンザイ、バンザイ、バンザイ」と万歳三唱をする

<注意点>
・できるだけ腕を上げる
・バンザイを言ったあと、素早く腕を下ろす

実はこの注意点は、いつも「バンザイ」をする際は無意識で行なっていること。なので本当は特別に意識する必要もないことです。

②「フー、フー、フー」と万歳三唱をするときと同じように3回息を「吐き&吸い」します
・両手を上げるときに息を吐く
・両手を下げるときに息を吸う

「バンザイ呼吸法」は、たったこれだけでOK。
「こんな簡単なことで腹式呼吸がマスターできるなんて信じられない! でも、毎日やっていると、どんどんラクに歌えるようになっていく!」と、多くの生徒さんから絶大の支持を受けているメソッドなのです。

でも、ここで「あれっ?」と思われる方もいらっしゃるのでは?

「深呼吸と逆かも?」と。

そうなんです。
「深呼吸」では……
・両手を上げるときに息を吸う
・両手を下げるときに息を吐く

……と「バンザイ呼吸法」と「息を吐く、吸う」が逆なのです。

「深呼吸」には「深呼吸」の目的があるのだと思いますが…
・両手を上げるときに息を吸う→肺が縮んでいこうとしているときに息を吸わなければいけない
・両手を下げるときに息を吐く→肺が膨らもうとしているときに息を吐かなければいけない

そう、「深呼吸」では、息を吸うこと、息を吐くことにおいては、とても「やりにくい」状態になっているのです。

私は「バンザイ呼吸法」を別名「真呼吸」と名付けています。
バンザイをするときに悩む人はいないはず、理にかなった自然な呼吸だからです。

まずは難しく考えず、毎日「バンザイ」と万歳三唱をしてみてください。
万歳三唱は縁起物、きっと運気上昇にも効果あり!
ぜひ毎日やってみてください。

本コラムの執筆者

小泉 誠司

ニューベリーサウンド

小泉 誠司(コイズミ セイジ)

ボイストレーナー/作編曲家。米バークリー音楽大学卒。帰国後数々のアーティストの作編曲&プロデュースする一方、ボイストレーニング等新人育成にも力を注ぎ、数多くのアーティストをデビューさせた実績を持つ。

伝説のTVオーディション『ASAYAN』はじめ、数々のオーディションでレッスンや審査を行なうほか、機動戦士ガンダムの主題歌作曲も手がけるなど、多様なメディアで活躍。医療機関でのセミナーも多数、医学的見地に基づいた指導には著名アーティストや人気俳優&声優はじめ、セミナー講師、医師、弁護士など各方面からの信頼も厚い。テレビ東京『〇〇式って効くの?歌下手が3時間で…激変!?』など、TV出演や監修も多数。

著書に『ボイトレの“当たり前”は間違いだらけ!? すぐに歌がうまくなる「新常識」』(リットーミュージック)、『人生を変える「勝ち声」「負け声」 あなたを救う「声の法則」教えます ! 』(リットーミュージック)、『1分でいい声になる! 』(自由国民社 )などがある。

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