【連載】ボイトレの???(ハテナ)にこたえる 声と歌の小泉クリニック

小泉 誠司

ニューベリーサウンド

【ボイトレ】レッスンに行き詰まりを感じている人に読んでほしい/連載「ボイトレの???(ハテナ)にこたえる声と歌の小泉クリニック:第92回」

2023.12.18

「難しい」は「言霊」となってしまう。

やってみたい! チャレンジしてみたい!という「ゲーム」感覚

 できないことをできるようにするために行なうのが「練習」、できないことができるようになるキッカケを掴むのが「レッスン」

 ボイストレーニングに限った話ではないと思います。

 そして「できないことをできるようにする」ことは「チャレンジ」と言えます。さらに言わせてもらえば「ゲーム」だと思います。

 なので「思うようにはいかない」のは当然と言えば当然のことです。にもかかわらず、うまくいかないとき、「難しい」を連発してはいないでしょうか?

 人間なので「難しい」と思うことは仕方ないのですが、それを言葉にしてしまうと、いわゆる「言霊」、ますますあなたを成功から遠ざけてしまいます。

 例えば、あなたがゲームが好きで、新しいゲームを買うときに、簡単にクリアできてしまうゲームは買わないと思います。簡単にできてしまうと、そのゲームを買うのに費やした時間とお金をもったいなく感じてしまうからです。
 難しそうだから、簡単にはクリアできそうではないから、やってみたい! チャレンジしてみたい!と「燃える」はずです。

「僕、できないと燃えるんです」というポジティブ思考

 では、歌はどうでしょう?

 思い通りにいかなかったときのあなたの思考は、果たしてゲームをしているときのような、ポジティブな思考になっているでしょうか?

「できなかったらどうしよう」
「できないかも」


 ……とネガティブな思考に陥りそうになってはいませんか? 事実、私が指導しているレッスンでも、そのような姿を見せる生徒さんを多く見ます。
 一方、うまくいかないと、ますますやる気を見せる生徒さんもいます。

 10年以上前にレッスンに通われていた生徒さんがまさにそんな人でした。思うようにできていないはずなのに、彼の顔はなぜかニコニコになっていくのです。

 不思議になって彼に聞くと「僕、できないと燃えるんです」と。

 実は彼は、高校生のときに甲子園出場の常連校の野球部に在籍、高校2年生のときに、すでに140km以上の速球を投げ、プロのスカウトも視察に来るくらい優れたピッチャーだったようです。

 彼からはいろいろ学びました。そしてそれをその後のレッスンに活かすようにしてきました。

「できないと燃える」
「練習がダメでも本番になるとできるんです」


 ……と、彼から出てくる言葉はすべてポジティブでした。そんなポジティブ思考だから、ピッチャーとしても成長できてきたのだと思いました。

 私のレッスンでは、すべてのメソッド、カリキュラムを私が模範を見せます。そのときの生徒さんの顔や姿で、その生徒さんが上達できる人かどうかがわかってしまいます。

 私が模範を見せている間……、

「早く私にもやらせてほしい」と目をキラキラさせる人
一方「やばい、できなかったらどうしよう」と不安そうな目をする人

 ……どちらのタイプも見てきました。

 先にも書きましたが、
「できないことができるようになる」キッカケを掴むのが「レッスン」。
「できないことができるようになるキッカケ」が目の前で行なわれているのです。

「先生」から「攻略法」を盗んで見つけ出そう

 家に帰ってしまうと、そのキッカケは忘れてしまう可能性大です。全神経を集中させて先生の模範を「盗む」べきなのです。

 でも、その集中を妨げてしまうのが
「できなかったらどうしよう」
 ……という「恐怖」なのです。

 何度も言いますが、ゲームをしているときには「恐怖」は存在しないはず。うまくいかないとき、「悔しさ」は感じても恐怖や落ち込んだりはしないはずなのです。

 歌の練習をしているとき、レッスンを受けているとき、それは「ゲーム中」なのです。

 思うようにいかないときは、「悔しい」と思いましょう。そしてゲームをしているときと同じように「攻略法」を探りましょう、

 声量、音程、高音、ニュアンス、ビブラート……こういった問題を「クリア」できている人がいるということは、必ず「攻略法」が存在するはず。

 その「攻略法」を見つけ出すのです。
「できないことができるようになる」キッカケを掴むのが「レッスン」。
 そして「攻略法」を目の前で見せて説明してくれるのが「先生」のはずです。

 どうしても自分では「攻略法」を見つけられないときは、先生に「攻略法」を聞いてみましょう。そして、「どうしてその攻略法に行き着いた」のかも聞いてみましょう。
 その先生の「思考」ごと盗むのです。

 そのためのレッスンです。
 そのための先生です。

 あなた自身の練習やレッスンへの取り組む思考を「ゲーム感覚」にしてしまうことを強くオススメします。

 そして、最後にもう一度。
 「難しい」と言ってはいけない。
 「難しい」と言わなくなると、あなたの思考の中の「難しい」も減ってきます。

 これができるようになると、思うようにいかなくて苦しんでいたのがウソのように結果が出てきます。

 ぜひ実践してみてください。


撮影:ヨシダホヅミ

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2023年12月19日(火)にレッスン空き枠あります!

本コラムの執筆者

小泉 誠司

ニューベリーサウンド

小泉 誠司(コイズミ セイジ)

ボイストレーナー/作編曲家。米バークリー音楽大学卒。帰国後数々のアーティストの作編曲&プロデュースする一方、ボイストレーニング等新人育成にも力を注ぎ、数多くのアーティストをデビューさせた実績を持つ。

伝説のTVオーディション『ASAYAN』はじめ、数々のオーディションでレッスンや審査を行なうほか、機動戦士ガンダムの主題歌作曲も手がけるなど、多様なメディアで活躍。医療機関でのセミナーも多数、医学的見地に基づいた指導には著名アーティストや人気俳優&声優はじめ、セミナー講師、医師、弁護士など各方面からの信頼も厚い。テレビ東京『〇〇式って効くの?歌下手が3時間で…激変!?』など、TV出演や監修も多数。

著書に『ボイトレの“当たり前”は間違いだらけ!? すぐに歌がうまくなる「新常識」』(リットーミュージック)、『人生を変える「勝ち声」「負け声」 あなたを救う「声の法則」教えます ! 』(リットーミュージック)、『1分でいい声になる! 』(自由国民社 )などがある。

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