【連載】ボイトレの???(ハテナ)にこたえる 声と歌の小泉クリニック

小泉 誠司

ニューベリーサウンド

第4回:いざ本番!日頃の「お笑い発声法」があなたを救う!

2022.04.4

前回までのおさらいです。
「腹式呼吸に必要なのは腹筋ではなく大腰筋」
「腹筋に力を入れる代わりに“笑おう!”」
「笑えば、大腰筋が動き腹筋は動けない」

詳しくは第3回「笑う者には腹式呼吸来る」をチェック!

今回は、大腰筋を活性化、ラクに腹式呼吸ができる「お笑い発声法」をご紹介したいと思います。

●お笑い発声法
女の子がイスに座って「ハハハハ」と笑っているイラストですが、これが「お笑い発声法」。めちゃくちゃシンプルです。

1:イスに腰掛ける。
2:左足を上げながら「ハハハハ」と笑う。
3:右足を上げながら「ハハハハ」と笑う。

【ヒント】
足を上げるタイミングと笑うタイミングを合わせましょう。

たったこれだけです。

これだけでは物足りないという方も多いでしょう。そんな方には「笑いをコントロールできるようになるためのゲーム」をお薦めします。

●笑いをコントロールできるようになるためのゲーム

<ゲーム1>
「ハハハハ」×4回(左右左右)
「ハハハ」×4回(左右左右)
「ハハ」×4回(左右左右)
「ハ」×4回(左右左右)

<ゲーム2>
「ハハハハ」(左)
「ハハハ」(右)
「ハハ」(左)
「ハ」(右)
で1セット×左右交互に4セット

このゲームは私の著書『人生を変える 勝ち声 負け声』にも掲載されており、その具体的な方法を説明している動画も公開されていますので、こちらをご参照ください。

どうですか?
普段無意識で笑っているときは簡単にできることが、意識して行なうと難しくなってしまいますよね。「歌うことの難しさ」の原因も、実はここにあります。

子供の頃なら大きな声で歌えていたのに、大人になると、そしてボイトレで歌い方を習うとなんだか難しくなってしまいがちです。

私は、いざ歌うときには、呼吸法や発声法は何も考えない、また考えられないものだと思っています。なので無意識で正しい呼吸法や発声法が本番でもできるように、普段の「反復練習」が重要だと生徒さんには指導しています。

スポーツや格闘技では当たり前のことで、何回も何回も理想の動きやフォームを身体に叩き込む、そのために必要な筋肉を鍛えまくるのです。

ただボイトレの場合、いわゆる「スポ根」はいりません。
その代わりに「笑って」ください。そして「お笑い発声法」を実践してみてください。そうすれば、正しい発声や呼吸に必要な筋肉が鍛えられるからです。

笑うことは発声の基本であり、高等テクニック、いわば高速でスタッカートを行なっているのと同じことなのです。そんな「笑い」に必要な筋肉が腹筋だと思っている人は多いと思いますが、笑うために必要な筋肉は大腰筋です。腹筋を使うと笑えなくなります。 

笑えなくなるということは発声もできなくなるということ。 腹筋を鍛える運動は発声に役立たないばかりか、腹筋に力を入れようとすることが「力み」に繋がってしまいます。

でも、自分が腹筋運動をやっているのか、大腰筋運動をやっているのかはわかりにくいと思いますので、次のふたつを判断の目安にしてください。

●お腹を奥に引っ込めようとする→腹筋運動になる。 
●お腹を引っ張り上げようとする→大腰筋運動になる。

お腹を引っ張り上げようとすると結果的にはお腹は引っ込むので、「お腹を引っ込める」ことと混同しがちですが、実はそれぞれ別の筋肉の動きになります。

まあ筋肉の話はさておき、「笑う」ことを強くお薦めします。せっかく自分の中に「正解」の発声法や呼吸法が存在しているのですから、それを有効利用しない手はないはずです。

次回は「笑うこと」、そして「お笑い発声法」を、より効果的に腹式呼吸に繋げるための方法をご紹介したいと思います。

お楽しみに。

本コラムの執筆者

小泉 誠司

ニューベリーサウンド

小泉 誠司(コイズミ セイジ)

ボイストレーナー/作編曲家。米バークリー音楽大学卒。帰国後数々のアーティストの作編曲&プロデュースする一方、ボイストレーニング等新人育成にも力を注ぎ、数多くのアーティストをデビューさせた実績を持つ。

伝説のTVオーディション『ASAYAN』はじめ、数々のオーディションでレッスンや審査を行なうほか、機動戦士ガンダムの主題歌作曲も手がけるなど、多様なメディアで活躍。医療機関でのセミナーも多数、医学的見地に基づいた指導には著名アーティストや人気俳優&声優はじめ、セミナー講師、医師、弁護士など各方面からの信頼も厚い。テレビ東京『〇〇式って効くの?歌下手が3時間で…激変!?』など、TV出演や監修も多数。

著書に『ボイトレの“当たり前”は間違いだらけ!? すぐに歌がうまくなる「新常識」』(リットーミュージック)、『人生を変える「勝ち声」「負け声」 あなたを救う「声の法則」教えます ! 』(リットーミュージック)、『1分でいい声になる! 』(自由国民社 )などがある。

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