【連載】ボイトレの???(ハテナ)にこたえる 声と歌の小泉クリニック

小泉 誠司

ニューベリーサウンド

第89回:低いキーで歌うリスクを恐れなければ、高いキーでも歌えるようになる!

「自分自身の一番良いものを出そう」としているか?

 私のレッスンでは、新しい生徒さんのレッスンを開始するにあたり、カラオケを使わず、まずはアカペラで歌っていただくことが多いです。
 なぜなら、その生徒さんが抱える具体的な問題が見えてくるからです。

・リズム
・声量
・音程
・表現力

 ……その生徒さんの力が浮き彫りになります。

 そして、そんな音楽的な能力と同じかそれ以上に重要な要素も見えてきます。
 それはその人が「自分自身を理解できているかどうか」ということです。

 なんだか大袈裟な表現になっていますが、わかりやすく言えば「カッコいい」かどうか……その時点での「自分自身の一番良いものを出そう」としているか、どうかです。

 以前のコラムでも、レッスン開始時の問題点として「自分に合ったキーが見つかるまでうまく歌えないので、時間がかかる」と答えられた生徒さんの話を掲載しました。

 実はそれは的を得た問題点、生徒さんは「欠点」だと思われたようですが、私から言わせれば「長所」だったのです。

 要するに、「自分自身の一番良いものを出そう」という目的が明確であるから、「自分に合ったキーを見つけよう」とされていたからです。

 アカペラで歌っていただくと、その人が「自分に合ったキー」で歌おうとされているかが明確に、そして「自分自身の一番良いものを出そう」が明白になるのです。
 
 しかしながら、自分には合っていないキー、特に高音域で歌われている人が多いのが事実です。

Aメロを低い音域で歌い始めることをお薦めします

 曲はAメロ、Bメロ、サビという構成で作られていることが多く、サビは最もインパクトが必要なセクション、必然的に高い音域のメロディで形成される曲が多いです。

 それに対して、Aメロは比較的低い音域のメロディで形成されることが多いと思います。

 Aメロを高いキーで歌い始めると、必然的にサビはもっと高い音域になり、その高さをうまく歌えない……という人を見るにつけ、なぜAメロを高い音域で歌い始めるのか? サビはもっと高くなってしまうのに……と私は疑問を感じずにはいられませんでした。

 そんな疑問の中から気づいたことがあります。

 「低い音域は声が出しにくい。なので声が出しやすい高さから歌い始めたい」という理由で、Aメロを高い音域で歌おうとする人が多いということです。

「サビが高くなってしまうリスク」と、
「Aメロが低くなってしまうリスク」を天秤にかけたところ

 「サビが高くなってしまうリスク」を選ぶ人が多いということです。

 「高い音域が出にくい」という悩みを持つ人が多いはずなのに、いざ歌い始めると、「サビが高くなってしまうリスク」を選ぶ人が多いのです。

 私にとっては奇妙というか、本気で「高い音域を出せるようになりたい!」と思っていないのでは、とその人の決意を疑わざるえないのです。

 そこで、本気で「高い音域を出せるようになりたい!」と思っている人の目的を叶えてくれる処方箋を出したいと思います。

 それは「Aメロが低くなってしまうリスク」を恐れずに、「Aメロを低い音域から歌い始める」ことです。

 それも可能な限り「Aメロを低い音域から歌い始める」ことをお薦めします。

 なぜなら、それを実現するための「方法」こそが、「高い音域を出せるようになりたい!」という目的を叶えてくれる「方法」に繋がるからです。

 どういうことか……

『高い音域は「力」で出せる』
『低い音域は「力」では出せない』

 と思っている人は多いはず。

 「力」に頼れないとしたら、「方法」で解決しなければいけない。

 つい力に頼ってしまい力んでしまう「高い音域」より、力に頼れない「低い音域」のほうが「方法」を身につけることが容易だということになるのです。

 力ではなく「方法」で気持ちよく低い音域を歌えるようになると、その同じ「方法」で高い音域も気持ちよく歌えるようになります。

 その「方法」は次回以降、具体的説明していきたいと思いますが、まずは「Aメロが低くなってしまうリスク」を恐れずに、「Aメロを低い音域から歌い始める」ことに挑戦してみてください。


撮影:ヨシダホヅミ

小泉誠司のレッスンを受けてみよう!

 リットーミュージックが運営するオンライン・ヴォーカル・レッスン『歌スク』に小泉誠司が参加中。無料体験レッスン(1回のみ25分)も行なっていますので、まずは『歌スク』のサイトにアクセスしてください。

小泉誠司のプロフィールページ、レッスン詳細などはこちら!
https://uta-school.jp/teacher/detail/8

2023年12月15日(金)にレッスン空き枠あります!
※レッスン予約が入ると空き枠は予告なく終了となりますので、ご了承ください。

本コラムの執筆者

小泉 誠司

ニューベリーサウンド

小泉 誠司(コイズミ セイジ)

ボイストレーナー/作編曲家。米バークリー音楽大学卒。帰国後数々のアーティストの作編曲&プロデュースする一方、ボイストレーニング等新人育成にも力を注ぎ、数多くのアーティストをデビューさせた実績を持つ。

伝説のTVオーディション『ASAYAN』はじめ、数々のオーディションでレッスンや審査を行なうほか、機動戦士ガンダムの主題歌作曲も手がけるなど、多様なメディアで活躍。医療機関でのセミナーも多数、医学的見地に基づいた指導には著名アーティストや人気俳優&声優はじめ、セミナー講師、医師、弁護士など各方面からの信頼も厚い。テレビ東京『〇〇式って効くの?歌下手が3時間で…激変!?』など、TV出演や監修も多数。

著書に『ボイトレの“当たり前”は間違いだらけ!? すぐに歌がうまくなる「新常識」』(リットーミュージック)、『人生を変える「勝ち声」「負け声」 あなたを救う「声の法則」教えます ! 』(リットーミュージック)、『1分でいい声になる! 』(自由国民社 )などがある。

本コラムの記事一覧

その他のコラム

最新情報

ヴォーカルや機材、ライブに関する最新情報をほぼ毎日更新!