【連載】ボイトレの???(ハテナ)にこたえる 声と歌の小泉クリニック

小泉 誠司

ニューベリーサウンド

【ボイトレ】「歌の悩み」解決のための思考、お教えします/連載「ボイトレの???(ハテナ)にこたえる声と歌の小泉クリニック:第93回」

2023.12.25

「どこか自信がない自分」→「自信を持てる自分に変えること

 あなたが「声が小さい」ことで悩んでいるとします。どんなアドバイスをもらえると問題は解決できそうでしょうか?

 はたして「大きい声を出そう」というアドバイスで、あなたの悩みは解決するのでしょうか?

 残念ながら、そのアドバイスでは解決できない可能性が高いです。
 なぜなら、きっと今までもそのアドバイスはされてきているはず、そのアドバイスが有効なら、とっくに悩みは解決できているはずだからです。

 では、どうしたら問題解決できるのか?
 そもそも、なぜ「大きい声を出そう」というアドバイスでは問題解決できないのでしょうか?

 それは……「小さい声になってしまう自分」そのものを解決しないまま、「大きい声を出そう」としても根本的な解決にはならないからです。

 「どこか自信がない自分」「小さい声になってしまう自分」を作ってしまっているのです。

 そう、原因は「どこか自信がない自分」と言えます。したがって、目先の結果を急いで無理やり「声を大きく」することは意味はなく、「どこか自信がない自分」→「自信を持てる自分に変えることが、根本的な解決に繋がるのです。
 では、そのための具体な解決方法をご紹介したいと思います。

「アウトプットから考える方法」を探ろう

 「アウトプット」とは「形」、要するには「なりたい自分」です。

 まずは「形から」でも「なりたい自分」=「自信を持てる自分」に変えてしまえば「中身」はあとからついてきます。

 では「自信を持てる自分」、「自信がある自分」とはどんな人なのか?……を考えるのです。

 例えば、「ゆっくり話せる人」は、周りから見て「ゆったりした人」、そして「自信がある人」に見えるのではないでしょうか。

 だったら、「本当の自分」は一旦置いといて、「ゆっくり話せる人」になれば良いということになります。

 「形から」でも「ゆっくり話せる人」、そして「自信がある人」に見えれば、次第に「本当の自分」も「自信がある人」に近づいていけるはずです。

「具体的思考」と「具体的動作」が重要です

 この「アウトプットから考える方法」なら、「声が小さい」という表面上の問題に固執しなくても、大元の「どこか自信がない自分」を「自信を持てる自分」に変えさえすれば良いのです。

 そして、そのための方法は「ゆっくり話す」という「具体的動作」です。

 事実、私が行なっているレッスンでも「声が小さい」生徒さんには「大きい声を出して」とは言わずに「ゆっくり話そう」と指導します。

 具体的にはメトロノームを使って、ゆっくりのテンポに合わせて話す練習や「戦場カメラマン 渡部陽一」さんのモノマネでゆっくり話す練習を行なうと「声が小さい」という問題は改善されています。

 この練習だけを見れば「早口を治す練習」に見えると思いますが、実はとても有効な「小さい声を改善する練習」になるのです。

 人はうまくできないことがあると、ついその「症状が出ている問題」のみに目がいきがちです。例えば「音程が不安定」だとすると、その「音程を良くする」ことのみ意識してしまう……。
 指導者にしても「そこの音程が低いよ」と、単なる指摘や「音をよく聴いて」という漠然としたアドバイスに終始することが多いです。

 それでは根本的な解決を図ることはできません。

 なぜなら、体温が38度になってしまっているとすると、解熱剤で熱が下がったことだけでは喜べず、原因がわからない不安や再発のリスクに怯えてしまうように、歌における問題解決も、表面上の問題のみを追いかけてはいけないということです。

 冒頭に書いた「どこか自信がない自分」が、歌におけるさまざまな原因になっていると私は考えます。

 根底にあるのは「できなかったらどうしよう」という恐怖。その恐怖から逃れるためにはメンタル面のみの解決を図るだけでなく、

「自信がある自分になる」→「ゆっくり話す」→「ゆっくり話せる人」=「自信がある人」という「具体的思考」と「具体的動作」が重要です。

 ぜひ実践してみてください。


撮影:ヨシダホヅミ

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本コラムの執筆者

小泉 誠司

ニューベリーサウンド

小泉 誠司(コイズミ セイジ)

ボイストレーナー/作編曲家。米バークリー音楽大学卒。帰国後数々のアーティストの作編曲&プロデュースする一方、ボイストレーニング等新人育成にも力を注ぎ、数多くのアーティストをデビューさせた実績を持つ。

伝説のTVオーディション『ASAYAN』はじめ、数々のオーディションでレッスンや審査を行なうほか、機動戦士ガンダムの主題歌作曲も手がけるなど、多様なメディアで活躍。医療機関でのセミナーも多数、医学的見地に基づいた指導には著名アーティストや人気俳優&声優はじめ、セミナー講師、医師、弁護士など各方面からの信頼も厚い。テレビ東京『〇〇式って効くの?歌下手が3時間で…激変!?』など、TV出演や監修も多数。

著書に『ボイトレの“当たり前”は間違いだらけ!? すぐに歌がうまくなる「新常識」』(リットーミュージック)、『人生を変える「勝ち声」「負け声」 あなたを救う「声の法則」教えます ! 』(リットーミュージック)、『1分でいい声になる! 』(自由国民社 )などがある。

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