【連載】ボイトレの???(ハテナ)にこたえる 声と歌の小泉クリニック

小泉 誠司

ニューベリーサウンド

第87回:こうすれば歌はうまくなる! 滑らかな発声のヒントはバイオリンにあり!

発声において「自然」とは「滑らかに」繋がるということ

 人は無条件に滑らかなものに魅せられます。

 それは音楽においても言えます。モーツァルトの音楽が時代を超えて愛されるのも、モーツァルトが書くメロディには曲線を描くような滑らかさがあるからだとも言われています。
 
 そして本来、人の声も滑らかであるべきです。

 なぜかと言うと……、
 「ピアノ」とフルートなどの「笛」、比べてみてどちらが「人の声」に近いかというと「笛」だからです。

 どういうことか言うと……、
 ピアノはひとつひとつの鍵盤を押さえることによって発音、それぞれの音は基本的には繋がりません(残響は残りますが)。
 ペダルを使えば→「音を繋げようと思えば繋げられないことはない」

 一方、フルートなどの笛は、基本的にはひとつひとつの音は繋がっています。
 スタッカートでは→「音を切ろうと思えば切れないことはない」

 笛が「音を切ろうと思えば切れないことはない」のと同じで、声も「音を切ろうと思えば切れないことはない」もの、基本的には音は繋がり滑らかなのです。

 もちろん笛と同じで、声もスタッカートでの発音においては、音は繋がらず音は切れていきますが、何も考えなければ声は「自然に滑らかに」繋がるはずなのです。

 そう、人は無条件に「自然」を好むということ、発声において自然とは「滑らかに」繋がるということなのです。

 歌に限らず、会話においても同じことが言えます。カクカクとした話し方をすると「ロボットみたい」と、不自然な感じを与えてしまいますよね。

 実は、歌においても知らず知らずに「カクカク」と不自然になってしまっていることが多く、それでは聴いている人を感動させることは難しいのです。

 言い換えれば、「カクカク」をやめて「滑らかに」歌えれば、あなたの歌は感動を呼ぶ歌になる、ということです。

バイオリンを弾くように、一回の息で発声してみよう

 さて、ここで笛と同じかそれ以上に、あなたの歌を感動的にしてくれるヒントになる楽器を紹介したいと思います。

 それはバイオリン

 バイオリンは一回弓を引くことで、滑らかに音を繋ぐように発音させていきます。
 歌うことも同じ。一度発声し始めたら肺から送られてくる息で、滑らかに発声するのが本来の状態です。

 なので、バイオリンの弓を引くように、歌おうとすること……左手でバイオリンのネックを持ち、右手で弓を引く(右利きの場合)姿勢、動作をしながら発声すると、人本来の滑らかな発声が可能になるのです。

 バイオリンで滑らかに演奏するには、左手で違った音程の音を押さえていても、右手は一回弓を引くのみ…..という奏法が必要なように、滑らかに歌うには音程が変わったとしても一回の息で発声することが必要なのです。

●バイオリン
右手で滑らかに弓を引く(右利きの場合)
→左手でメロディを弾く

●発声
肺から途切れることなく息が上がってくる
→口で歌詞を歌う

 音や言葉が変わっても、その動力源である「弓を弾くこと」=「肺からの息」は連続での動作であるため、「滑らかな」音や声になるのです。

 この「バイオリン発声法」は、滑らかで抑揚のある歌を作る上でも絶大な効果をもたらしてくれるので、ぜひ挑戦していただきたいと思います。

 私の著書『人生を変える「勝ち声」「負け声」あなたを救う「声の法則」教えます!』で「バイオリン発声法」を詳しく説明していますので、お役立ていただければ幸いです。
 下記、「バイオリン発声法」手本動画です。

バイオリン発声法

 必ず成果が出ます! 参考にしてください。


撮影:ヨシダホヅミ

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本コラムの執筆者

小泉 誠司

ニューベリーサウンド

小泉 誠司(コイズミ セイジ)

ボイストレーナー/作編曲家。米バークリー音楽大学卒。帰国後数々のアーティストの作編曲&プロデュースする一方、ボイストレーニング等新人育成にも力を注ぎ、数多くのアーティストをデビューさせた実績を持つ。

伝説のTVオーディション『ASAYAN』はじめ、数々のオーディションでレッスンや審査を行なうほか、機動戦士ガンダムの主題歌作曲も手がけるなど、多様なメディアで活躍。医療機関でのセミナーも多数、医学的見地に基づいた指導には著名アーティストや人気俳優&声優はじめ、セミナー講師、医師、弁護士など各方面からの信頼も厚い。テレビ東京『〇〇式って効くの?歌下手が3時間で…激変!?』など、TV出演や監修も多数。

著書に『ボイトレの“当たり前”は間違いだらけ!? すぐに歌がうまくなる「新常識」』(リットーミュージック)、『人生を変える「勝ち声」「負け声」 あなたを救う「声の法則」教えます ! 』(リットーミュージック)、『1分でいい声になる! 』(自由国民社 )などがある。

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