【連載】「うたってなんだっけ」

関取 花

第21回『ねむりってなんだっけ』

2023.07.1

最近、心から思うことがあります。それは、睡眠って本当に大切だということです。私はもともと3時間置きに目が覚めちゃうようなタイプで、眠りが浅いのが長年の悩みでした。逆を言えば、3時間さえ眠ることができれば、ハードな1日もなんとか乗り切れちゃいました。最低限の睡眠時間さえ確保しておけば、あとは気合いでどうにかなるだろうと。

正直、ライブの日でさえ3時間睡眠、なんてこともざらにありました。それでもべつに特に辛いとかはなかったし、自分にとっては当たり前のことでした。ですが、昨年末にコロナウィルス感染症に罹って以降、今まで以上に健康に気を遣わねばと思い、生活習慣を見直し始めました。バランスのいい食事、適度な入浴、ストレッチや軽い運動……などを心がけた結果、その先にあったのは、快眠でした。

今までの私は、布団に入っても2時間3時間寝付けないというのがほとんど毎日続いていました。それが今では、布団に入れば長くても1時間もすれば眠りにつくことができます。目覚めも今までに比べたら信じられないほどよくなり(というか今までがあまりに悪すぎたのかもしれない)、起きてすぐに活動ができるようになりました。二度寝もなくなり、悪い夢も見なくなりました。

そして何より嬉しかったのが、よく眠れた日には、いい声で歌が歌えるということです。加湿器を炊いたり、濡れマスクをしたり、口呼吸を防ぐためのテープを貼って寝たり、そういう対策は散々やってきました。そのおかげか、ライブ当日に喉の調子が悪かったということは、これまでもそんなになかったように思います。でもそれ以外の部分で、どうにもお腹に力が入らないとか、なんだか身体が重いとか、単純に気分が冴えないとか、そういう問題は常に付き纏っていました。全体的にムラがあり、それはどうにもコントロール不可能なものだと思っていました。

でも、この春からの弾き語りツアー「関取独走」では、そういう問題をほとんど感じませんでした。生活習慣を見直すようになってからの初めてのツアーなので、わかりやすく変化を感じました。あれ、私調子いいぞ、と。

以前からライブに通ってくれているお客さんたちからも、今回のツアーは今まで以上に声が出ているという感想をたくさんいただきました。もちろん、精神的に成長している部分もあると思うし、歌との向き合い方も日々進化していて、より肩の力を抜いて歌えるようになっているのは事実です。でもそれと同じくらい、あるいはそれ以上に、よく眠れているということは大きな影響を及ぼしていると思います。

私はよく、「心身ともに健康で」とみなさんに伝えます。その本当の意味が、最近ようやくわかったような気がします。よく食べ、よく動き、よく眠る。できているようでできていなかったんだなあと思うと同時に、できるようになったらこんなに毎日がクリアになるのか、と実感しています。

私は今まで、睡眠不足を自覚していながら、それでもいいパフォーマンスができれば問題ないだろう、と自分に言い聞かせてきました。でもよく眠れてさえいれば、そんな力みなんて必要なく、放っておけば身体が勝手にいいパフォーマンスを発揮してくれます。なんで今までやってこなかったんだろうとも思いますが、コロナウィルスへの感染による、物理的に何もすることができない長期休暇みたいなのがなければ、そうやって立ち止まって考える暇もなかったのかなと思います。なので、今ではあの時間にとても感謝しています。

みなさんもどうかたくさん寝てください。いっぱい寝てから私のライブに遊びに来てみてください。多分、もっと楽しめるんじゃないかと思います。

本コラムの執筆者

関取 花

関取 花(せきとり・はな)
1990年生まれ 神奈川県横浜市出身 愛嬌たっぷりの人柄と伸びやかな声、そして心に響く楽曲を武器に歌い続けるソロアーティスト。2019年ユニバーサルシグマよりメジャーデビュー。2023年9月6日、久々の新曲「メモリーちゃん」を配信リリース。2023年11月からは盟友、谷口 雄と二人で巡る「関取 花 2023 ツアー“関取二人三脚”」を東京、京都、名古屋にて開催。

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