【連載】「唄いろは」
鈴華ゆう子
今回はVocal Magazine Webさんが素敵なライブレポを書いてくださったので、私目線でどのようなライブ作りを目指し、どんな準備をしたかということを番外編としてお送りしたいと思います。
まずは、ぜひライブレポも合わせてお読みください!
“鈴華ゆう子”と“ジャズ”
さて、今回のライブのタイトルはシンプルに『Jazzy Night』。
ジャズライブではなく、「ジャズっぽ」。
日本人って本当にジャズが好きなんですよね。こんなにあちこちのカフェや居酒屋、雑貨店や温泉旅館のロビーなど、さまざまなところでジャズが溢れてる国ってあまりないのではないでしょうか?
おそらく、あまりにナチュラルに馴染んでいて、わざわざジャズがかかってると気付かない人たちがほとんどなくらい、日本の暮らしに定着しているのではないでしょうか。
私はというと、両親の出会いのきっかけでもある共通の趣味がジャズだったので、子供の頃からよく聴いてきました。ジャズバーにもよく足を運びましたね。
日本人の生活の中に自然と存在するジャズ。
実は私はあまり公にはしていなかったのですが、20代前半の無名の頃、都内のホテルのBARなどでジャズシンガーとして歌っていた経験なんかもあります。
唐突に今回のライブテーマがあったわけではなく、やはり私のルーツでもあり、作る楽曲の中にもジャズのテイストを入れることも多いため、ソロではジャンルの隔たりなく表現していきたいという想いもありました。そこで、Billboard Live TOKYOという素敵なシチュエーションにピッタリなコンセプトとして、今回『Jazzy Night』というタイトルにしてみました。
こだわった“ジャズっぽ”なセットリスト
ひと口にジャズといっても、スタイルは実に幅広く、私らしい“ジャズっぽ”の世界を作り上げるために、セットリストはとてもこだわりました。
まずは、私の歌声をなるべくシンプルに、かつ、今回のバンド編成はこんな音なのだと届くよう、お客様を引き込む導入として、コロナ禍に作ったオリジナル曲「うたいびと」からスタート。
2曲目からは、バンドのジャズBGMに乗せたMCから一気にジャズっぽの世界へ!
自身が和楽器バンドに書き下ろしたジャズテイストの楽曲「シンクロニシティ」のセルフカバーを披露しました。原曲はコレです! という感じを味わっていただけたのではないでしょうか?
そして、ジャズのスタンダードナンバーとして「Someday My Prince Will Come」をスウィング・ジャズにて。この曲は、(20代前半の)当時のレパートリーのひとつでした。
さらに、カバー曲として、ボサノバアレンジでの「接吻」を。大人の色気が音から伝わるアレンジは、全曲通して親友であり、今回のピアニストである広田圭美によるもの。男性ヴォーカルの楽曲をカバーするのは私のやりたいことのひとつでした。
オリジナル曲たちも、ピアノトリオバージョンのジャズっぽ特別アレンジでお届けしました。
オリジナル曲は、昼と夜で(セットリストを)テレコをしてみました。
今回のとっておきとして触れておきたい曲は、
「りんご追分」。
ジャズ×和は、言わずもがなとてつもなく相性が良いわけで、その中でもこの曲は私にしか出来ない表現ができると自負していたので、この機会に持ってくることができて大満足しております。
リズミカルなウッドベースに乗せて、コブシの効いた歌い出しは、リハで何度やっても気持ち良くてずっと歌っていたかったです。
この曲のパフォーマンスにおいては、私の特技である舞扇子を持ってみました。
セットリストを組む中で、頭の中ではどの曲でどんなパフォーマンスをするかというのを想像しながら作り上げていくのですが、ライブも後半に差し掛かるこのタイミングで、ジャズっぽなのにまさかの舞扇子をバサッと開く音は、観客をハッと驚かせる効果として持ってこいだと思いました。
ジャズのサウンドの中で鳴り響く和の調べと、舞。
私ならではの作品に仕上がったと思います。
本音を言うと、もっともっと多くの方に観て頂きたいです!!
そして、一瞬足りとも「飽きさせない!!」を実現するために念入りに組み立てたセットリストの見どころとして、今回は連弾パフォーマンスをやりました。
連弾ではなく、連弾パフォーマンスです。
手が交差したり、場所が入れ替わったりと、目で見ても楽しめるものを作りたかったのです。
嬉しいことに、数年前からピアノブームが再来していますね!
私が長年やってきたクラシックをジャズっぽに落とし込むため、曲は「チャルダッシュ」をチョイス。
アレンジはラテンジャズフュージョンでした。
見てくださってる方たちも今にも立ち上がりそうな表情で楽しんでくださっていたのが印象的でした!
やはり、私たちが楽しみすぎていましたから、そんなワクワクは会場全体に伝染しますね!(笑)
アンコールでは、
「好きな事をしようと思います」
のひと言からスタート。
趣味で始めた沖縄の三線の弾き語りで、童神をお届け。
1番は、三線と歌オンリーでやりました。
これまた嫌いな人なんていないというのが沖縄音楽。
私も惚れ込んだひとりなのですが、
「日本ていいよねー!!」
「日本が好きになっちゃう!」
という感情を沸き起こし、共感したい想いでやりました。
2番以降はバンドインし、この編成ならではのアレンジが響き渡りました。
ラストは、会場に来てくださった方に新曲をいち早く聴いて頂きたい! ということで、
「泥棒猫」。
私の誕生日である2022年6月7日より、私の新プロジェクト『SUZUHANA』がスタートしました。
クリエイターたちと音楽作品を届けていきます。
その1曲目として「泥棒猫」をSNSにて(デジタル)リリースします。
SNSでは、曲の一部をクリエイターたちと作り上げたイラストなどの世界観と共にご覧頂けます。定期的に上がるので、ぜひフォローして楽しんでいただければと思います。
「泥棒猫」は、ジャズテイストの楽曲に仕上がっています。
本コラムの執筆者
鈴華ゆう子
6月7日生まれ 茨城出身。3歳よりピアノ、5歳より詩吟と剣詩舞を学び、2011年12月、『日本コロムビア全国吟詠コンクール全国大会』優勝の経験もある、東京音楽大学ピアノ科卒業の音楽才女。
「伝統芸能を世界へ広げたい」という思いから和楽器バンドを結成。また一方で地元愛も強く持ち、いばらき大使・水戸大使を務める一面も。ロックに詩吟を融合させ、唯一無二の歌声で圧倒的な存在感を放つ、和楽器バンドの音楽を華やかに彩るスーパー・ヴォーカリスト。
現在、「和楽器バンド」のヴォーカル、和風ユニット「華風月」のヴォーカル&ピアノを担当。
ソロ活動としては、アニメの声優に挑戦するなど才能の幅を広げている。
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