【連載】「唄いろは」

鈴華ゆう子

第19回「詩吟はカラオケがうまくなる?!」

「歌がうまくなりたいから詩吟を習ってみたい」というようなお声をいただくことがあります。

確かに、詩吟がうまい方は、みなさんカラオケも上手なんですよね。
どんなきっかけであれど、詩吟に興味を持ってくださることは個人的にはとても嬉しくもあります。

カラオケ視点で見る、詩吟の技法の特徴

では、詩吟がうまくなるとなぜ歌がうまい方が多いのか?を考えてみたのですが、これは詩吟の歌い方の特性が大きく作用しているのだと思います。

歌がうまいと一口に言っても、さまざまなジャンルがある中で、詩吟の歌い方は、カラオケに向いているのだと思います。
それが、「詩吟がうまい人は歌がうまい」という印象に繋がっているのではないかと思いました。

「歌っていると、どんな曲でも全部合唱みたいになってしまう」というお悩みをお持ちの方がいました。
お歌はうまいのですがポップス曲になるとなんだか歌のお姉さんみたいになってしまい、歌いたい方向性と違うのはどうしたらいいのかと悩んでおられました。
声の出し方によるものですが、こういう場面でおそらく詩吟が生きてきます。

クラシック調に歌われる方は、口腔のうしろのほうで裏声を出すことに慣れているため、声を響かせる場所をもっと口先のほうへ持ってくる意識や、地声で発声する方法などを練習して、矯正していきます。

あとは、実は歌うときの息の量が多すぎる場合もあります。
詩吟自体、マイクを使って歌うのがスタンダードですので、息の量の調整などマイクコントロールがうまくなり、結果としてカラオケ向きとなります。

詩吟は基本的に地声で歌うので、自然と地声が鍛えられます。そして、最初はビブラートもかけずに真っ直ぐに腹式呼吸で声を出して練習していきます。
地声をコントロールすることで、いつの間にかミックスボイスなども自在に操れるようになり、ポップス音楽に向いている発声にも繋がるのではないでしょうか。

また、詩吟で用いるコブシなども、細やかなニュアンスを歌う技法に繋がるので、そのうちに器用な節回しもできるようになり、JーPOPの曲を歌う際には、役に立つことも多いかもしれません。

詩吟に着目してお話しましたが、ジャンルによって歌い方は本当に違うので、貴方の歌は、ご自身が歌いたいジャンルの歌い方をしているのか自己分析してみるのはいかがでしょうか?

目指している歌い方がR&Bなのに、実際はシャンソン風に歌ってはいないか、など気づきもあるかもしれません。
ご自身が向いているジャンルを見つけることも面白いかもしれませんね。

本コラムの執筆者

鈴華ゆう子

6月7日生まれ 茨城出身。3歳よりピアノ、5歳より詩吟と剣詩舞を学び、2011年12月、『日本コロムビア全国吟詠コンクール全国大会』優勝の経験もある、東京音楽大学ピアノ科卒業の音楽才女。

「伝統芸能を世界へ広げたい」という思いから和楽器バンドを結成。また一方で地元愛も強く持ち、いばらき大使・水戸大使を務める一面も。ロックに詩吟を融合させ、唯一無二の歌声で圧倒的な存在感を放つ、和楽器バンドの音楽を華やかに彩るスーパー・ヴォーカリスト。

現在、「和楽器バンド」のヴォーカル、和風ユニット「華風月」のヴォーカル&ピアノを担当。
ソロ活動としては、アニメの声優に挑戦するなど才能の幅を広げている。

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