【連載】「唄いろは」

鈴華ゆう子

第20回「弾き語りのテクニックとコツ」

私自身も弾き語りは、とても難しいと思っています。
私の場合はピアノの弾き語りがメインですが、幼少からピアノを始め、音大もピアノ科へ進学をしたため、どうしてもピアノを聴きすぎてしまう癖のようなものがあります。

弾き語りは、ピアノだけに集中して弾くのとはまた違うので、私としてはピアノが無意識に何も考えなくても弾けるような状態で歌に心をおけるのが、ベストな弾き語りの状態だと思っています。

広い視野で曲を理解する

やはり、ポップスの弾き語りはクラシックピアノではないですし、インストで演奏するのとも違うので、役割が異なります。

弾き語りにおけるピアノの役割は、リズム隊であり、ベースであり、コード楽器であり、ときには上物の役目もあります。
まずは、コード進行は身体に入っていて目を瞑っても弾けるくらいが望ましいです。
その上で、合いの手となるフレーズがどれだけ歌いながら入れられるか、また間奏においてどれだけドラマチックに演奏できるかなどが、よりよい弾き語りとしてのキーポイントになってくると思っています。

弾き語りは、シンプルな演奏形態だからこそテンポの揺らぎや強弱も自分次第なので、どのように抑揚を付けて聴かせるかによって、曲の印象も大きく左右します。

曲の全体を捉えるという能力が備わっていくので、ピアニストとしてもヴォーカリストとしても広い視野で曲を理解して、表現の幅が広がっていくと考えます。
なので、バンドの曲も弾き語りで歌うことも、非常にプラスになります。

アレンジに挑戦したいと思ってる方も、弾き語りがアレンジの入口になると思うので、ぜひチャレンジしてみてください。

「魅せる」弾き語りとは

魅せる弾き語りについては私も模索していますが、常に観客の目線が自身に一点集中しますので、表情は特に気にかけています。

弾き語りの場合、間奏も自身が演奏をしているので、歌っているときとの表情の変化は魅せるポイントにもなると思います。
マイクが固定なので、マイクから口が外れないようにすることで動きが減りがちですから、間奏は動きも付けられるチャンスです。

また、手元ばかりを見ず顔を上げてお客さんに目線を送ることも忘れずに。

パフォーマンスとして、手拍子で煽る場所などを考えておくと、よりライブを盛り上げることができると思います。
グランドピアノでの弾き語りの場合、右側を客席に見せることになるので、髪型や衣装も、右側面を意識したりしています。

最近は三線の弾き語りもしているので、その点についてもまた触れられたらと思います。

本コラムの執筆者

鈴華ゆう子

6月7日生まれ 茨城出身。3歳よりピアノ、5歳より詩吟と剣詩舞を学び、2011年12月、『日本コロムビア全国吟詠コンクール全国大会』優勝の経験もある、東京音楽大学ピアノ科卒業の音楽才女。

「伝統芸能を世界へ広げたい」という思いから和楽器バンドを結成。また一方で地元愛も強く持ち、いばらき大使・水戸大使を務める一面も。ロックに詩吟を融合させ、唯一無二の歌声で圧倒的な存在感を放つ、和楽器バンドの音楽を華やかに彩るスーパー・ヴォーカリスト。

現在、「和楽器バンド」のヴォーカル、和風ユニット「華風月」のヴォーカル&ピアノを担当。
ソロ活動としては、アニメの声優に挑戦するなど才能の幅を広げている。

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