
【連載】「唄いろは」
鈴華ゆう子
子供の頃、「ピアノの練習しなさい」と言われるたびに、嫌だなぁと思い、逃げ出したくなっていた記憶があります。
ピアノを習っていた方でそんな記憶がある方は多いのではないでしょうか?
練習が嫌だと感じる理由
自身がピアノ講師であった経験や、時間がない中で次から次へと本番をこなさなければならないプロとしての経験などを通して、大人になった今、思うことがあります。
それは、子供の頃練習が嫌いだったのは「練習の仕方」がわかっていなかったんだなぁということ。
子供の頃は、練習しろと言われたからとにかくピアノに向かわなければいけない、というところまでしか理解していなかったのですね。
楽器に触れている時間が長いことが正義、みたいな感覚でした。
練習しろと言われても、上手くなっていく方法も、実際上達しているのか変化もよくわからないまま、ただただ、理由もなく練習時間を多くとってつまらない時間ばかりが過ぎていくという状況になっていることもあったと思います。
自分の弱点を的確に把握する
やはり大切なのは、練習の前にまず自分がどこが弱いのかに気づくことから始めることですね。
すると自ずとそれに対する練習方法が見えてきます。そしてそれは、意外と練習方法さえ的確であれば、思っていたより短時間でゴールに近づくのです。
例えば、キーが高いサビが苦手、という方の歌を聴くと、実際苦手な箇所は、7度(7つ音程が離れている)の跳躍をするポイントと、リズムの乗り方、の2点だったということがあります。
7度の跳躍ポイントだけの抜き出し練習をし、リズムに慣れるための練習方法を繰り返すことで、わずか30分でサビが見違えるようになりました。
レッスン等に通っている方は、自身が思う弱点に対する練習方法の引き出しを増やすために、講師にバリエーションのアドバイスを求めるのがひとつの手かもしれません。
自分の気づかない弱点に気づかせてくれるのも、先生です。
子供には、わかりやすく「どこが苦手だからこんな練習をすると改善するね」と明確に伝えた上で、レッスン時間の中でそれのショートバージョンを行ない成功体験を重ねることで、自宅でも練習に向かう意欲が湧くかもしれません。
自分で的確に弱点を把握し、それの解決方法も自身で生み出せるようになると、プロへの道も近くなるのではないかと思ったりします。
プロになると、多忙で練習時間がとれないなんてこともざらにあります。どんなに時間がなくても次から次へと本番はやってきます。
短時間でクオリティを高め、さらなる成長のための方法を自身で探求し続けなければいけません。
自身の弱点に常に敏感であり、解決策の引き出しを増やすことを徹底して意識することは、とても大切だと思っています。
本コラムの執筆者

鈴華ゆう子
6月7日生まれ 茨城出身。3歳よりピアノ、5歳より詩吟と剣詩舞を学び、2011年12月、『日本コロムビア全国吟詠コンクール全国大会』優勝の経験もある、東京音楽大学ピアノ科卒業の音楽才女。
「伝統芸能を世界へ広げたい」という思いから和楽器バンドを結成。また一方で地元愛も強く持ち、いばらき大使・水戸大使を務める一面も。ロックに詩吟を融合させ、唯一無二の歌声で圧倒的な存在感を放つ、和楽器バンドの音楽を華やかに彩るスーパー・ヴォーカリスト。
現在、「和楽器バンド」のヴォーカル、和風ユニット「華風月」のヴォーカル&ピアノを担当。
ソロ活動としては、アニメの声優に挑戦するなど才能の幅を広げている。
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