【連載】「唄いろは」
鈴華ゆう子
今回は自身の活動を通しての話をしたいと思います。
和楽器バンドは昨年、全国ツアーを8月末〜11月末までの間に30公演を行ないました。
ライブにおける体調管理面、ステージ上におけること、当日リハーサルのことなど、数回に渡ってお送りしたいと思います。
今回は、体調管理に焦点を当ててお話しします。
ツアー中に声を変えてしまう天敵、「移動」
ヴォーカリストは身体が楽器です。
ほんの少し体調が変化するだけでも顕著に歌に影響が表われてしまいます。
ピアニストとヴォーカリストの両方をやっている私から見ても、比べてしまえばどうしてもデリケートになるのは圧倒的にヴォーカルですね。
ほんのわずかに鼻が詰まるのも、ほんのわずかに喉がイガイガするのも、ほんのわずかな筋肉痛も、ほんのわずかの寝不足でも、声が変わってしまいます。
私は比較的喉は強いほうで、どうやら平均より枯れにくくはあり、長持ちもするほうではあるようです。
普段の演奏では、必ず行なうケア(声出し、ストレッチなど)で、漢方を飲む以外に決めていることは特にありません。
というのも、昔から詩吟のコンクールなどに挑む際に、どんな環境においても同じように歌えるようにと、あまり過保護にし過ぎないようにしてきている習慣が、今もスタンダードになっているからだと思います。
“今日はこれをしておこう”と思ったことがあれば、その都度やる、という感じです。
しかしながら、全国ツアーはそうはいきません。私も緊張感が増します。
連続して日々歌い続けることになるわけですが、
ツアー中に声を変えてしまう天敵……
それが「移動」。
ハードな移動のときは、ライブ直後に会場を飛び出し、3時間の移動をして到着した頃には日付をまたぎ、その日もライブをし、ライブ後にまた移動といったスケジュールもあります。
飛行機や新幹線で高速移動したあとは、気圧の変化や乾燥により喉と耳がやられてしまいます。喉がやられるというよりは、身体が疲労することで、声帯や声質に影響してしまうという感じです。
三半規管がおかしくなると、イヤモニの聴こえ方、舞をする際のバランス感覚、音程の感覚などが狂ってしまったり、照明を浴びた際の目眩などの諸症状が出たりします。
身体をほぐして筋肉を和らげ、リンパを流し、自律神経を整えないと、パフォーマンスが下がってしまうのです。ケアを怠ると、声がどんどん出なくなってしまい、たとえ出たとしてもなんだか声質が違う、というようなことも起こり得るのです。
どんな状況においても、一期一会のライブのために、ムラなく歌をお届けすることが大切です。
本コラムの執筆者
鈴華ゆう子
6月7日生まれ 茨城出身。3歳よりピアノ、5歳より詩吟と剣詩舞を学び、2011年12月、『日本コロムビア全国吟詠コンクール全国大会』優勝の経験もある、東京音楽大学ピアノ科卒業の音楽才女。
「伝統芸能を世界へ広げたい」という思いから和楽器バンドを結成。また一方で地元愛も強く持ち、いばらき大使・水戸大使を務める一面も。ロックに詩吟を融合させ、唯一無二の歌声で圧倒的な存在感を放つ、和楽器バンドの音楽を華やかに彩るスーパー・ヴォーカリスト。
現在、「和楽器バンド」のヴォーカル、和風ユニット「華風月」のヴォーカル&ピアノを担当。
ソロ活動としては、アニメの声優に挑戦するなど才能の幅を広げている。
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