【連載】「理論・感覚・考え方も磨くヴォーカルトレーニング」

tOmozo

第9回 これまでの連載内容まとめと補足記事紹介〜本連載の概要、歌における理論/感覚の考え方、歌い方の種類を紹介〜

2024.04.3

第8回までの内容まとめ

 tOmozoです。次回以降、本格的にボイストレーニングに突入していきますが、その前に一度、今までのおさらいをしておきたいと思います。各回の要点と流れを押さえつつ、記事内で“後ほど詳しく説明します”と言っていた部分を、補足記事として紹介していきます(‘ω’)ノ。補足記事は、この『VocalMagazineWeb連載版』に書き切れなかった内容を、筆者個人が運営するブログ『全方位完全版!』にて追筆したものです。ふたつとも「理論、感覚、考え方も磨くボーカルトレーニング」なので、基本的な内容は同じものになりますが、以上のようにそれぞれに版名をつけ、執筆範囲を変えてお届けしていきます。『全方位完全版!』のほうが踏み込んだ内容になります。


第1回 連載スタートにあたって(本連載の内容と特徴を紹介)

 この連載の特徴を、以下のトピックをもとに紹介しました。

1.理論、感覚、考え方まで
2.ボイトレ、リズム感、音感、表現トレまで
3.イラスト、音声サンプル、ふりがな
4.広い、細かい、果てしない
5.「あなたは今ここにいます」

 そして「膨大な知識量を理屈として理解できることと、実際に音楽の音情報を聴覚で理解できるかどうかは別」で、「自分の声が今どんな状態なのか、読者の皆さんが自分自身の耳で判断できる必要がある」ということもお話ししました。


第2回 歌における「理論と感覚」の「考え方」

「歌と理論、歌と感覚」について

 歌の習得のムズかしさについて、その理由は“発声しているときの身体の様子を目で確認することがほとんどできないから”だとお話ししました。そして、“歌は感覚だけでも歌えないことはないが、「天才」以外には「理論と感覚」どちらも必要”で、“パフォーマンスの再現性を上げるのは「理論と感覚をリンクさせる作業」”であることをお伝えしました。
 理論vs感覚、どちらが大事になのかについては、“どちらも大事”であるとした上で、“まず基礎の段階では「いい加減な感覚」は「理論」が矯正してくれる”ものだが、“表現の段階では「感覚が理論を飛び越える」存在になる”ということを提言して次回に繋がります。


第3回 【歌で大事なのは?】理論vs感覚

「感覚が理論の存在を越えるとき」について

 「ライブ中に歌わずに叫ぶ演出」を例に出して、つまりは“「感動が先立って基礎や理論が気にならなくなる状態」のことである”と提言しました。そして“最終的には!「理論よりは感覚のほうが大事」”だが、「表現の段階で必要になる「感覚」は、アップデートさせて「感性/センス」と捉え直すと良い”ともお伝えしました。

 話の中で出てきた、以下のトピックについては、「全方位完全版!」の方で公開しますので、以下のリンクからご確認ください。

「感覚派/文系脳」と「理論派/理系脳」
「気持ち」だけではダメよ
「気持ちを込める」とは?

 “「感性/センス」は「歌い方」で発揮する”については、“そもそも「表現」や「演出」、つまり「歌い方」にはたくさんの方法や選択肢があり、その選択に歌い手のセンスが発揮される”ということを説明した上で、“「歌い方の工夫」には他にどんなものがあるのか”、と疑問を投げかけて次回に繋がります。


第4回 歌い方の種類と印象をまとめて紹介!part1/5 -音高変化編-

 実際に「歌い方」、つまり「歌唱テクニック」にはどんなものがあるのかを、この回から5回に渡って紹介しました。用意したサンプルは音声だけでなく、変化が「目でも見える」ように、音声編集ソフトの解析画面や楽譜も使用した動画を用意しました。part1では「音の高さ」を変化させる以下のアイテムを紹介しました。

音高変化による「歌い方」一覧

⑴「しゃくり」
⑵「つまみ※」
⑶「フォール」
⑷「ライズ※」
⑸「先打ち※」
⑹「ビブラート」
⑺「フェイク/こぶし」


第5回 歌い方の種類と印象をまとめて紹介!part2/5 -音色変化

 part2では「音の質感/音色/声色こわいろ」を変化させる以下のアイテムを紹介。本編の前に、“たとえ発声が未熟であっても、表現次第では良い歌が歌える!”ということを証明するためにリコーダーの演奏もお見せしました。

音色変化による「歌い方」の種類

⑴「ウィスパーボイス、チェストボイス/吐息といき量」
⑵「声色の明るい・暗い、細い・太い/喉頭こうとう位置」
⑶「ファルセット、ヘッドボイス、ミックスボイス/声区せいく
⑷「ネイザル、トゥワング/鼻音びおん量」
⑸「ハスキーボイス、シルキーボイス ※/もともとの声色」
⑹「擬似ぎじハスキー、がなり/ノイズ量」
⑺「エッジボイス」
⑻「裏返し/ヒーカップ」
⑼「ブレス音の活用(4つ)」


第6回 歌い方の種類と印象をまとめて紹介!part3/5 -音量変化・グルーヴ編-

 part3では「音の大きさ」を変化させる以下のアイテムを紹介。

3.音量変化による「歌い方」の種類

⑴「構成ごとの強弱」
⑵「フレーズごとの強弱」
⑶「音符ごとの強弱」
⑷「クレッシェンド、デクレッシェンド」

歌の「グルーヴ」とは?

 「グルーヴ」や「ノリ」について、その正体は音量変化によっても生まれる「音楽の波」である、と簡単に説明しました。


第7回 歌い方の種類と印象をまとめて紹介!part4/5 -グルーヴ変化編-

 part4で紹介したのは、いろいろな大きさの「音楽の波/グルーヴ」を作り出してくれる以下のアイテムです。

4.グルーヴによる「歌い方」の種類

⑴「フレージング」
⑵「アーティキュレーション」
⑶「2個イチ※」
⑷「文節区切り」
⑸「リズムによるグルーヴ」


第8回 歌い方の種類と印象をまとめて紹介!part5/5 -リズムとテンポ変化、応用表現編-

 最後のpart5では、以下の3つをまとめて紹介しました。

5.リズム変化による「歌い方」の種類

⑴「シンコペーション」

6.速度変化による「歌い方」の種類

⑴「タメ」と「走り」
⑵「フェルマータ」

7.テクニック応用表現編

⑴「モノや動きも表現」
⑵「歌詞なし声だけで感情表現」

歌唱テクニックを習得するにあたって

 “歌唱テクニックはファッションや料理と同じ”というテーマについて、“表現の濃さは自由で、自分のお好みの味付けが出せるように、まずは色濃い変化が出せるようにトレーニングするべき”とお伝えしました。
 “「表現」の「表と裏」”については、“「①理論」と「②感覚」と「③感性/センス」、そしてそれらをアウトプットするための「④技術/スキル」、が表裏一体で必要になる”ことと、“その「技術/スキル」とは、発声コントロールのことである”とお話ししました。


 はい、第1回~第8回までのおさらいは以上となります(‘ω’)ノ。次回からは、しばらくボイストレーニングについて扱っていきます。自分の思い通りの「表現/歌い方」を実現するための「歌唱テクニック」、それを体現するための自由自在な「発声コントロール」を身に付けていきましょう。来週もまた見てね(‘ω’)ノ。

本コラムの執筆者

tOmozo

岩手県田野畑村出身。独学で中学1年の時にピアノ演奏、高校時代から作曲を始める。北海道教育大学大学院音楽教育専修修了。在学時から札幌の自宅で音楽教室を開く。2016年より岩手県盛岡市にてNoteOn音楽指導部を立ち上げ、ヴォイストレーニングだけでなく、ピアノ、作曲などのレッスンを行なっており、各SNSでは演奏やレッスンのコンテンツを投稿している。芸能プロダクションでのトレーナー経験があるだけでなく、作曲、編曲の仕事もしており、TV番組やCMソングなども担当。

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