【連載】「理論・感覚・考え方も磨くヴォーカルトレーニング」

tOmozo

第1回 連載スタートにあたって

2024.02.7

はじめまして

 はじめまして、tOmozo (トモゾ-)です。この度連載の機会をいただくことになりました。その名も『理論・感覚・考え方も磨くヴォーカルトレーニング!』……長いけど、この名の通り「情報量の多さ」がこのシリーズの最大の個性です。連載第1回目は、どんな内容になるのかのイントロダクションになります。

まずは大まかに

 この連載シリーズの特徴を簡単に説明します。……いや「簡単に」は簡単に使わないようにします、書いてるうちに絶対長くなりますので……(笑)。

1.理論・感覚・考え方まで

 ①初心者や感覚派の人向けには「『ダーンっ!』と○○する」、「△△のような動き」など、擬音語で動作の感覚を示す書き方を。②上級者や理論派、理論的アプローチが必ず必要となる指導者向けには「『ダーンっ!』は実際にはどこの器官がどうなってて、音楽的にリズムの要素はどうだ・音程の要素はこうだ」など各要素を分解・分析した具体的な書き方をしています。
 歌には理論・感覚ともに大事になるのは言わずもがなですが、「理論と感覚はどういう風に関係し合っているのか」から始まり、「そもそも歌が上手いって何?」とか「プロの中でも職業歌手って何?」とか「自分の個性・特性ってどうやって確立すれば」とかそんな疑問に対しても、どう考えればいいのかの答えを出していきます。

2.ボイトレ・リズム感・音感・表現トレまで

 ボイストレーニングは「声を良くする」だけであって、そこに上手さ=美味さはない、と思っていてください。(もちろん個人で違う声色(こわいろ)であること自体が「味」にはなるんですけどね)料理で言えば調理器具のようなものであくまで材料のひとつです。それを使ってどう美味い料理を作るか、料理センス=音楽センスのほうが重要になります。特にポップスでは基本的な発声ができていれさえすれば、声色の作り方は自由です。

 この連載ではボイトレも深堀りした上で、リズム感・音感・表現力トレーニングなど、「音楽感=音楽センス」を鍛える方法まで徹底解説します。僕は作編曲家として楽曲制作の仕事も時々していますが、音楽全体を把握したクリエーターならではの視点で「歌の上手さ」を科学していきます。

3.イラスト・音声サンプル・ふりがな

 ボイトレは身体の中が覗けないし、音は目に見えないので難しい分野です。多くの読者さんの状況に寄り添うために、オリジナルで制作したカラー図解、発声サンプルの音源を多く用意するようにしています。また難しい漢字や専門用語にはふりがなを振るようにします。

▼音声サンプルのサンプル

生徒さんに協力してもらい、なるべく男声・女声両方のサンプルを用意できればと思っています。

チェストボイス ⇔ ウィスパーボイス

① チェストボイス ⇔ ウィスパーボイス
⇒ 声門閉鎖と呼気量のバランス調整
 1. チェスト9:1ウィスパー
 2. チェスト6:4ウィスパー
 3. チェスト4:6ウィスパー
 4. チェスト2:8ウィスパー
 5. ウィスパー ⇒ チェスト
 6. チェスト ⇒ ウィスパー

深い・太い声 ⇔ 浅い・細い声

② 深い・太い声 ⇔ 浅い・細い声
⇒ 喉仏の上下位置の調整/共鳴量の増減
 1. 喉仏位置「中」
 2. 喉仏位置「高」
 3. 喉仏位置「低」
 4. 喉仏位置「低」⇒「高」
 5. 喉仏位置「高」⇒「低」

4.広い・細かい・果てしない

 対面レッスンのときに「そんなこと今まで習ったことも考えたこともなかった」とよく言われますが、この「情報量の暴力!」とも言えるほどの内容に着いて来ることができれば、歌に対する新しい価値観が生まれることは間違いないと思いますよ。そして「音楽や歌の中での、自分の個性・立ち位置・居場所」がわかるようになると思います。ひとつの物事に対して、正面からも背面からも横からも上からも見れるような書き方をしていますので、読んでいけば自分がどこかに当てはまる感覚があるかと思います。だから長くなるんですけどね(笑)。
 でも、こういった考え方を理屈として理解できることと、実際に音楽や歌の音情報を聴覚で理解できるかどうかは、読者さん次第です。次に続きます。

5.「あなたは今ここにいます」

 本来、僕の対面レッスンでの強みは「その人の歌を聴いたときに、その歌の何が問題で、それをどうすれば解決できるのか、を個人それぞれに的確に提供できること」です。その的確さをどうやって導き出しているかというと、①膨大な情報量と②感覚の細かさ・幅広さを駆使した洞察力です。
 ここで何が問題になるかというと、「ここに書いてある情報を全部理解できたからと言って、自分が今どの状況なのかが自分自身でわからなければ、どの処置をすればいいのか途方に暮れる」ということです。例えば上の音声サンプルで、チェストとウィスパーのバランス切り替えをやりましたが、僕は普段のレッスンでも、声と息の割合を11段階(0:10(息だけ)~10:0(ノド詰め声))で扱います。この11段階のうち、自分の声が今どこにいるのか、読者の皆さんは自分自身の耳で判断できる必要があるということです。

 ここに書いてある情報は、病院に例えるなら「いろいろな病状に対する対処法や薬の種類の一覧カタログ」であって、あなたに対する直接的な処方箋ではありません。料理に例えるなら食材・調味料・調理手順が書かれているだけで、分量まで書いてある完全なレシピにはなり得ません。あなたが今「あ~」と発音した声が何グラムなのかを物理的に測ることはできないからです。
 対面レッスンであれば「今あなたの病状はこうだからこの薬を塗ってください」「今の声は砂糖が70g程度ですから塩を30g足してください」とピンポイントで指摘できるんですが、読者の方が歌で自立するには「自分で病状を判断して適切な薬を塗る」、「自分で味見をしながら料理を完成させる」ことをできる必要があります。自立を迫られたとき、何が必要になるか……? ……それは「音を細かく聴き分けることができる耳」です。「砂糖100gで美味しくなる!」と書いてあったとして、そもそも最初っから50gも砂糖が入っていたのに、それに気が付かずに、さらに100gも足したら不味い料理ができるだけです。

 ということで対面じゃなくても、この連載を読むことで読者の方の耳も鍛えられるように、音声サンプルのほうを工夫していきたいと思います。もちろん、リモートレッスンもやっていますのでそちらに来ていただいても構いません。


 ..……はい、以上がこの連載の個性になります。見ての通り盛りだくさんになりますので、どうぞお楽しみに!

「音芽くん (オンガクン)」
⇒ 音楽から新芽のように生まれ出た音符のキャラクター

次回予告

 連載第2回では、この記事では連載タイトルにもある「理論・感覚・考え方」のとある側面についてお話ししてみたいと思います。「理論と感覚は状況によって役割・立場が変わる」という、考え方を磨くトレーニングになります。たぶん長くなりますよ(笑)。

連載~第2回~予告

・歌と理論・歌と感覚
・理論vs感覚、どっちが上?
・基礎力vs表現力、どっちが上?
・個性はここに出る

 

本コラムの執筆者

tOmozo

岩手県田野畑村出身。独学で中学1年の時にピアノ演奏、高校時代から作曲を始める。北海道教育大学大学院音楽教育専修修了。在学時から札幌の自宅で音楽教室を開く。2016年より岩手県盛岡市にてNoteOn音楽指導部を立ち上げ、ヴォイストレーニングだけでなく、ピアノ、作曲などのレッスンを行なっており、各SNSでは演奏やレッスンのコンテンツを投稿している。芸能プロダクションでのトレーナー経験があるだけでなく、作曲、編曲の仕事もしており、TV番組やCMソングなども担当。

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