【連載】「理論・感覚・考え方も磨くヴォーカルトレーニング」

tOmozo

第6回【目と耳で理解!】歌い方の種類と印象をまとめて紹介!part3/5 -音量・グルーヴ変化編-

2024.03.13

第4・5回の要点

 tOmozoです。第4回第5回と「歌い方」のテクニックを動画サンプルとともに紹介しています。part1では「音の高さ/音高」、part2では「音の質感/声色こわいろ」に変化を加えることで生まれる歌の表情の違いを紹介しました。それぞれの練習方法などはまた後日詳しく徹底解説しますので、わからないところがあってもご安心ください(‘ω’)ノ。

音高変化による「歌い方」一覧(第4回

⑴「しゃくり」
⑵「つまみ※」
⑶「フォール」
⑷「ライズ※」
⑸「先打ち※」
⑹「ビブラート」
⑺「フェイク/こぶし」

音色変化による「歌い方」の種類(第5回

⑴「ウィスパーボイス、チェストボイス/吐息といき量」
⑵「声色の明るい・暗い、細い・太い/喉頭こうとう位置」
⑶「ファルセット、ヘッドボイス、ミックスボイス/声区せいく
⑷「ネイザル、トゥワング/鼻音びおん量」
⑸「ハスキーボイス、シルキーボイス ※/もともとの声色」
⑹「擬似ぎじハスキー、がなり/ノイズ量」
⑺「エッジボイス」
⑻「裏返し/ヒーカップ」
⑼「ブレス音の活用(4つ)」

(※印は筆者が使っている呼称)

「歌い方」の種類をまとめて紹介!part3/5

 例えば「歌に抑揚よくようをつけるには?」の問いに対して、最初に思いつくのが「強弱をつけること」ではないでしょうか? 今日はその「音の大きさ/強弱」を変化させる歌い方のテクニックと、「グルーヴ」について紹介します。「グルーヴ」という言葉は「=ノリ」などと、かなり曖昧なニュアンスで使われていて、何のことなのかがわかりづらい音楽用語です。……でもこれを筆者が説明しないはずがありません(笑)。今日は動画サンプルを観ながら、ある程度でも理解していただければと思います。まずは王道の「強弱」から行きましょう(‘ω’)ノ。今回は記号を記した楽譜も用意しました。

3.音量変化による「歌い方」の種類

⑴「構成ごとの強弱」

 「構成こうせい」とは、簡単に言えば「Aメロ、Bメロ、サビ」などのことで、構成ごとの強弱をつけることもできる。「サビでは盛り上げる」という考え方はイメージしやすいと思うので、動画サンプルはここでは省略。また、「盛り上げる」ためには「表現も強く」というのがセオリー。でも「印象に残れば良い」ので、意外性を作るために逆にサビを落ち着いた音楽にしたり、声をひそめた歌い方をするのもまた有効的。

⑵「フレーズごとの強弱」

 「フレーズ」とは、「ひとつのメロディの区切りから次のメロディの区切れりまで」や「ブレスから次のブレスまで」を指し、フレーズごとの強弱をつけることもできる。区切りをどこに作るかでフレーズの長さは変わる。動画サンプルは、機械的な区切り方ではあるが、3つのフレージングパターンを用意した。

音量変化による「歌い方」の種類/フレーズ単位での強弱

⑶「音符ごとの強弱」

 1音単位で強弱をつけることもできる。動画サンプルでは、説明のために機械的で極端な強弱にしているが、楽曲のなかで上手く使うと「ハッと驚かされる」ような印象を作ることができる。

音量変化による「歌い方」の種類/音符単位での強弱

⑷「クレッシェンド、デクレッシェンド」

 「だんだん大きく、だんだん小さく」するテクニックで、これが一番自然に聴こえて、かつ効果的な強弱表現になる。ここでもいろいろな長さのフレージングを用意した。音楽の授業で出てくるが、忘れられがちな可哀想な存在でもある。

音量変化による「歌い方」の種類/「クレッシェンド、デクレッシェンド」
(デクレッシェンドは「ディミニュエンド」とも言う)

……音量変化については以上です(‘ω’)ノ。いろいろな理由があって意識されづらいテクニックですが、音楽の基本でもあり、醍醐味にもなる大事なアイテムです。また、「声を鍛える」という面で効果的なトレーニングメニューにもなりますよ。

歌の「グルーヴ」とは?

強弱が「音のうねり」を作る

 「グルーヴ」を説明する前に「強弱」を扱ったのには理由があります。まず、先ほど説明した<3.音量変化>の『⑶「音符ごとの強弱」』に立ち返ってみましょう。強弱が1音ごとに出てきたことによって「音のうねり/波」が頻繁に作られるのがわかりますか? 例えば、浜辺に打ち寄せる波の動きをイメージしてください。波が大きくせりあがるところが「強」で、波が落ちたところが「弱」です。「グルーヴ」とは「音/音楽のうねり」であり、「この音楽の波に乗れるかどうか」という意味合いで「ノリ」という言葉が使われています。 

リズムも「音のうねり」を作る 

 「音のうねり」はこの「強弱」だけでなく、「リズム」によっても生まれます。「タータタ」と「タタータ」のリズムでは当然違う波が生まれます。変化のあるリズムは自然と強弱を含んでいるので、①リズムが変われば、②強弱の位置が変わって、③グルーヴも変わる、という流れになります。ちなみに先ほどの例で、自然と波が生まれやすい位置は「タータタ」、「タタータ」(青字)です。グルーヴというと、細かいリズムから生まれる細かいうねりのことを指すことも多いですね。

「ノリの違い」~バンドの解散騒動~

 上で掲載している動画サンプル『⑶「音符ごとの強弱」』内のパターン①とパターン②では強弱の位置が異なります。ということはそれぞれ違うタイミングで音の波が生まれますよね。大事なポイントは「リズムは同じなのに波の位置が違う」という点です。これが「グルーヴの違い=ノリの違い」です。
 例えば同じバンド内で、グルーヴ①、グルーヴ②、それぞれの感じ方で自分のパートを奏でる人が混在していると?……感の良い人は分かりましたね(‘ω’)ノ……これについては後日また詳しく触れましょう。

波の大きさを決める「フレージング」

 さらに、『⑶「音符ごとの強弱」』ではなく、『⑵「フレーズごとの強弱」』のように、長めの単位で強弱をつけるとどうなるかというと、長めの強弱により「中くらいのグルーヴや大きいグルーヴ」が生まれ、それはそれで違った「ノリ」を作ることができるわけです。このように「フレーズをどれくらいの長さで捉えて区切るのか」については、「フレージング」と言います。「どこで区切るのか」は、メロディの構造によってはある程度自動的に決められてしまいますが、歌い手が自由に区切れる部分も多くあって、どんな「グルーヴ=ノリ」で歌うのかを決める重要な作業になります。

……

 はい、これが「グルーヴ」の正体となります。実用的なグルーヴの作り方などはまた後日詳しく扱いますのでしばしお待ちください(‘ω’)ノ。では動画サンプルでの紹介をしていきましょう!……と思いましたが、また長くなりましたので今日はここまでにします。次回part4でお会いしましょう。


次回以降予告

4.グルーヴによる「歌い方」の種類(第7回

⑴「フレージング」
⑵「アーティキュレーション」
⑶「2個イチ※」
⑷「文節区切り」
⑸「リズムによるグルーヴ」

5.リズム変化による「歌い方」の種類第8回

⑴「シンコペーション」

6.速度変化による「歌い方」の種類第8回

⑴「タメ」と「走り」
⑵「フェルマータ」

7.テクニック応用表現編!第8回

⑴「モノや動きも表現」
⑵「歌詞なし声だけで感情表現」

本コラムの執筆者

tOmozo

岩手県田野畑村出身。独学で中学1年の時にピアノ演奏、高校時代から作曲を始める。北海道教育大学大学院音楽教育専修修了。在学時から札幌の自宅で音楽教室を開く。2016年より岩手県盛岡市にてNoteOn音楽指導部を立ち上げ、ヴォイストレーニングだけでなく、ピアノ、作曲などのレッスンを行なっており、各SNSでは演奏やレッスンのコンテンツを投稿している。芸能プロダクションでのトレーナー経験があるだけでなく、作曲、編曲の仕事もしており、TV番組やCMソングなども担当。

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