【連載】『ENGAB♡AtoZ』
ENVii GABRIELLA
Takassyが明かすアーティスト名“souljuice”の由来「楽曲は魂を混ぜ合わせたジュースみたいなもの」〜【ENGAB♡AtoZ】第19回〜
2024.08.20
※本連載は、音楽系エンタメサイト『耳マン』の更新終了に伴い、2024年3月より当サイト『Vocal Magazine Web』にお引っ越ししました。第7回までの連載記事はこちらをご覧ください!
唯一無二の3人組オネエユニットENVii GABRIELLA(通称エンガブ)のメンバーが愛してやまないヒト・モノ・コトについて、アルファベットのAからZを頭文字に始まるキーワードで紹介していく連載『ENGAB♡AtoZ』。第19回はTakassyが“S”を担当し、“souljuice”をテーマに、自身のアーティスト名の由来について綴ります。
【S】Takassyが明かすアーティスト名“souljuice”の由来
私のアーティスト名はずっと“souljuice”です。
ソロアーティスト時代はこの名前で活動をしていました。
エンガブとして活動をしている今は、メンバーネームは“Takassy”。作家としての表記はすべて“souljuice”にしています。
今回は名前の由来について、お話ししようと思います。
あ。どうしよう。この話、絶対おもしろくならない気がしてきた。
私が生まれて初めて、自分のオリジナル楽曲というものを持ったのは、音楽の専門学生の頃でした。
当時は、作曲のノウハウも、トラックを作るノウハウも、機材も持っていなかったので、学内で知り合った“作曲家コース”という学科に所属していた男性Hと仲良くなり、彼に主に曲を作ってもらっていました。
彼との作業は、初めは新鮮で、「嗚呼自分もやっと自分だけの曲を手に入れることができたんだ!」という喜びで、曲をもらうたびに喜び勇んで、人生の闇に焦点を当てた歌詞ですとか、人間の儚さについて書いた歌詞ですとかを書き殴りまくっていました。
暗黒時代と呼んでいる高校生活が終わってから数ヶ月しか経っていなかったので、明るいネタがなかったのです。
そうしてオリジナル楽曲の試作品が数曲ほどできた頃、私の作家魂が産声をあげたのでした。
面倒なものが世に放たれました。
そしてその生まれたばかりの作家の私は、Hが作る曲に意見を言い出します。
「ビートをもっと洋楽っぽくしてくれ」
「音色を変えてくれ」
「メロディーをもっとこうしてくれ」
「ああしてくれ」
「機材くれ」
初めは歌詞だけを自分で書いていたのですが、彼に使わなくなったMIDIキーボード(打ち込みができるキーボード)を“譲り受けた”のを機に、少しずつ自分で簡単なトラックを作り、そこにメロディーを乗せるということを覚え始めました。
そうすると、私の要求はどんどん高度なものになっていき、Hは段々その要求がだるくなってきたのか、私が彼のアパートに赴くと、床に寝そべり、業務スーパーで買ってきた大量のクロワッサンが入ったどでかいビニール袋を抱き締めながら
「このクロワッサンは貴重だから誰にもあげない」
とわめきながら、業務用だから貴重でもなんでもない大量生産のクロワッサンを貪っていました。
そのせいか、私はいまだにクロワッサンを見ると彼を思い出します。
なんとか曲を作ってもらいたかったので、あの手この手で気分を持ち上げようとしたのですが
「セリーヌ・ディオンっていいよね」
とか訳のわからない返答するばかりで、むしろ My heartは Will Go Offという状況になっておりました。
そんなんでしたので、私はしばらく彼と距離を置くことにして、違う作曲家コースの生徒と交流を持ち、気持ちを新たに作曲活動に勤しみ始めました。
私のなかで鳴り響いている、まだ形にならない曲たちが、毎日毎日私に曲を作るように煽ってきました。
そしてHと作業をしなくなって数ヶ月、私が学内のスタジオで、抑えきれない作曲への衝動をぶつけんとばかりに、ブリトニー(・スピアーズ)の真似をしながら「ゥウップスアーイディッデナゲーーーーンンナっっ」とか熱唱していると、突然彼から連絡がきました。
「曲ができたよ」
私は飛ぶように業務用クロワッサンの元へ駆けつけました。しかしもはやクロワッサンはそこにはありませんでした。ああ。ひとつくらい食べたかったわ。
代わりに、最新機材で一新された彼の部屋を見ることになりました。会っていなかった数ヶ月の間に、Hの環境も作曲方法食生活もすさまじいアップデートをしていたのです。
そしてそこで初めて聞かせてもらった曲が、“soul”と名づけることになる、私が心の底から大切にした作品だったのです。
Hとは専門学校を卒業してからも数年間音楽制作をともにしていました。
そのときのふたりのプロジェクト名が、ふたりが初めて作ったと思えた楽曲のタイトルを入れた“souljuice”と言います。
「楽曲は魂を混ぜ合わせたジュースみたいなもの」
というのが由来です。
私の作品は “souljuice”であり続けます
その後数年で彼とは別々の道を歩むことになりましたが、私は引き続きその名を使い続けました。
以降、折々で関わってくれるアレンジャー仲間、ステージをともにするダンサーたち、専門スタッフ。そのすべての才能混ざったもの。私ひとりでは決してひとつの作品も完成されることはない。
私の作品は“souljuice”である。というのが私の名前であり信条です。
時を経て、エンガブのメンバーとして活動していても、エンガブのひとつの楽曲が完成するまでに、さまざまな人たちの才能や労力、技能、時間が注ぎ込まれています。
だから、私が曲を作る時の名前は、すべての仲間へのリスペクトを込めて“souljuice”であり続けます。
あの大量のクロワッサン、どこで買ってたんだろ。
しかもそんなに美味いんか。マジで気になってる。一生。
(Takassy)
Takassy(タカシ)
3月24日生まれ、神奈川県出身。音楽ユニット・ENVii GABRIELLAのリーダーで、YouTubeチャンネル『スナック・ENVii GABRIELLA』のママ。同ユニットの楽曲やアートワークを担当している。専門学校でボーカルを専攻し、卒業後はsouljuice(ソウルジュース)名義でアーティストとしての活動を開始。楽曲やデザイン、ステージングなどのセルフプロデュースを行うほか、メジャーアーティストへの楽曲提供も行う。2022年12月には自身初となる著書『私は私の幸福論を歌うから、あなたはあなたの幸福論を歌えばいいの』を発売した。
・Takassy X:https://x.com/souljuicemuzik
・Takassy Instagram:https://www.instagram.com/souljuicemuzik/
リリース情報
メジャーセカンドミニアルバム『DVORAKKIA』
2024年5月29日(水)リリース
収録曲
1. Mother Ship / Message in a Bottle
2. Portrait of Love / Petal Dance
3. Cherry Pie / Dvorakkia
4. Strangers / Fate
5. 哀恋
6. 僕の名を持つ君へ
7. Sail On
リリース&特典情報
https://www.kingrecords.co.jp/cs/t/t14730
ダウンロード&サブスクリプション
https://engab.lnk.to/DVORAKKIA_CD
本コラムの執筆者
ENVii GABRIELLA
ENVii GABRIELLA
Takassy(タカシ)、HIDEKiSM(ヒデキズム)、Kamus(カミュ)からなる唯一無二の“最強オネエユニット”。それぞれ違うフィールドで活躍していた3人が、2017年3月よりユニットでの活動を開始し、2021年10月にメジャーデビュー。バラエティ豊かな楽曲、圧倒的な歌唱力、息の合ったダンス、ピンヒールを着用しての華麗なパフォーマンスが特徴的。“動画で楽しむ新宿二丁目”がコンセプトのYouTubeチャンネル『スナック・ENVii GABRIELLA』も人気で、約20.6万人のチャンネル登録者数(2023年11月時点)を誇る。
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