【連載】『ENGAB♡AtoZ』

ENVii GABRIELLA

Takassyが思うJ-POPの魅力「世界のあらゆる音楽と融合して出来上がったジャンル」〜【ENGAB♡AtoZ】第10回〜

2024.04.2

※本連載は、音楽系エンタメサイト『耳マン』の更新終了に伴い、2024年3月より当サイト『Vocal Magazine Web』にお引っ越ししました。第7回までの連載記事はこちらをご覧ください!

唯一無二の3人組オネエユニットENVii GABRIELLA(通称エンガブ)のメンバーが愛してやまないヒト・モノ・コトについて、アルファベットのAからZを頭文字に始まるキーワードで紹介していく連載『ENGAB♡AtoZ』。第10回はTakassyが“J”を担当し、J-POPの魅力や音楽家としての関わりについて綴ります。


■【J】Takassyが思うJ-POPの魅力と音楽家としての関わり

「エンガブの楽曲のジャンルってなんですか?」っていうのは、よく聞かれる質問のひとつ。そういうときに思うのが、「ジャンルなんて考えて曲作ってないんだが」ということ。よく、海外の音楽にかぶれきった人々が「日本の音楽は遅れている」とか「海外では通用しない」とか言うけれども、果たしてすべての音楽家が世界規模で認められたいとか思ってるのか。なかにはいると思うの。「より多くの人に自分の曲を届けたい」「認められたい」っていうのは、作品を作ってる以上はきっと誰しもが抱く想いだから。でも、常に“最新のトレンド”を意識しているシンガーソングライターはあまりいない気がする。

日本には演歌、民謡、歌謡曲などの音楽があって、そこに海外の音楽のエッセンスが加わって、独自の進化を遂げることでJ-POPが確立されている。私はこの流れが好き。クリエイターは「まずは盗め」ってどのジャンルでも言われるんだけど、アイディアや技術を真似してみてそこからオリジナリティが生まれていき、新しいものが生まれる。世界の歴史を紐解いても、知識や技術を盗んで高みに上げて、また盗んでアレンジして新しいものを作り上げて、文明は発展している。芸術だってそう。

J-POPの素敵なところは、良い意味で恥もプライドも気にせずにいいものを取り入れて、歌謡曲と混ざり合って、新たな音楽としてひとつの国に根付いたというところだと私は思っている。“日本語”という、音楽に乗せるには非常に不利な言語を駆使して作られた行間を読ませる歌詞とともに、歌いやすいメロディで奏でられる歌謡曲。それが、世界のあらゆる音楽と融合して出来上がったジャンル。

私は昭和歌謡やジャンルが確立したばかりの頃のJ-POP、シティポップとかをすごい聴く。日本語の発音が綺麗で、トレンドのメロディなのに“言葉”を大事にしている作りが好きだから。「ああ、こうやって歌うと綺麗に聴こえるんだ」とか、発見が多い。

■人生や考え方において大切にしている“J-POPマインド”

そんなに持ち上げておきながら、私は“曲を作るモード”のとき、J-POPをまったく聴かないんだけど。なぜかって言ったら“○○風の曲”を参考にしたら、もとのルーツのエッセンスがさらに薄まっちゃうと思うから。果汁30パーセントのオレンジジュースがカラオケ屋のドリンクバーでさらに水と合体して、“オレンジ風の何か”になる感じと似てるかも。冒頭で「ジャンルなんて考えていない」と言ったけれども、“エンガブが表現するのにふさわしいジャンル”は意識しているという話で、1曲1曲のジャンル……というかルーツみたいなものはとても大事にしているし、強調するようにしてはいるのね。

それは音楽へのリスペクトでもあるんだけど、例えば「“レゲエ”をやりたい」って思って私が作っても、血に刻まれていないからどうやっても“それっぽいもの”しかできない。だから、作ると決めたらしばらくは本場のレゲエを聴き続けて、そのジャンルについて勉強するところから始めてみる。数ヵ月はそれしか聴かないってこともある。そうやって全力でレゲエの曲を作って、初めていい感じに“それっぽいもの”ができる。

歌謡曲とJ-POPで育った私がよその国の音楽に本気で向き合っても、最終的には“〇〇風のTakassyが作った曲”に落とし込まれる。でも、それでいいと思ってるし、むしろそれを望んでいる私。だって、それが日本で生まれ育った私が、私らしさのある音楽を日本語の歌詞に合うように作った結果でしょうから。

だから私、どんなジャンルでも聴きたいし作ってみたい。「曲の系統は揃えたほうがいい」っていう人もいるかもだけど、エンガブの音楽のジャンルは“私が作ってる系”だと思ってるのね。だから、良くも悪くも「Takassyっぽいよね」って言われると嬉しい気持ち、ある。マンネリとか癖とか、直したほうがいいこともあるかもしれないけど、シグネチャー(私らしさ)が刻まれてる気もするから。

J-POPの素敵なところって、このマインドだと思うわけ。全力で素晴らしい音楽たちを迎え入れて自分に取り込んで、新しいものを生み出す力。センス。この“J-POPマインド”は、私の人生や考え方の根源になっています。やるならとことんやる。大袈裟なくらいに突き詰める。

自分で100パーセントの力で突き詰めたところで、他人からは40パーセントくらいにしか見えないことがほとんどだし。ちょうどいいのよ、100パーセントが。逆に初めからちょっとかじったくらいの40パーセントの力でやったら、他人からはほぼやってないように見える。その妥協がダサくさせる。中途半端にやったことはすぐにバレる。ね。J-POPの魂、めっちゃかっこいいよね。

100パーセントの力で挑んだ結果の写真(メジャーセカンドミニアルバム『DVORAKKIA』アーティスト写真)。その①

私の場合、気づいたら100パーセント以上の力で作ってて、ドン引きされることが多々あるのと、音楽に全振りしすぎて、ほかがおざなりになってしまったんだけど。てへ。

100パーセントの力で挑んだ結果の写真(メジャーセカンドミニアルバム『DVORAKKIA』アーティスト写真)。その②

冒頭の話に戻ります。
「エンガブのジャンルってなんですか?」
その答えは、おわかりいただけただろうか。

J-POPよ。

(Takassy)


□ENVii GABRIELLA リリース情報

・2024年5月29日(水)
メジャーセカンドミニアルバム『DVORAKKIA』(ドヴォルザキア)をリリース!

□ENVii GABRIELLA ツアー情報

『ENVii GABRIELLA LIVE TOUR 2024「DVORAKKIA」』
・6月21日(金)〜22日(土) @cube garden(北海道)
・6月29日(土) @Zepp Namba(大阪)
・6月30日(日) @Zepp Nagoya(愛知)
・7月6日(土) @DRUM LOGOS(福岡)
・7月14日(日) @Zepp DiverCity(東京)


Takassy(タカシ)

3月24日生まれ、神奈川県出身。音楽ユニット・ENVii GABRIELLAのリーダーで、YouTubeチャンネル『スナック・ENVii GABRIELLA』のママ。同ユニットの楽曲やアートワークを担当している。専門学校でボーカルを専攻し、卒業後はsouljuice(ソウルジュース)名義でアーティストとしての活動を開始。楽曲やデザイン、ステージングなどのセルフプロデュースを行うほか、メジャーアーティストへの楽曲提供も行う。2022年12月には自身初となる著書『私は私の幸福論を歌うから、あなたはあなたの幸福論を歌えばいいの』を発売した。
・Takassy X:https://x.com/souljuicemuzik?s=20
・Takassy Instagram:https://www.instagram.com/souljuicemuzik/

本コラムの執筆者

ENVii GABRIELLA

ENVii GABRIELLA
Takassy(タカシ)、HIDEKiSM(ヒデキズム)、Kamus(カミュ)からなる唯一無二の“最強オネエユニット”。それぞれ違うフィールドで活躍していた3人が、2017年3月よりユニットでの活動を開始し、2021年10月にメジャーデビュー。バラエティ豊かな楽曲、圧倒的な歌唱力、息の合ったダンス、ピンヒールを着用しての華麗なパフォーマンスが特徴的。“動画で楽しむ新宿二丁目”がコンセプトのYouTubeチャンネル『スナック・ENVii GABRIELLA』も人気で、約20.6万人のチャンネル登録者数(2023年11月時点)を誇る。

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