【連載】『ENGAB♡AtoZ』

ENVii GABRIELLA

Takassyが綴る自身のVoice(声)「何度も私を困らせて泣かせて、人生を満たしてくれた声」〜【ENGAB♡AtoZ】第22回〜

2024.10.1


※本連載は、音楽系エンタメサイト『耳マン』の更新終了に伴い、2024年3月より当サイト『Vocal Magazine Web』にお引っ越ししました。第7回までの連載記事はこちらをご覧ください!

唯一無二の3人組オネエユニットENVii GABRIELLA(通称エンガブ)のメンバーが愛してやまないヒト・モノ・コトについて、アルファベットのAからZを頭文字に始まるキーワードで紹介していく連載『ENGAB♡AtoZ』。第22回はTakassyが“V”を担当し、 “Voice”(声)をテーマに、自身の声について綴ります。

【V】Takassyが綴る自身のVoice(声)について

私は自分の声が嫌いだ。

「お酒好きそうですよね」
「風邪ひいてますか?」

大体出会い頭にこういうふうな質問をされる人生。

歌いたいジャンルの曲を歌って上手くいったためしはなかったし、流行りの男性ボーカルの曲を歌ってもしっくりきたことはなかった。

私のシンガー人生は、ずっと自分自身との戦いだった。
なんでこんな声なのか。なんで強い喉に生まれてこなかったのか。なんでこんなに歌が下手なのか。

さらりと綺麗な声で歌う、シンガー仲間を横目に、何度も泣きながらスタジオに入って歌い続けたこともあった。いろんなシンガーの真似をして歌ったこともあった。本当に歌いたい曲を歌わずに、あえて上手く聴こえそうな曲を選んで歌っていたこともあった。

自分以外のシンガーの欠点を必死で探して自分に嘘の自信を植え付けていたこともある。
楽だよね。そういうの。自分は努力しないで人を落とせばいいんだもん。
でも、スタジオに入ったら。ステージに立ったら。
結局目の前に立ちはだかるのは自分自身。
散々嫉妬したり、目の敵にしたり、見下してた存在なんて、その瞬間には思い出しもしない。
何もできない、成長もしていない自分自身が目の前に立っているだけ。
その瞬間になって思い知る。敵対意識を燃やす相手を間違えていたってことに。誰も私を攻撃していなかったし、誰とも競っていなかった。

結局、本当の自分を知ることが怖くて、自分の努力が足りていないということに気づきたくなかった。
努力しているふりをして、ちょっとでも成長していると思い込んで、一瞬出せたいい声にすがってた。

何度もギリギリになって、それを思い知っては忘れてっていうことを繰り返していたけれど、父との死別や、所属していたグループの解散、生活苦などのいくつかのターニングポイントを経て、自分自身と向き合う覚悟や、そのやり方が身についていきました。

自分の声を好きになれるように、いいなと思える歌声が出せるように行った努力

私は「最悪」と「最高」を思い出す。
そういう方法を使っています。
「自分より不幸な人がいる」とか考えて気分を上げる人もいますが、私は、自分がやれることをやらなかったために悔しい思いをした瞬間を忘れないようにしています。
「もっとがんばっていれば良かった」。そう思って後悔したときのことを、めげそうになった時に思い出します。
そして、努力が認められた瞬間のことも同時に思い出すようにしています。

自分の性格と身体と声に真正面から向き合いながら、自分なりに納得できる歌唱法や歌声を模索して、トライアンドエラーを繰り返す。練習を「自分なりに」ではなくて、事実として続ける気持ちを強く持つ。
自分の声を好きになれるように、いや、自分自身がいいなと思える歌声が出せるように。

せめて自分が作った曲では、「タカシの歌が好き」と思ってもらえるように。

レコーディングをするとき、デモを作る段階で、私は自分ひとりきりで何度も何時間も録音を繰り返します。
歌って、聴いて、直して。
その時間は最高に楽しい。制限もないなかで、いろんな歌い方を試して、同時に練習して、リアルタイムで精度が上がってゆく。
そんな作業のなかで何度も、「いい声だな」って思える瞬間に巡り会えるようになりました。

今でも、目の前に立ちはだかっているのは、「素の自分」。なんの補正もかかっていない自分です。
でも私はその姿から目を逸らすことを辞めました。どんなときでも、その自分から目を逸らさずにいようと心がけています。

掠れてるように聴こえて、ちょっと湿っぽい。
性別が曖昧で太くて細い。
そんな自分の歌。
今まで何度も私を困らせて泣かせて、だけど人生を満たしてくれた声。

これからもずっとそう。

私は自分の声が嫌いだ。
嫌いだった。

オネエユニット前の雄々しい私
オネエユニット初ステージ
ステージは孤独との戦いだったりする。カッコよく言ってみれば

(Takassy)



Takassy(タカシ)

3月24日生まれ、神奈川県出身。音楽ユニット・ENVii GABRIELLAのリーダーで、YouTubeチャンネル『スナック・ENVii GABRIELLA』のママ。同ユニットの楽曲やアートワークを担当している。専門学校でボーカルを専攻し、卒業後はsouljuice(ソウルジュース)名義でアーティストとしての活動を開始。楽曲やデザイン、ステージングなどのセルフプロデュースを行うほか、メジャーアーティストへの楽曲提供も行う。2022年12月には自身初となる著書『私は私の幸福論を歌うから、あなたはあなたの幸福論を歌えばいいの』を発売した。
・Takassy X:https://x.com/souljuicemuzik
・Takassy Instagram:https://www.instagram.com/souljuicemuzik/

リリース情報

メジャーセカンドミニアルバム『DVORAKKIA』
2024年5月29日(水)リリース

DVORAKKIA』KING e-SHOP限定豪華盤ジャケット
『DVORAKKIA』KING e-SHOP限定豪華盤
『DVORAKKIA』通常盤ジャケット
『DVORAKKIA』通常盤

収録曲

1. Mother Ship / Message in a Bottle
2. Portrait of Love / Petal Dance
3. Cherry Pie / Dvorakkia
4. Strangers / Fate
5. 哀恋
6. 僕の名を持つ君へ
7. Sail On

リリース&特典情報

https://www.kingrecords.co.jp/cs/t/t14730

ダウンロード&サブスクリプション

https://engab.lnk.to/DVORAKKIA_CD

本コラムの執筆者

ENVii GABRIELLA

ENVii GABRIELLA
Takassy(タカシ)、HIDEKiSM(ヒデキズム)、Kamus(カミュ)からなる唯一無二の“最強オネエユニット”。それぞれ違うフィールドで活躍していた3人が、2017年3月よりユニットでの活動を開始し、2021年10月にメジャーデビュー。バラエティ豊かな楽曲、圧倒的な歌唱力、息の合ったダンス、ピンヒールを着用しての華麗なパフォーマンスが特徴的。“動画で楽しむ新宿二丁目”がコンセプトのYouTubeチャンネル『スナック・ENVii GABRIELLA』も人気で、約20.6万人のチャンネル登録者数(2023年11月時点)を誇る。

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