【連載】『ENGAB♡AtoZ』
ENVii GABRIELLA
Takassyの人生のテーマともいえる“Yetマインド”「私は私に満足はしない」 〜【ENGAB♡AtoZ】第25回〜
2024.11.19
※本連載は、音楽系エンタメサイト『耳マン』の更新終了に伴い、2024年3月より当サイト『Vocal Magazine Web』にお引っ越ししました。第7回までの連載記事はこちらをご覧ください!
唯一無二の3人組オネエユニットENVii GABRIELLA(通称エンガブ)のメンバーが愛してやまないヒト・モノ・コトについて、アルファベットのAからZを頭文字に始まるキーワードで紹介していく連載『ENGAB♡AtoZ』。第25回はTakassyが“Y”を担当し、自身の人生のテーマともいえる “Yetマインド”を綴ります。
【Y】Takassyの人生のテーマともいえる“Yetマインド”
※最初にひとつ誤解のなきよう言っておきますが。これは、私の“Yetマインド”についての話です。
皆様に“失敗作”や“失敗”を観てもらっているわけでも聴いてもらっているわけでもありません。
お金を払ってもらっている以上のものを届けている自信はあります。
安心してお楽しみください。
どのくらいで満足するか。
それが私の人生のテーマのようでもあります。
目の前には永遠に続くテーブル。そこには地の果てまで並んでいる見えないグラスがある。
その中に希望だったり夢だったり愛だったり欲だったり、いろいろ詰め込んで。いっぱいになるまで。
いっぱいになるかならないかを見定めずに、次のグラスが目の前に置かれる。
私はそのグラスに永遠に注いでいる。何かを。
何を注いでいるんだろう。どこまで注ぐんだろう。
私が、巨大なグラスの中で溺れるまでなのだろうか。
私は満足をしたことがほとんどない。
すぐにお腹はいっぱいになるのに、心はいっぱいになることはない。
みんなそうなのかな。
以前、私は身体に慢性的な痛みがありました。それはみんなが持っているものだと思っていたら、「そんな痛みはない」と知人に言われました。
そう言われたことで、私が当たり前だと思っていることは、人それぞれなんだと痛感しました。
そんなの当然じゃないか。でも、意外と自分に染み付いているものは、自分自身の常識となって世界の常識になっている「気がする」なんてことは多いと思います。
「とても良い」そういう言葉を信じられないくらいには自分に自信はありません。
どんなに努力したところで、努力が足りていたことなんてないし、どんなに完璧なパフォーマンスをしたところで、それが完成だと思ったこともない。
数え切れないほどのステージに立って、歌って踊ってきた。
だけど、一夜だってステージのあとに満足して眠れたことはない。
その日のパフォーマンスを映像で見返すときの再生ボタンが地獄の入り口だと思っているし、その日のパフォーマンスの感想を言われることも苦痛でしかない。
良かったと言ってほしいのに、良いとは思っていないから満足できない。
良くなかったと思っているのに、良くなかったと言われて傷つく。
努力してなさそうな人に感想を言われてもまったく響かないし。
他人の評価がすべてのエンターテインメントの世界で、商品としての価値は誰かが決めてください。
でも、私は永遠に自分を高く評価することができないままです。
失敗は自分が一番わかっているし、他人から見て失敗ではなくても思い描いた自分のステージと少しずれていたら、それはもう私には失敗なのです。
ステージに限らずに私の人生はそんなことの連続です。
どのくらいで満足するか。
歌うことを辞めるっていうことを考えたこともなかった
さて。もう一度、誤解のなきよう言っておきますが
これは、私の“Yetマインド”についての話です。
私のグラスは永遠に満たされないまま次のグラスに注ぐ羽目になっている気がする。
次こそは綺麗に注いでやろうという気持ちで注ぎ始めて、注ぎ終わる頃に同じことが起こり、そして次へ。
注ぎ切らなかったその量が、ちょうど良いという気持ちもある。
適量だったという気持ちもある。
出した作品がとても良いという自信もある。
昨晩のステージがすごくエモーショナルで良かったという思いもある。
ライブ映像を観ながら、今日はここが良かったとか、前より成長しているとか
そういう当たり前の自己評価ももちろんするし、発見することもできる。
いや、それがなかったらとっくに辞めてる。
いや、辞めてないか。
辞めるってなんだ?
この前、昔の仕事仲間と会話をしていたときの話。
「リハーサルしながら自己嫌悪に陥ったりして、とんでもない道を選んでしまったなと改めて感じてゾッとしてる」
みたいな話をしたら、
「強制されているわけではないのだから、辞めるという選択肢もあるにはあるし、一生ではないんじゃないか」
と言われるやりとりがあったのですが、私はちょっとびっくりしてしまった。自分に。
そんなこと思ってもみなかったから。歌うことを辞めるっていうことを考えたこともなかったから。
辛いから辞めるって何?みたいな感じで。だってこれ以外に私がやるべきことないんだけど。人生で。
あ。音楽って辞めることもできるんだ。普通は。あはははは。
私今まで生きてきて、音楽と「やる」「辞める」を結びつけたことなかった。
だって、ほかのことじゃ満足できないもの。
自分を乗り越えたときの快感や達成感は味わえないもの。
この前踊れなかった振り付けを、すんなり踊れた時の喜び。
歌いづらかったパートをものにしたときの喜び。
出なかった音が出た時の感動。
それ以上のものが人生にある気がしない。
だから。
どのくらいで満足するか。
その答えは、ありません。
私は、実は“満足しない自分”に満足している。
それは向上心を生み出すから。
それは明日を生きようと思わせてくれるから。
それが新しい作品を作り出すから。
生きづらいと言われても、私は明日の自分が少し生きやすくるすために生きづらくしているのだ。
きっとこの思いが、明日の私を今日より強くしてるだろうし、この前よりもレベルアップさせてくれるだろうし
乗り越えたときの喜びを与えてくれるだろう。
満足し切ってしまったとき、私は音楽を辞めるのだろうと思う。
だから、今日の私よ。いつもどおり、耐えてくれ。よろしく頼みます。
ほかの人が私をどう言おうとも
私は私を絶対に褒めないし、私は私に満足はしない。
そういうふうに生きていく。
(Takassy)
Takassy(タカシ)
3月24日生まれ、神奈川県出身。音楽ユニット・ENVii GABRIELLAのリーダーで、YouTubeチャンネル『スナック・ENVii GABRIELLA』のママ。同ユニットの楽曲やアートワークを担当している。専門学校でボーカルを専攻し、卒業後はsouljuice(ソウルジュース)名義でアーティストとしての活動を開始。楽曲やデザイン、ステージングなどのセルフプロデュースを行うほか、メジャーアーティストへの楽曲提供も行う。2022年12月には自身初となる著書『私は私の幸福論を歌うから、あなたはあなたの幸福論を歌えばいいの』を発売した。
・Takassy X:https://x.com/souljuicemuzik
・Takassy Instagram:https://www.instagram.com/souljuicemuzik/
リリース情報
メジャーセカンドミニアルバム『DVORAKKIA』
2024年5月29日(水)リリース
収録曲
1. Mother Ship / Message in a Bottle
2. Portrait of Love / Petal Dance
3. Cherry Pie / Dvorakkia
4. Strangers / Fate
5. 哀恋
6. 僕の名を持つ君へ
7. Sail On
リリース&特典情報
https://www.kingrecords.co.jp/cs/t/t14730
ダウンロード&サブスクリプション
https://engab.lnk.to/DVORAKKIA_CD
本コラムの執筆者
ENVii GABRIELLA
ENVii GABRIELLA
Takassy(タカシ)、HIDEKiSM(ヒデキズム)、Kamus(カミュ)からなる唯一無二の“最強オネエユニット”。それぞれ違うフィールドで活躍していた3人が、2017年3月よりユニットでの活動を開始し、2021年10月にメジャーデビュー。バラエティ豊かな楽曲、圧倒的な歌唱力、息の合ったダンス、ピンヒールを着用しての華麗なパフォーマンスが特徴的。“動画で楽しむ新宿二丁目”がコンセプトのYouTubeチャンネル『スナック・ENVii GABRIELLA』も人気で、約20.6万人のチャンネル登録者数(2023年11月時点)を誇る。
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