【連載】『ENGAB♡AtoZ』

ENVii GABRIELLA

「私がダンサーになりたいって思ったきっかけ」Kamusが長年Respectする“BMH” 〜『ENGAB♡AtoZ』第18回

2024.08.6

※本連載は、音楽系エンタメサイト『耳マン』の更新終了に伴い、2024年3月より当サイト『Vocal Magazine Web』にお引っ越ししました。過去の連載記事はこちらをご覧ください!

唯一無二の3人組オネエユニット・ENVii GABRIELLA(通称エンガブ)のメンバーが愛してやまないヒト・モノ・コトについて、アルファベットのAからZを頭文字に始まるキーワードで紹介していく連載『ENGAB♡AtoZ』。第18回はKamusが“R”を担当し、“Respect”をテーマに、ダンサーを志すきっかけになったダンスユニット“BMH”について綴ります。

【R】Kamusが長年Respectしている“BMH”

ばい菌持ってる鳩。

“ばい菌持ってる鳩”とは一体なんなんだ、と思いますよね(笑)。
単刀直入に言うとプロのダンスユニットの名前なんですよ。
い~ちゃん、もえちゃんのふたり組で、もえちゃんはおっとりとした顔つきのダンサー。い~ちゃんは個性豊かというかキャラクター爆発のダンサー。
ふたりともダンスが上手いのはもちろんですが、ショーケース中に観てる人をステージに釘付けにさせる世界観、ダンス。
そしてフリとは違うところのパフォーマンスが最高でとても魅力的なんです。

ばい菌持ってる鳩、以後BMHと略しますね(笑)。

私がダンサーになりたいって思ったのはこのBMHがきっかけです。
テレビやライブの映像のダンスを観たときは、ダンス上手だなーって思っただけでした。
でも初めてBMHのショーを観たときの感想は、もう1回観たい、真似したい、踊りたいでした。

青森の田舎町に住んでいた何も知らない当時の私は、テレビでBMHのパフォーマンスを一度観ただけで完全にダンスの世界、そしてBMHの魅力に引き込まれました。

ダンサーを志すきっかけになった『スーパーチャンプル』とBMH

『スーパーチャンプル』。食べものの話ではないです(笑)。
私の学生時代に深夜テレビで放送されていたダンス番組です。
司会はDA PUMPさんと鈴木紗理奈さん、そしてパパイヤ鈴木さん。なんと現在私たちエンガブが所属している事務所の大先輩・パパイヤ鈴木さんが出てたんです。
コラムを書きながら、そうだそうだ!って思い出して、憧れてた人と今仕事してるんだー、感慨深いなーって思っています。

昨今、音楽の番組も減っていて、ダンスの番組なんかは本当に少ない。
あ、でも『スーパーチャンプル』は過去の放送分の一部はDVD化されてるみたい! 気になる人はチェックしてほしい。私の青春が詰まっているから。

番組の話に戻りますね。
この番組は名だたるダンサーたちがショーケースを披露したりバトルをしたりするダンスイベントの放送版って感じで、1放送回で何組ものダンサーが出演していました。
そのなかで目が離せなかったのがBMHのおふたりでした。
勝手に名付けていますが“写メやめてダンス”が最高すぎて腹抱えて笑いました。
デスティニーズ・チャイルドの『ルーズ・マイ・ブレス』の曲に合わせてバチバチ踊ってる途中で小ネタを入れてきて爆笑なんです……一度は観てほしい。

もうひとつオススメするなら“無免許CA”。
こちらもノリノリの楽曲でしっかりヒップホップ調なダンスナンバーなのに、笑えてしまってしょうがないストーリーが表現されていて最高です。
1放送でたくさんのダンスのジャンルに触れられて、多種多様なダンサーが観られる番組なので、今観ても楽しいと思います! そんな番組また作ってほしいなぁー。

そんな『スーパーチャンプル』を観ていたら、番組の最後に中高生ストリートダンス選手権なるものを開催するとの情報が発表されました。
これは出場するしかないと思った私は、仲のいい女子とふたり組のダンスユニットを結成しました。
チーム名は“Junk Box”。まるでガラクタを入れた箱、でももしかしたら輝く代物があるかも? そんな感じで付けたっけな。
独学でBMHのダンスの振りを真似したり、お小遣いでダンスの雑誌を買いHIPHOP入門のページを読み漁りました。
そして仙台で行われる地区大会に向かうための青森〜仙台間の新幹線代を、バイトや手伝いをして稼ぎました。

すべてはBMHに会うため。
当時ネットでは掲示板や個人のホームページが流行っていて、BMHのホームページもありました。そのホームページのなかの掲示板にメッセージしたのを覚えています。
そしてひとことメッセージが返ってきたのも忘れられません。もうおふたりは覚えていないと思うけど、嬉しかったし、支えでした。
それらの出来事は私のダンサーになりたいという気持ちを掻き立ててくれました。

結果からいうと選手権は地区大会敗退。そのときの審査員に「ダンスをもっとしっかり基礎からがんばってね」と言われた。悔しかったけど仕方なかった。でも諦めたくなかった。
いつかふたりに会えるなら、今は楽しく踊って勉強だとむしろ燃えました。友達と一緒に学校行事や、地域のお祭りや公民館でもイベントに出たなぁ。めっちゃ懐かしい。

懐かしすぎる写真1
懐かしすぎる写真
懐かしすぎる写真2

(※編注:今回掲載する写真は2008年〜2015年頃に携帯電話で撮影されたもののため画質が粗くなっておりますが、当時のKamusさんのエピソードとともにその時代の雰囲気もお楽しみください)

そして夢は叶う

学生を卒業し、青森から宮城県の陸上自衛隊に入り衛生隊として勤めていました。その頃ダンスに触れられる時間は週に1回のレッスンだけでした。
公務員だとダンスでお金をもらうことができません。仕事の掛け持ちが許されていないので、あくまで趣味として踊っていました。
自衛隊にいれば給料も安定していて健康的に暮らしていける。でも心のどこかでダンスで仕事したいなーと思っていました。

熊が出る田舎から、電車と車とビルがたくさんの街に出るといろいろなものが目に入ります。
アルバイト募集の看板。時給1,200円。その看板を見たときに考えました。

家賃と水道光熱費おさえたらひとり暮らししながらダンスできるんじゃない? すぐに電卓を出して計算しました。出会いの街・東京、チャンスがある街・東京、ダンスで食ってBIGになりたい!!
夢を見始めたあとは早かったです。
電卓を叩き計算をした日からものの3ヶ月で退職し上京。おばあちゃんに頭を下げ、東京で夢を追うと告げた夜は忘れられません。

ワクワクと不安とが入り混じりながら毎日ひとり泣いてたっけな。
敵はそんなにいない。と思いたい。でも頼れる仲間はまったくいない。
そんなどうしようもない自分がたどり着いたのは、ゲイバーでした。

紆余曲折ありながらゲイバーで働いていたある日のお客さんと仲良くなり、友達になりました。
きっかけはダンス。そしてユニットを組みふたりでいろんなイベントに出たりしました。
チーム名は“RA·SISA”。自分らしく踊る。シンプルで自分らしい名前だったなぁw

その子と出た、とあるダンスイベントでとある人に目をつけてもらいました。「君たちイイね。今度うちのイベントにも出てよ」この人のこのひとことで私はいろんなダンサーに出会いました。
絶対上手ではなかったけどふたりで会場を沸かしまくった。シンプルにダンスとダンスで作るあの空間を楽しんでた。気づいた毎週末イベントに出ていたっけ。
本当にその方にはよくしてもらって、今も感謝しかないです。彼の主催するイベントがきっかけで私のチームは6人にまで増え、彼のイベントではピックアップダンサーの地位に辿り着きました。
チーム名は“尖’s”。それぞれが個性をむき出しにして尖って踊る。昔からネーミングセンスに関してはシンプルで鳥肌もんだよw

イベント主催者の彼に「大好きなダンサーがいるんです」と過去の話をすると、彼はあの手この手でコンタクトをとりゲストダンサーとして呼んでくださった。
そのなかには『スーパーチャンプル』でも活躍していた“ひとりでできるもん”さんや“努(おんなまたぢから)”さんがいました。
本当に夢のような時間で、あのテレビの人が目の前にいる!と興奮して、Junk Boxの女の子に自慢げに連絡したなぁ。
そして、その1年後。

ずっと憧れていたばい菌持ってる鳩のおふたりに出会えました。

画質悪いけど思い出の写真 1
画質悪いけど思い出の写真
画質悪いけど思い出の写真 2

忘れもしない、あの日のBMHのショーは羊のパフォーマンスだった。
何度も何度も映像で観た、このショーケース。生で観るのは格別にカッコよくて楽しくて至高だった。
私は、この日までダンスを諦めずやってきて良かったと心の底から思ったよ。

しかもその数年後エンガブのコロナ禍の配信イベントでい~ちゃんからバースデービデオレターをいただいたりもして、自分は本当に幸せ者だと思います。もちろんひとりで叶えた夢ではない。たくさんの人が周りで応援してくれたから。信じてくれたから。関わってくれたすべての方に感謝しています。本当にありがとう。


最後にこれだけは言わせて。
夢は諦めるな。
そして、夢を少しでも叶えた人は次は誰かを応援してあげてほしい。
きっとそうやって巡り巡って夢は叶い続けられる世界になるはずだから。

(Kamus)


Kamus(カミュ)

12月28日生まれ、青森県出身。音楽ユニット・ENVii GABRIELLAのメンバーで、YouTubeチャンネル『スナック・ENVii GABRIELLA』の店子。同ユニットの振り付けを担当している。陸上自衛隊の元隊員で、衛生班・手術班に所属していた。ダンサーの夢を叶えるべく上京し、ショーダンサーやアーティストのバックダンサーをはじめ、バラエティ番組への出演など多岐にわたる活動を経験。TakassyとHIDEKiSMの共通の知り合いであったことから、ENVii GABRIELLAのメンバーとなった。
・Kamus X:https://x.com/NEOkamus1228
・Kamus Instagram:https://www.instagram.com/kamusyuji/

リリース情報

メジャーセカンドミニアルバム『DVORAKKIA』
2024年5月29日(水)リリース

DVORAKKIA』KING e-SHOP限定豪華盤ジャケット
『DVORAKKIA』KING e-SHOP限定豪華盤
『DVORAKKIA』通常盤ジャケット
『DVORAKKIA』通常盤

収録曲

1. Mother Ship / Message in a Bottle
2. Portrait of Love / Petal Dance
3. Cherry Pie / Dvorakkia
4. Strangers / Fate
5. 哀恋
6. 僕の名を持つ君へ
7. Sail On

リリース&特典情報

https://www.kingrecords.co.jp/cs/t/t14730

ダウンロード&サブスクリプション

https://engab.lnk.to/DVORAKKIA_CD

本コラムの執筆者

ENVii GABRIELLA

ENVii GABRIELLA
Takassy(タカシ)、HIDEKiSM(ヒデキズム)、Kamus(カミュ)からなる唯一無二の“最強オネエユニット”。それぞれ違うフィールドで活躍していた3人が、2017年3月よりユニットでの活動を開始し、2021年10月にメジャーデビュー。バラエティ豊かな楽曲、圧倒的な歌唱力、息の合ったダンス、ピンヒールを着用しての華麗なパフォーマンスが特徴的。“動画で楽しむ新宿二丁目”がコンセプトのYouTubeチャンネル『スナック・ENVii GABRIELLA』も人気で、約20.6万人のチャンネル登録者数(2023年11月時点)を誇る。

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