純烈 撮り下ろしインタビュー

【インタビュー】純烈、芝居と歌の2本立ての『明治座9月純烈公演』を語る。歌との向き合い方、音楽監督との化学反応、喉ケアなど(撮り下ろし写真11枚)

2023.08.15

取材・文・撮影:田代智衣里(Vocal Magazine Web)

なんとなく“最大公約数の喜怒哀楽”みたいなものが見える

岩永洋昭
岩永洋昭

──今回のポスターに“純烈の魅力を余すことなくお届けします”と書いてありますが、ずばり純烈の魅力を教えてください。

酒井 純烈半年の岩永さんは、純烈の魅力をどう思いますか?

岩永 程よく力の抜けた感じと、温かさですかね。まず始まる前に“よっしゃいくぞ!”っていう掛け声はまったくないですし、何ならあと5分もないのにリーダーが全然着替えてないし(笑)。程よく抜けてるんですけど、でもステージに立ったらやることはピシッと決められます。

大事には至らなかったんですけど、ライブの途中で具合が悪くなられたご高齢の方がいらっしゃったときも、“ちょっと待って”ってみんなでケアして、“看護師の方いらっしゃったら”って対応したり、最後のハイタッチ会に車椅子の方がいらっしゃったときも、“ゆっくりでいいよ”って、ひとりひとり丁寧にありがとうねって伝えてて。入ってまだ半年なんですけど、改めて考えると温かいなって。

酒井 合格!

白川 明治座出ていい!

後上 試験だったんですね。

酒井 もうそこさえあれば、誰でも純烈なんですよ。でも、それを維持するのは相当意識を持たないと難しくて。やっぱりそういう客層であるし、そういう人に支えていただいてるし。元気欲しいなとか、そういう思いで劇場に足を運んでくださるので、とにかくちょっとでもエネルギーもらったよって思って帰ってもらいたくて。そこがすべてなので、お芝居で足りない人は、歌で元気にするぞっていう気持ちでやります。

──パフォーマンスするうえで、大事にしていることや気をつけていることはありますか?

白川 カッコつけないことかな。僕たちはもともと役者、歌手ではなかったので、必要以上に良く見せようとか、うまく歌おう踊ろうとか、そういった気持ちは持たないようにしてますね。

人間なので、音を外したり声が出なかったり、そういったことがあってもいいんじゃないのかなって、自分の中では思うようにしてます。それによって自分の中であまり息詰まらないように。逃げどころを自分でもちゃんと作っておかないといけないと思ってます。

──お客さんもそれを許容しているし、喜ばれてるような感じがしますよね。

白川 お客さんたちも温かい方がすごく多いですし、自分たちのことを自分の息子のような感覚で見てくださってる方もたくさんいらっしゃるので。もちろんそうじゃなくて、恋愛対象としてガツガツくる方もいらっしゃいますけども(笑)。それはそれで乙女心というか、かわいらしいなと思ってやらせてもらっています。

白川裕二郎
白川裕二郎
後上翔太
後上翔太

──後上さんはいかがですか?

後上 歌とかおしゃべりとかダンスとか、どの場面にも力を入れすぎないようにしています。例えば純烈って、お客様のお席にお邪魔して握手しながら歌ったりとか、歌ってない人はただ握手に没頭するような時間もあったりするんです。

そういうすべての時間をひっくるめて最終的に、“あぁ、何となく楽しかったな、また来たいな”と思っていただければいいと思ってるんです。だからその瞬間瞬間を切り取って、グッと力が入りすぎることがないぐらいに、ちょっと余裕を持たなきゃいけない。かといって瞬間瞬間を切り取ったときに気を抜いて、求めるものから下がりすぎてもいけないし。上がりすぎず下がりすぎず、常に一定のラインでいることを大事にしています。

今回の明治座で言ったら、合間に食べていただくお弁当とか、“150年”という歴史がある空間とか、そういうものも引っくるめて純烈も乗っかって、明治座に来る1日をトータルで“楽しかったね”と思っていただけるようにしたいですね。

──その“程よい感じ”というのは、純烈が場数を踏む中でできてきましたか? それとも初めからメンバーの意識としてあったのでしょうか?

酒井 これはほんまに、目の前のお客さんに合わせて薪をくべるっていうか……湯加減。だから5年前、10年前とはやっぱり変わってきてると思います。その都度、その時々の自分たちとお客さんの状態によって、この瞬間決めていくっていう感じ。

それに対してメンバーが反応、スタッフが反応して、そこに集中する。そういう感覚のほうが強いですかね。だから亡くなってしまったタレントさん、ウクライナだったり、コロナだったり、そのときそのときのみんなの気持ちというかね。

あとは、パッと出ていって幕が開くと、なんとなく“最大公約数の喜怒哀楽”みたいなものが見えるので。それに対して、温かいほうが良ければ温かく、逆にふわっとしてるからズバッと厳しくいったほうがいいとか、なんとなくスパイシーな会にしたほうがいいとか。あとは、すべる会を作ったりもする。

全部面白いとこっちもしんどいし、そういうときに初見で来られたお客さんにはすいませんやし。“初めて来たお客さんはどれくらいですか?”って聞いて、“よし、今日ちょっとすべらせようかな”とか、そういうのもある。

酒井一圭(リーダー)
酒井一圭(リーダー)

──エンターテイナーですね。今回は声出しOKだったり、純烈弁当やチェキがあったり、明治座全体が“純烈ワンダーランド”みたいになる?

酒井 そうです。喫茶店で特別なドリンクが出たりもします。

白川 料理はみんなで考えたりしましたね。

酒井 明治座の工場まで行ったりしました。のぼりをデザインしたタオルなど、明治座さんも前回よりもパワーアップした企画をいろいろ考えてくださって、とにかくみんな“お客さんが楽しめるように”って。

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