【連載】『この季節が終わる前に〜わたしと〇〇のはなし〜』

すぅ(SILENT SIREN)

第21回:ミニアルバム『YOUTHFUL』全曲解説 SILENT SIREN・すぅ『この季節が終わる前に〜わたしと〇〇のはなし〜』

2024.05.7

※本連載は、音楽系エンタメサイト『耳マン』の更新終了に伴い、2024年3月より当サイト『Vocal Magazine Web』にお引っ越ししました。過去の連載記事はこちらをご覧ください!

こんにちは! すぅです。

最近のわたし

春到来!と思いきやすでに桜が散っていく東京。切ないですね。儚く切ないからこそ人々の心を魅了するのかな。

このコラムがアップされる頃にはツアーファイナルが終わっていると思いますが、4月頭からミニアルバム『YOUTHFUL』を引っ提げてのツアーを開催しています。(※4月20日のZepp Diver City公演にて終了)

今回はそんな『YOUTHFUL』に収録されている楽曲についての解説をしていきたいと思います。

1. オンリーワン

まず1曲目の『オンリーワン』。

この曲はアルバムの最後にできました。

バランスを見て、やっぱりサイサイの『チェリボム』っぽい盛り上がる曲は欲しいよね!となり、できた曲。

この頃にはもう納期がギリギリだったので、曲ができて速攻で書き上げました。

初めてワンちゃん目線で歌詞を書き、恋愛ソングとも捉えられる新しい1曲になりました。

サビ前に何かフックになる言葉が欲しいというオーダーがあり、ありきたりな言葉が嫌だったところで「ちょっと待て、お手!」というフレーズが出てきました! そこからAメロ・Bメロを組み立てていきました。

ライブではお客さんがワンちゃんポーズで盛り上げてくれる異様でサイサイらしい盛り上がる1曲になりました!(笑)

2. Sus 4

2曲目の『Sus4』。

こちらはリードトラックで再始動後の1曲目として先行リリースした曲です。

2013年にリリースしたセカンドシングル『stella☆』の続編として制作に入りました。

『stella☆』は、当時もっとポップで元気な曲をリリースしたほうがいいのではないかという意見もあるなか、絶対にリリースしたいと貫いた曲です。デビューして間もない頃で希望と不安でまだいっぱいななか、応援してくれるファンの方や仲間の存在が星のように輝き道を照らしてくれているという想いを込めて作って、今でも大切にしています。

サイサイの活動休止や私自身の手術もあり、たくさんの環境の変化があったけど、それでもまだあの頃に抱いた夢を諦めず音楽を続けるという選択をしました。

『stella☆』に「壊れて動かなくなるまで走るよ」という歌詞があり、続編の『Sus4』では「壊れそうでもまだ動いてる」という歌詞があります。

そのほかにも『stella☆』の歌詞を引用していたり、演奏面でも『stella☆』を彷彿させるフレーズがあるのでぜひ聴き比べてみてほしいです。

みんなにとっても追い風になるような曲になれば嬉しいです。

3. 衝動

3曲目の『衝動』。

アルバムのなかでは無骨な感じが新鮮なロックナンバーです。

こちらも納期がギリギリで(結果全曲ギリギリでしたが)焦りもあるなか、自分が今書きたいと思っているテーマと曲調がバシッとハマり、音源が上がってきたその日に歌詞を書き上げました。

メンバーの脱退や活動休止のタイミングで感じた悔しさや、ここで終わってたまるか!という感情を爆発させました。

昔から悔しいという感情がエネルギーになっていたし、私たちのしぶとさが伝われば良いなと。

いつだってキラキラしていたいけど、いつだって戦闘体制モードなSILENT SIRENです。

4. 最愛の君へ

4曲目の『最愛の君へ』。

アルバムのなかでは唯一昔のデモ音源から引っ張ってきて、再アレンジした曲。

もともと私がお気に入りの曲でもあり、活動再開のタイミングではこの曲を演奏したいと思っていました。

サイサイっぽさを作っているシンセのメロ、軽快でエモーショナルなベースのスラップ、春の切なさや暖かさを感じさせるギターのリフがとてもお気に入りです。

一度離れた恋人との再会をテーマにした恋愛ソングではありますが、「最愛の君へ」というフレーズはファンのみなさんを指しています。

1番と2番のAメロでは私以外のメンバーが歌唱しているのも、雰囲気がグッと変わって好きなポイントです。

5. 揺揺

5曲目の『揺揺』。

アルバムのラストを飾るこの曲は、私が作詞作曲を担当しました。読み方は「ゆらゆら」。

春は出会いもあり別れの季節でもあるので、桜が儚く散っていくけど人の心に強い記憶を残す、そんな切ない別れの恋愛ソングにしたくて制作しました。

他のメンバーに「すぅ こんな恋愛……してたの?」と聞かれました(笑)。

もちろん私が経験したエッセンスも入っていますが、私がパーソナリティを務めるラジオ番組『渋谷のナイト』で恋愛相談を募集したところ、悩める女の子たちがたくさんいたので、この子たちの想いを成仏させたいと思って作りました。

まるで落ち込んだ夜にぼーっと湯船に浸かってるいるかのような、ディープでウェット感のある曲調に仕上げたので、アルバムのなかでも印象的な楽曲になったと思います。

ラストには、少しドキッとさせたくて私のブレスが入っているのがポイントです!

1曲目にまた戻りたくなるような5曲目に仕上がってます。

サクッと曲解説のはずが長くなってしまいました!(笑)

私はギターボーカル担当ですが、歌詞を書くこともとても好きです。

才能があるかないかは別として、私の歌詞が誰かの心の栄養になっていたら嬉しいですし、私自身のアイデンティティを生かせる場所だと思っています。

悶々と悩みやすい性格なので、歌詞に昇華することによって「辛い経験もこの曲が生まれるためだったんだ」と納得することができます(笑)。

これからも誰かのためや自分のために、私しかできない表現で音楽を届けていきたいと思います!

最後にお花見のときのこめこの写真をお届け!

春とこめこ

『サイサイ対バン祭2024 〜そのまま友達でいてくだサイ!〜』

日時:2024年6月17日(月)
会場:Spotify O-EAST
開場 18:00 / 開演 19:00
ゲスト:井上苑子、フレンズ

『サイサイ対バン祭2024 〜太客になってくだサイ!〜』

日時:2024年8月1日(木)
会場:LIQUIDROOM
開場 18:00 / 開演 19:00
ゲスト:粗品

本コラムの執筆者

すぅ(SILENT SIREN)

すぅ(SILENT SIREN)
1992年12月28日生まれ。福島県白河市出身。本名は吉田菫で、愛称はすぅ。高校2年生のときに上京し、雑誌『CUTiE』などの読者モデルとして活動。2010年にガールズバンド・SILENT SIRENを結成し、ボーカルとギターを担当。同バンドではほとんどの楽曲で作詞も担当し、他アーティストへの楽曲提供も積極的に行なっている。2022年6月には歌手の鈴木雅之のシングル『GIRI GIRI』にゲストボーカルとして参加。2023年6月にデビューしたアイドルグループ・Fuhuaの総合プロデューサーを務めている。アパレルブランドとのコラボレーションも行なっており、音楽活動以外でもセンスを発揮している。

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