【インタビュー】横山 剣(クレイジーケンバンド)が初登場! 結成25周年を迎えての意欲作『樹影』制作話と、唯一無二のヴォーカルスタイルを深堀りして訊く!

取材・文:藤井 徹(Vocal Magazine Web)
ライブ写真:©️本多亨光

 “日本製のファンク”みたいな“和モノ”として響くと嬉しい

──「Honmoku Funk」と「スカジャン・ブルース」は、70sテイストのナンバーが続きました。特に「スカジャン・ブルース」はクールスRCの脱退時に書いた曲だそうですね。

横山 1983年に大もとのメロディができていたので、それをベースにアレンジし直した感じです。あと「タイガー&ドラゴン」って曲から20年経って、なんか“横須賀のムード”が恋しくなって歌詞を新たに書きました。横須賀を代表するものにハンバーガーとかいろいろあるけど、ここはスカジャンだ!と。

それで自分の好きなものをいっぱい歌詞に散りばめて。車で言うと(いすゞ)ベレット1600GTR、(通称)ベレGを入れました。あとは、なんかちょっと“ワケありな人たち”みたいな感じで3人のヴォーカルでマイクリレーもやっています。

──ご自身の40年前のメロディを歌い直してみて、どう感じました?

横山 メロディに新旧は感じないですね。要はアレンジで古っぽくしようとか新しくしようってできるので。どうにでもできるんだなってことは思いましたけど、この曲に関しては、あえて古くさく。ちょっとブラックシネマの要素とか、日本の映画や時代劇ってけっこうジャズ/ファンクが入ってるので、そんな感じにしようかなと。いわば“日米スカジャンファンク”。純粋な洋楽じゃなくて、“日本製のファンク”みたいな“和モノ”として響くと嬉しいなと思います。

──「おじさん」は、デニース・ウィリアムスの「It’s Gonna Take A Miracle」を初め、幾多の名曲を生み出したベースラインから生まれてきたそうですね。

横山 はい。これで今まで3曲ぐらい作ってまして、その4曲目ができたって感じですね。このベースラインは他の人でもけっこう使ってたりします。レイ、グッドマン&ブラウンの80年代の曲では、シンセベースでこのラインを使ってるとか。そういうブラックミュージックのひとつの定番ベースラインだと思います。

──ソウル/R&B系でフェイバリットシンガーは?

横山 スティーヴィー・ワンダー以外だったら、アイズレー・ブラザーズのロナルド・アイズレーですね。メロウなんだけど男臭いし力強いし、繊細だし、で、野獣系だし。あとはやっぱりマイケル・ジャクソンですね。

──マイケルはどの時代が一番お好きですか?

横山 もちろん幼少のとき(ジャクソン5)も好きですけど、ジャクソンズ時代の『トライアンフ』っていうアルバムにおけるマイケルの声が大好きです。

──歌詞が入った曲としてはラストナンバー「こわもて」は、ご自身で“昭和ブルース”をイメージして作ったと。

横山 はい。昭和ブルースみたいな感じのする歌を、サウンドで、メロディで欲しいなと急に思って作りました。あえて昭和ブルースをちゃんと聴かないで、頭の中に残ってる記憶だけでやってみたんですね。実際にできあがったあとに本物の昭和ブルースを聴いたら全然違った(笑)。“自分にはああいう風に聴こえたんだけどなあ”みたいな。そういうのが、けっこう好きなんですよね。

──あえてちゃんと聴くと、ダイレクトに影響を受けちゃうからですか?

横山 うん、パロディになっちゃうんで。要するに残像をそのまま残して歌うってことですね。カバーアルバムのとき、ちゃんとオリジナルを参考にしてやった曲もあるんだけど、残像だけでやった曲も何曲かあって、それに近い感じです。

──「こわもて」もそうなんですけど、今回のアルバムや以前の楽曲を聴いていて、剣さんの歌詞に登場する主人公は“男のやせ我慢”が似合うというか、それが美学なのかなと改めて感じました。

横山 そういう歌にとても影響を受けたことがありますよね。例えばユーミンさんの「埠頭を渡る風」の歌詞に登場する男の子のような、やせ我慢というか、母性をくすぐるような男を登場させたいってのはありますね。

──実は照れ屋っていうか……。

横山 照れ隠しみたいなもんですよね。そういうのは今までに好きになった楽曲の歌詞の世界で、けっこうチャーミングかなと思いましたね。

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