【インタビュー】横山 剣(クレイジーケンバンド)が初登場! 結成25周年を迎えての意欲作『樹影』制作話と、唯一無二のヴォーカルスタイルを深堀りして訊く!

取材・文:藤井 徹(Vocal Magazine Web)
ライブ写真:©️本多亨光

“東洋一のサウンド・マシーン”、クレイジーケンバンド(以下CKB)が結成25周年を迎え、8月3日(水)に通算22枚目のアルバム『樹影』をリリースした。

全18曲の大ボリュームで届けられた意欲作は、横山 剣が自ら“このアルバムでデビューしたかった!”とコメントを残すほど、鮮度抜群! オールジャンル詰め合わせのCKBスタイルで楽しませてくれる。

そのサウンドで国境もジャンルも軽々と飛び越えていく新作の制作についてはもちろんのこと、25年で醸成されまくった唯一無二と言える“横山 剣のヴォーカルスタイル”をガンガン深堀りして訊くことができた。大注目のロングインタビュー、とくとお楽しみあれ!

インタビューの最後に素敵なプレゼントもありますよ、イイネ!

長く続けられたのは“楽曲が一番偉い”というガイドラインがあったから

──クレイジーケンバンド結成25周年、おめでとうございます。

横山 どうも、ありがとうございます。

──バンドとしてこれだけの月日を重ねられた、最大の要因はどこにあると思いますか?

横山 仲が良いというのももちろんですけど、バンドの目的が、“楽曲をいかに良い形で着地させるか?”っていうひとつだけなんです。メンバーでもリーダーでもなく、楽曲が一番偉い。“親分は楽曲だ”っていう考えでやってきていて、僕らは“楽曲様”と呼んでいます。たとえ揉めてもガイドラインがそっちだから、すぐに戻れるんですね。

──素晴らしい姿勢ですね。それは自然と身に付いていったのですか?

横山 CKBを始めた時点ですでに僕も37歳で、同い歳のメンバーも2〜3人いまして。けっこう歳いってから始めたバンドだったんですよね。すでに“楽曲が一番”って考えがあってから始まったバンドなので、良い意味でエゴのぶつかり合いはあれど、ヘンに意地になったりすることはないですね。

ただ、喧嘩は激しい(笑)。あんまりしないですけど、年に1〜2回激しいのがあるんです。それで浄化されているというか。まぁ、言いたいことは言うというね。

──そこでバーンとぶつかって、また収まって絆が固くなる……と。

横山 そういう感じですね。あとはレコーディングとライブはかなり別に考えていて、レコーディングではレコーディングでしかできないことをやろう、ライブではライブしかできないことをやろうって。わりとバンドらしくないレコーディングもやるんですけど、それはレコーディングの楽しみとしてやる。それでライブになったら、いきなりライブしかできないサウンドでやろう、みたいな。2通りの楽しみができているのも、ストレスが溜まらない理由のひとつですかね。

──バンドを続けていくうえで、すごく参考になりますね。

横山 結果ですけどね。そういうふうにやっても3年しかもたないときもあったし。あと、バンド以外にやりたいことが出てきたら、それを自由にやっていいんです。ソロをやろうが違うバンドでやろうが、CKBでやるときだけCKBであればいいという感じですが、みんなそれでも辞めていかない。自分も他で客演したりジャンルをまたいでやってるけど、CKBに戻るとやっぱり落ち着く、みたいな……。

──やっぱりホームなんですね。25年間で、バンドの転換点だったと思う出来事は?

横山 2002年から2005年までの間にメンバーを増員した、そのときですね。2002年まで6人ないし5人編成だったんですけど、どうしても自分の頭の中で鳴ってるサウンドアレンジは6人じゃ足らない。ホーンセクションが欲しいとか、キーボードが欲しいとか、コーラスやパーカッションが欲しいってときに6人じゃ足りないので増員しました。編成が少ないからという理由で、それまでデッドストックというかボツになっていた曲をいきなり全部できるようになって、そこから興奮が始まりました。

──その興奮はライブにおいて、音源の再現性が上がったことも要因ですか?

横山 そうですね。レコーディングはダビングすればいいんですけど、ライブでは当時レコーディングでキーボードを弾いていた小野瀬(雅生)さんがギターに専念するので、キーボードがなくなるわけです。それがすごくダメージでした。僕は鍵盤とギターのバランスが大好きなので、(ライブでは)それがなくなっちゃったストレスが溜まってて、結成から3年ぐらい生きた心地がしなかったんです(笑)。

それで小野瀬さんの小野瀬雅生ショウというソロバンドから、キーボードの高橋(利光)さんが参加してくれるようになり、いろんなことが可能になって2002年から興奮が始まりました。

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