meiyo、1st EP『間一発』インタビュー。“最も大切な曲が聴かれなかった経験から新たな引き出しを”

2022.05.6

取材・文:田代智衣里(Vocal Magazine Web)

2021年9月に「なにやってもうまくいかない」でメジャーデビューしたmeiyoが、初のEP『間一発』をリリースした。「TikTok 流行語大賞 2021」にノミネートされた「なにやってもうまくいかない」や「クエスチョン」、『鉄オタ道子、2万キロ』のオープニングテーマ「チャイニーズブルー」を収録。さらに新曲2曲を加えた味わい深いEPとなっている。

ヴォーカル・マガジン・ウェブでは、ドラマーとしてキャリアをスタートさせ、“自分が人前に出て歌うことは全然想像してなかった”と話すmeiyoにとっての“歌”を深掘りしていく。

昨年、TikTokで「なにやってもうまくいかない」が広まり、多くの人にとって彗星の如く現われたmeiyoだが、メジャーデビュー時の音楽活動歴は12年。その道のりには、ワタナベタカシとして、meiyoとして、音楽を届けることを模索する姿があった。

最も大切な曲が、世には広まらなかった

──1st EP『間一発』がリリースとなりますが、メジャーデビューシングル「なにやってもうまくいかない」を始め、中毒性のある楽曲が詰まっています。音楽のルーツはどんなところにあるのでしょうか?

meiyo 音楽のルーツとしては、KANさんがすごく好きですね。歌詞のちょっとした情けなさだったり、メロディに対して歌詞がどれぐらいの物量で乗ってくるかという部分では、今回のEPに限らずめちゃくちゃ影響を受けました。あとは何億も再生されているような海外のEDM系の楽曲などを自分なりに解釈して、混ぜこぜにしているような形ですね。

──ドラマーとして音楽の活動をスタートしていますが、当時から歌うこともありましたか?

meiyo もともと音楽を始めた頃はドラマーだけをやっていました。今31歳なんですけど、24歳ぐらいから歌い始めたので、わりと遅めでしたね。

──歌い始めるまでは、日常でも歌うことはあまりなかったのでしょうか?

meiyo 音楽を始めてからはカラオケでも歌うようになっていたんですけど、自分が人前に出て歌うことは全然想像してなかったですね。

──ヴォーカルスタイルで影響を受けた人はいますか?

meiyo 奥田民生さんにものすごく影響を受けました。

──奥田民生さんは歌い始める前からずっと聴いていましたか?

meiyo そうですね。音楽を始めたぐらいのタイミングで出会いました。当時やっていたバンドはけっこう激しめというか、ポストロックとかそういった感じのジャンルの曲だったんです。でも、そうじゃない奥田民生さんのロックの表現に、ものすごく影響を受けていました。

──歌い始めたきっかけはどんなことでしたか?

meiyo 当時やっていたバンドが解散になって、でも音楽を続けたいなと思ったときに、なんとなくひとりで作っていた曲があったんです。それを自分が歌ってみたらどうなんだろう?と興味が湧いて。

──当時から自宅で音楽制作もしていましたか?

meiyo はい。パソコンで制作してましたね。

──歌い始めたときは、まず自宅で録音をしてみたのでしょうか?

meiyo しました。もしかしたら別の人に歌ってもらえたらいいなぁとか、そういうことも考えたりしていました。そのためにはとりあえず、どういう歌詞でどういうメロディなのかを伝えなきゃいけないので、一旦自分が歌ったという。

──初めて人前で歌を歌ったのは、どんな場面でしたか?

meiyo 明確に僕が主役として歌ったのは、レコード会社のショーケースというか、関係者の人がいっぱいいるところでした。ネットで勝ち上がっていって出演することになったんですけど、人前に出て歌うなんて考えていなかったので、すごく緊張しましたね。

──まずはライブハウスで歌うのではなく、突然たくさんの人の目に触れる機会で歌うことに?

meiyo ライブハウスぐらいの規模では歌ったことがあったんですけど、たぶん150人〜200人ぐらいいる中の8割が関係者みたいな変わったライブだったので、ものすごく緊張しました。

──ワタナベタカシ名義の作品もある中で、meiyoとしてはだんだんと作風が変化している印象があるのですが、転機はありましたか?

meiyo meiyoになってからも、しばらくワタナベタカシとほとんど変わらないような音楽をやってたんですけど、あるきっかけがありました。自分の好きなバンドが解散してしまったタイミングで作った「いつまであるか」という曲があって、その曲が僕の中で最も大切な曲になったんですけど、全然聴かれなかったんですよ。

僕は大切だと思ってるし、身の周りの人たちも“この曲はすごい名曲じゃん”って言ってくれるけど、それでも世には広まらなかったという経験があって。だから、一番聴かれるようなスタイルで音楽を作ってみようと思ったんです。それが切り替わっていったというか、打ち込みとかそういう引き出しも開けてみたきっかけになりました。

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