「WINDING MIND」はアルバムの核心となるメッセージ

──「WINDING MIND」は全編秋田弁という曲。以前のインタビューで、秋田弁がハネて歌えたり、気持ちよかったりするという話をされていて、確かに今回も16ビートのハネた曲にピタッと合っています。ただ、以前の「秋田の行事」とは違う意味合いの秋田弁の曲だなとも感じました。

高橋　そうです。僕はこの曲がこのアルバムの一番のへそとなる、核心となるメッセージだと思ってます。「マインドが曲がりくねっていていい、真っ直ぐじゃなくてもいいんだよ。その矛盾を楽しめればいい」っていうこと。そのほうが、むしろ人生は潤う可能性があると思っていて。僕もやっぱり矛盾を恐れてしまうし、言った通りにいかないとか、やってもらえないとか、自分が信じたことと違うことに対して恐怖心を抱くことはある。でも、自分が信じたことと違うことが起こることを楽しめたら、楽しめることがめちゃくちゃ増えるじゃないですか。

　だけど、みんな今自分が信じているものを「常識」という風に呼んで、そこからずれると「常識からずれている、それは普通じゃない」と言う。普通って何かって言えば、「みんな自分が信じていることだけなんですよ」って僕は思っているんです。こういう話をすると、もうワケがわからなくなってくるじゃないですか、聞いてるほうからすると。そこをもっとワケがわかんなくしてやろうと思ったんですよ、秋田弁で。いよいよ何言ってるかわかんない曲でいい。ただ、サビでみんなでコール＆レスポンスする曲になっていればいい。音楽ってそこが良いと思うんですよ。「音を楽しむ」っていうね。メッセージが上手な人は別に音楽じゃなくても良くなるわけですから。

──なるほど。強いメッセージを持ちつつ、秋田弁を使った理由がわかりました。そう言えば、前回の取材で（秋田県出身のシンガーソングライター）友川カズキさんのお話が出たじゃないですか。「WINDING MIND」の秋田弁を聴いたときに、ふと思い出しました。

高橋　友川カズキさんは、僕のドライブセットリストに必ず入っていますからね、「歩道橋」という歌は必ず。「歩道橋」大好きです、オススメですよ、本当に。

──では時間も少なくなりましたので、「かくれんぼ」について、最後に聞かせてください。

高橋　実は「かくれんぼ」は２年前ぐらいからできていた曲で、「どのタイミングで発表しようか」って話がスタッフともあって、今回アルバムに入れさせてもらうことになったんです。やっぱり失うことというか、それこそ自分以外の誰かの幸せを願っていたのに、例えばその人がもうこの世で生きることが嫌になってしまっていなくなってしまったりとか、生きよう、生きようって思っていたのに、病気でもう生きられなくなっちゃったとか、すごい闘病したけど願い叶わずとか……。年齢的なものなのか僕はけっこう周りで最近多く感じてしまった時期があって。そういうのをSNSやメディアでどうこう言うことって、あんまり好きじゃなくて……自分がやるのはね。人がやってるのは別に何にも思わないですけど。でもやっぱり想いはあるから形にしたいなって思ったときに、この曲を書こうと思いましたね。

──前作の「勿忘草」に通じる世界観があるなと感じました。楽曲はピアノ主体のアレンジですが、原曲はギターで？

高橋　そうです、ギターで作りましたね。これも宗像さんなんですが、この曲はけっこうアレンジに苦労しましたね。それこそさっきの話じゃないですけど、「ちょっと元気すぎだな」とか。

──それはピアノのタッチ？　それともアレンジの部分ですか？

高橋　アレンジだったのかなあ。

──楽器の数とか？

高橋　うん、数も。わりとなんか贅沢な曲になりそうだったので。例えばストリングスも鳴り方によっては、すごく気品あふれる感じになるじゃないですか。でも極端に言うと６畳ひと間の木造アパートでふっと奏でられてるくらいな。もっと狭くてリバーブ感も「ホールじゃないな」とか、そういう漠然としたことを言ったりしました。本当はそれだと伝わりづらいから、もっとリファレンスとして「この曲みたいに」と送ったほうがいいんですけど、「その曲みたいにされちゃうのもなあ」とか思いながら。いろいろ思って僕もリクエストして。宗像さんとのやり取りはかなり多かったですね。

──シンプルでストレートな曲ほど難しい部分かもしれないですね。

高橋　それは思いますね。編曲家の方がいるときって、自分がシンプルだと思ってても、向こうが難しく考えちゃってる場合もあるし。自分としては真っ直ぐだと思っていた曲が、「いや、この曲はひとクセあるね」ってなっちゃう場合もあるし、コミュニケーションもすごい大事なんですよね。

──アルバムを通して、歌の部分での自己発見はありましたか？

高橋　僕の理想はレコーディングスタジオに入って、「じゃあ高橋さん入りま〜す」と言われてボーカルブースに入って、「じゃあ歌いま〜す」って一回歌って帰るのが理想なんですよ。

──絶対に録り直さない？

高橋　録り直さない。でも、それはまだ全然できなかったなということがわかりました（笑）。何度も何度も歌い直して、７〜８テイク録って……。

──「つるっと歌って帰る」っていうことができなかったという発見ですね（笑）。

高橋　そうです。それが本当に歌い手としては理想じゃないですか。憧れとしてはありますよ。でもね、歌ってその場でオケに乗せて歌ってみて気づくことが、やっぱり多いんですよ。「あれ？ やっぱりずっと一人で歌ってたときと違うな」ってなって、めっちゃ歌詞カードにいろいろ書き込んだり、歌詞を変えちゃったりなんかして。試行錯誤がその場でもあって。みんな我慢の時間ですよ、他のスタッフは。「いいじゃん、１回目の歌で」って全員思っているはずですよ（笑）。「何がダメなんですか〜？」みたいな。でも、僕は真剣にそこで戦ってますからね（笑）！

──２月からは『ARE YOU HAPPY？』ツアーも発表されています。こちらはバンドセットですか？

高橋　そうです。いつもの主力メンバーで臨めると思います。楽しみにしてください。

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『Songs magazine vol.19』にて、高橋 優インタビューが掲載！

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リリース情報

9thアルバム『HAPPY』高橋 優

2025年１月22日（水）リリース

【CD】　※全形態共通
01. 明日から戦争が始まるみたいだ
02. BRAVE TRAIN　
（秋田県冬の大型観光キャンペーン『誰と行く？冬の秋田』テーマソング）
03. キセキ （TBS系『news23』エンディングテーマ）
04. はなうた -pray for Akita-　※CDのみ収録のボーナストラック
05. 現下の喝采
（日本テレビ系『Oha!4 NEWS LIVE』テーマソング）
06. リアルタイムシンガーソングライター　
（あきたこまち40周年記念CMソング）
07. WINDING MIND
08. 雪月風花
（NHK Eテレアニメ『ドッグシグナル』オープニングテーマ）
09. かくれんぼ
10. spotlight
（NHK夜ドラ『褒めるひと褒められるひと』主題歌）
11. オープンワールド
（秋田朝日放送『サタナビっ！』テーマソング）
12. 青春の向こう側

ライブ情報

高橋優 LIVE TOUR 2025「ARE YOU HAPPY?」

２月22日（土）　山梨・YCC 県民文化ホール 大ホール
２月28日（金）　大阪・フェスティバルホール
３月２日（日）　福岡・福岡市民会館
３月５日（水）　神奈川・神奈川県民ホール 大ホール
３月８日（土）　香川・レクザムホール
３月９日（日）　高知・高知県立県民文化ホール オレンジホール
３月20日（木・祝）　大分・J:COM ホルトホール大分
３月29日（土）　宮城・仙台銀行ホール イズミティ 21
３月30日（日）　岩手・奥州市文化会館Zホール
４月５日（土）　山口・山口市民会館
４月６日（日）　広島・呉信用金庫ホール
４月12日（土）　鹿児島・宝山ホール
４月13日（日）　宮崎・都城市総合文化ホールMJ
４月19日（土）　新潟・長岡市立劇場
４月20日（日）　埼玉・大宮ソニックシティ 大ホール
４月25日（金）～26日（土）　秋田・あきた芸術劇場 ミルハス
５月10日（土）　長野・レザンホール
５月11日（日）　千葉・市川市文化会館
５月17日（土）　滋賀・滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール
５月18日（日）　静岡・静岡市清水文化会館マリナート 大ホール
５月24日（土）　栃木・宇都宮市文化会館
５月30日（金）　和歌山・和歌山城ホール
６月１日（日）　兵庫・神戸国際会館こくさいホール
６月15日（日）　北海道・カナモトホール
６月19日（木）　福井・敦賀市民文化センター
６月21日（土）　愛知・Niterra日本特殊陶業市民会館フォレストホール
６月22日（日）　岐阜・土岐市文化プラザ サンホール
６月27日（金）～28日（土）　東京・LINE CUBE SHIBUYA

関連リンク

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