バンド・ヴォーカリスト必須! ミックスヴォイス大作戦!【集中連載】『ロック・ヴォーカリスト“THE BIBLE”』Vol.3

文:本山nackeyナオト(SMDボーカル教室)

ミックスヴォイスをうまく使い分けるとハイトーンが発声できる

 おはようございます! ヴォイストレーナーの本山nackeyナオトです。生徒さんからは【ナッキー先生】と呼ばれています。
 今日はみんなからのご要望も多く、ハイトーン発声には必須のスキル、ミックスヴォイスのレクチャーだ。ミックスヴォイスは、まさにロック・ヴォーカルには欠かせない発声方法。必ず会得してほしい。

 表声で出せる音の高さは限界がある。特に男子諸君! 声変わりをしてしまうと今まではハイトーンが発声できたのに、声変わりを境に発声しにくくなってしまった経験があるんじゃないかな。
 ミックスヴォイスをうまく使い分けることにより、ハイトーンを発声することができるようになる。3回目の今回は、ラク~にそしてパワフルに出せるミックスヴォイス大作戦だ!

そもそもミックスヴォイスって何?

  前回のVol.2でレクチャーした『声区』と『声種』は覚えているかな? 簡単に復習していこう。声区とはまさに声の区分だったね。簡単に理解するため「どこに声の響きを持ってくるか?」と考えよう。声区を大きく分けると3つだった。

声区1:胸に響きを持ってくる(胸部共鳴)
声区2:眉間に響きを持ってくる(鼻腔共鳴)
声区3:頭に響きを持ってくる(頭蓋骨共鳴)

 ハイトーンは頭全体が震える、頭蓋骨に響きを持ってくる歌い方だから、頭蓋骨共鳴=頭声(ヘッドヴォイス)と理解して大丈夫。ちなみに息は軟口蓋に当てる。

 次は声種について。大きく分けると下の2つ、表声裏声がある。これらはVol.1で詳しく触れておいたが、それぞれ胸部共鳴、頭蓋骨共鳴で発声する。そしてVol.2では、鼻腔共鳴での発声が中声=ミドルヴォイスと呼ばれていることを解説した。

声種1:表声=胸声(チェストヴォイス)
声種2:裏声=頭声(ヘッドヴォイス)

 さて、それではミックヴォイスという声種の響きはどこになるのだろう? それは、頭蓋骨共鳴=頭声(ヘッドヴォイス)になる。「えっ!? ミックスヴォイスって中声、鼻腔共鳴のミドルヴォイスじゃないの?(Vol.2で先生自身そう言ってたし……)」という声が聞こえてきそうだけど、それも正解だ。

 つまり個人差はあるが、俗にハイトーンと呼ばれる(High-A【4のラ】から上の音)発声時のミックスヴォイスは頭蓋骨共鳴=頭声(ヘッドヴォイス)、一方、中間音域(mid-C【4のド】~mid-G【4のソ】)発声時のミックスヴォイスは鼻腔共鳴=中声(ミドルヴォイス)と理解してほしい。
 大事なのは、ハイトーンのミックスヴォイスと、中間音域のミックスヴォイスは響かせる場所が違うということだ。

 こうして表声と裏声を混ぜ合わせる、まさにミックスするのがミックスヴォイスだ。さらに表声のような声量を保ちつつハイトーンを発声することができるため、この表声と裏声を使い分けられるとホントにカッコいい。
 この理解は難しいけれど、映像を見れば一発でわかると思う。動画を作ったので参考にしてほしい。

動画1:ハイトーンのミックスヴォイスと、中間音域のミックスヴォイス

動画1:ハイトーンのミックスヴォイスと、中間音域のミックスヴォイス

 B’zの稲葉浩志、X JAPANのToshl、L’Arc〜en〜Cielのhyde 、GLAYのTERU、ONE OK ROCKのTaka、Superflyの越智志帆、Official髭男dismの藤原 聡、Mrs.GREEN APPLEの大森元貴、[Alexandros]の川上洋平など、ほぼ100%のバンド・ヴォーカリストたちはパワフルでカッコいいミックスヴォイスを使いこなしているのだ。

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