バンド・ヴォーカリスト必須! ミックスヴォイス大作戦!【集中連載】『ロック・ヴォーカリスト“THE BIBLE”』Vol.3

文:本山nackeyナオト(SMDボーカル教室)

ミックスヴォイスの実践トレの前に裏声を発声しよう

 ミックスヴォイスを上手に使いこなせるようになるには、まずはミックスヴォイスと裏声とファルセットの違いをしっかり理解し、ファルセットを完璧に習得することから始める。そのあとに裏声だ。

 裏声は、学校の合唱の時間に教えられた経験を持つ方もいるのではないかな? 裏声の発声方法は息を頭から抜くように発音する。「HO」と発声すると感覚がつかみやすいだろう。まずは低音域から裏声とファルセットをしっかり使い分けて発声する。

 声帯の前を使わないで、丹田で発声する意識が大切だ。動画を参考に、半音ずつ上げてトレーニングしよう。表声・裏声・ファルセットそれぞれ違う感覚で発声する。これができたら、いよいよミックスヴォイスの実践トレーニングだ。

動画5:裏声発声トレーニング

動画5:裏声発声トレーニング

ミックスヴォイス発声トレーニング①

 まずは中間音域でミックスをしていこう。ファルセットから入って表声に変えていく。響きを頭声から胸声まで降ろす。「HA」で発声するといいだろう。
 その感覚がつかめたら、今度は響きを中声で止める。できるまで何度も練習あるのみ! さらに低い音でもミックスしていく。実戦形式でVTRを作ったので参考にしてほしい。

動画6:ミックスヴォイス発声トレーニング
ファルセットから入って表声に変えていく。響きを頭声から胸声まで降ろす。

動画6:ミックスヴォイス発声トレーニング①

ミックスヴォイス発声トレーニング②

 前記のトレーニングで低音域や中間音域でミックスヴォイスが発声できたら、まずは低音域の3F【ファ音】から1オクターブ上の4F【ファ音】まで、スラーで徐々に音程を上げながら、ミックヴォイスで発声してみよう。

 感覚がつかめたら半音ずつどんどんピッチを上げていこう。注意するべきは、換声点をスムーズに移動することだ。
 ミックヴォイスのままで発声できたら、半音上げて同様に4拍ずつ伸ばしていく。オクターブ上の発声に切り替えたとき、表声のようにのどで響かせる発声ではなく、イメージとしては頭骸骨を響かせて発声する。

 そしてピアノ鍵盤の中間にある「C4【ド】音」まできたらオクターブ上の「C音」を同様に発声し伸ばしていこう。かなり高音域になってくるので、無理をしたりガナッての発声はNG。のどで発声するのではなく、体重移動でお腹(丹田)から発声する感覚だ。
 ピッチが高くなるのに合わせて、徐々に体重を両ひざを内側に絞るように、足の親指に重心を乗せていこう。

 気持ちよく張ったミックスヴォイスは魅力的だよね。リラックスして発声した高音域はキモチイイ。逆に無理した発声は苦しいよね。
 なぜかと言うと音程が高くなると空気圧も増す。声帯は伸びて固くなり、しなやかさがなくなるからだ。さらにピッチを上げようと、そこから変えようとすると、緊張で固くなった声帯はすぐに対応できないため、声がひっくり返る現象が起こる。だからこのミックヴォイスのトレーニングで感覚をつかむまで頑張ろう。

動画7:ミックスヴォイス発声トレーニング②
ミックスヴォイス・オクターブ・スラー・トレーニング

動画7:ミックスヴォイス発声トレーニング②

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