上杉 昇、自身のことばを紡いだ全歌詞集発売。制作時のエピソードから自身の歌声についても語る最新インタビュー!

2023.12.21

撮影:前貴文
取材・文:舟見佳子

取材では新しい作品から取りかかって、昔の作品に遡っていったんです。

──今回の詞集制作時のエピソードを伺いたいのですが、取材はいかがでした?

上杉 大変でした。楽しかったですけど。

──作ったばかりの曲とか、できたばかりの作品に対して語るのはまだしも、そんな昔の歌詞を思い出しながら説明するのってきっと大変だったんじゃないかなって。

上杉 そうですね。ちょっと霊感が使われますね。昔の自分と交信したりして。あの頃の自分を降ろしたり(笑)。

──取材は合計6回インタビューをされたそうですね。

上杉 新しい作品から取りかかって、昔の作品に遡っていったんですけど、進んでいくごとにかつてに戻っていくんですよ。退行していくわけですから。だからどんどん日を追うごとに気が重くなっていくという。

──曲によって、すごくいっぱい語ってる曲もあれば、コメント少な!っていう曲もあったりして、ご本人の曲に対する機微がなんとなく感じられる気がします。

上杉 いろいろ見抜かれるかもしれないですね(笑)。

──上杉さんのプロファンともなると、そういうところまで見抜くかもしれないですね。表紙の「詞」っていう題字はスタジオで書いたんですか?

上杉 毛筆と墨と半紙を用意していただいて。自分のアイデアではないんですけど。

──書道の心得は?

上杉 小学校のときに3段までいったのかな。

──有段者とは知りませんでした。

上杉 でも子供の有段者と大人では、またちょっと違うらしいんですよ。こども書道3段みたいな。だから筆の運びとか、そういうのは覚えています。書き始めの筆の置き方の重要さとか、とめ、はね、払いとか。

──確かに、ごんべんの部分なんか線が平行で整ってるなと思いました。

上杉 最近ずっと字を書いてないじゃないですか。タイプとか入力することが多くて、字を書くことがなくなって、漢字を忘れちゃっていて。だから、最初この「詞」を書く時、ごんべんが1本足らなかったんですよ。まさかごんべんを間違えるとは、夢にも思わなくて。自分でもびっくりでした(笑)。

──カメラマンは以前からお仕事されてた方?

上杉 初めての方でした。でも、すごく気さくな方で、被写体をノせて撮るというか気持ちをあげてみたいなのが上手な人かなと思いました。ちゃんとコミュニケーションを取りながら。

──インタビュー後半は、ボーカリストとしての上杉さんについて伺いたいと思います。身体的な努力や工夫って何かしてます?

上杉 歌った後は、すぐアイシングするようにしてますね。

──喉の熱を取ることが大事って言ってましたね。

上杉 炎症っぽくなっているのをアイスクリームとかで抑えたり。

──アイスクリーム? 保冷剤とかじゃなくて?

上杉 いや、外から冷やすより簡単でいいんですよ。クーリッシュっていうアイスあるじゃないですか。ゆっくりチューチューするやつ。あれお勧めです。

──筋トレとかはしないんですか?

上杉 最近腹筋台を買いましたね。台に足を引っかけるところがついているだけなんですけど。

──それ1日何回ぐらい腹筋するんですか?

上杉 最近ちょっとさぼっちゃってるんですけど。やっぱり腹筋背筋は大事と思っていて。特に歌ってる時に、無理がかかるのか腰が痛くなっちゃったりして。あと、腹式呼吸で歌うんですけど、もうちょっとで頂上だ!くらいのときに大体苦しくなるので。

──それは肺活量が足りなくなるってこと?

上杉 肺活量というか、腹筋を使って音程を保ちながら歌ってるんだけど、腹筋がもう辛抱たまらんってなってきちゃうっていうか。この音程を腹筋で支えたい、持ちこたえたいのに持ちこたえられないっていう事もあるんですよ。まぁでも、そこまで神経質にはならないですね。あまり昔から気にしないほうなので。声がかすれちゃっても、このまま出なかったらどうしよう……とかは思わない。そのうちまた出るんじゃないの?みたいな。

──もともと喉は強いほうですか?

上杉 強いほうですね。「あ゛あ゛あ゛あ゛」ってできる人は強いらしいですよ(超低い音でガラガラガラと途切れ途切れに発声してみせる)。強いほうですけど、さすがにディストーションボイスの後にスーパーハイトーンみたいなミックスボイスとかは、やっぱりできなくなっちゃう。

──でも上杉さんのライブでは、ガナったりシャウトした後にクリーンボイスの曲とか歌ってるので、そこはすごいなと思うんですけど。

上杉 きれいな声の曲はいいんですけど、ミックスボイスとかそういうテクニックを使う曲はできなくなっちゃいますね。

──筋肉が疲れちゃうからですか。

上杉 多分そうですね。ガラガラってディストーションボイスのモードになっちゃうっていうか。両方できる人って少なくないですか。プロのミュージシャンでも少ないと思うんですよね、リードシンガーでどっちもやるって人はあまりいなくないですか。

──そうですね。だからシンガー2人を擁するバンドも多いですね。上杉さんはデスボはやらないけど、いろんな発声を使いますよね。グロウルの中でも、ガナりだったり唸りだったり。以前カバーしていたブランキージェットシティの「感情」もすごかったです。もはや絶叫というか。

上杉 あれは今まで自分の中にない歌い方になってましたね。絶叫っていうか、名前は何て言うかわかんないですけど。いわゆるディストーションボイスとも違うし。

──泣き喚くみたいな。とにかくエモかったです。

上杉 そうですね。めちゃくちゃ喉傷めそうな感じの。意図してやっているのではなくて、あの曲だと自然にそうなっちゃうので、それに任せてやってるっていう感じなんですけど。

──“なってしまう”と。

上杉 そうですね。なってしまいます。

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