【インタビュー】横山剣（クレイジーケンバンド）、アルバム『世界』のレコーディング＆制作秘話と理想のヴォーカリスト像を語る。“人間の声は最高の楽器”

2023.09.6

取材・文：田代智衣里（Vocal Magazine Web）
ライブ写真撮影：本多亨光（ダブルジョイレコーズ）

この声を楽器として考えて、最もヴォーカリストとしての魅力が出るような曲を

──「夜は千の目を持つ」のワンフレーズはずっと前からあったそうですが、今年、鍵盤から生まれたAメロ、Bメロを合わせていったのですか？

横山　CメロからDメロのメインのところだけは2002年に浮かんでて、「心斎橋クアトロ」からホテル「ドゥ・スポーツプラザ」まで歩くときにそのホテルのテーマソングを勝手に作っちゃって。しばらくそれを忘れてて、また最近思い出してですね、今年その残りを作ったんですね。

《Do Sports Plaza》って、まったく歌詞に脈絡がないんですよ。しかし、どんな言葉を置いてもダメで、「タイガー＆ドラゴン」の《俺の話を聞け！》ぐらい重要な感じで。本当はもうちょっと意味がある歌詞にしたかったんですけど、もう勝てない……まさに“ダマ”です。

──演歌的なこぶしのメロディと逆に細かいビートの組み合わせが、いい意味で不気味な感じといいますか。

横山　そう、“夜の不気味感”を感じていただければ、かなり嬉しいですね。

──こういう異種格闘技みたいなことは常に考えているんですか？

横山　お料理みたいにですね、これなんかイイ湯加減、イイさじ加減になるなっていうのは思いますよね。茶番劇になるときもあれば。ただ、自分の中でウケてるだけで、それが世の中に対してどうなるかはまだわかんないんですけど。かつて昭和歌謡の矢吹健さんの曲で「夜は千の目を持つ」って同じタイトルの曲があるんですけど、わざとそうやって当てていくのも好きなんです。

──そして「横浜美味礼讃」は小野瀬雅生さんのギターインストです。

横山　僕がちょうどカンボジアってぴーぴーきゃーきゃー言ってるときに、小野瀬さんにも偶然カンボジアブームがあって。埼玉のどこかのカンボジアの人たちの映像を見せてくれて、“こんな感じで曲作りたいんですけど”って言うから、“最高！”って。

もうその発想を聞いた時点で“これは間違いない”と思ってですね。レコーディングの立会いもせずお任せして、できあがったのを聴いて“もう最高！”って。これは嬉しかったですね。しかも、ちょうど同じ時期に僕に寺内タケシブームがあって、それもシンクロしてるんです。寺内タケシ節がちょっと入ってたりもするんですよね。

──そしてラストのリード曲「観光」ですが、異国ムードもありながら、どこか童歌のような雰囲気も感じます。これをリードとした現在の剣さんの心の置きどころをお聞きしたいです。

横山　レコーディングもそろそろ大詰めってときにカンボジアに行っちゃったんで、お土産のように簡単に作ったんです。“あぁ、これはアルバムの中のちょっと異色な曲でいいや”っていう立ち位置にするつもりが、“あ、ど真ん中だな”っていうのは、だんだんだんだん。

──だんだんと、これがど真ん中だと。

横山　やっぱり、CKBの特色が出てるということと、しっかり特色が出てるんだけど、今までやってそうでやってなかったリズムだったりするところですね。あと、言いたいことがわりと言えてる歌詞で、これに関してはだいぶ意味を考えて入れてるんです。死ぬまでの旅みたいな、そういう人生観を言ってみたんですけど。

それを「観光」という言葉にして。「観光」ってのは、1995年にクレイジーケンバンド以前のCK’Sっていうバンドをソロプロジェクトでやったんですけど、そのレコーディングの最中に、小野瀬さんが細野晴臣さんと中沢新一さん共著の『観光』という本を読んでて、ちょっと貸してって読んだら、もう目からウロコのことがいっぱい書いてあって……。それで絶対「観光」ってタイトルで曲を作りたいと思ってたんですけど、そういうことも思い出してですね、バチバチって一致した。

──アルバムの制作期間としてはどのくらいかかったのですか？

横山　曲作りは今年の１月からやって、完成したのは６月頭ぐらい。こんなに時間をかけたことはないですね。ただ、曲数はCKBにしては少ないほうなんですけど、数よりも“これだ！”って削りに削って完成しました。17曲でも多いと言われますけどね（笑）。

──今の剣さんにとっての、ヴォーカリストとしての理想像はありますか？

横山　本当の理想は槇原敬之さんや平井堅さんみたいな声で生まれることだったんですけど、残念ながら小学生のときからザラついた声に生まれてしまったんで、この声を楽器として考えて、もっともヴォーカリストとしての魅力が出るような曲を出していかなきゃいけないのかなって。あとは、自分に合わない曲は人に提供すればいいやってことで。テツニとか……あ、テツニもザラついてるわ！（笑）。Ayeshaちゃんとか、外部の人に提供すればいいやってことで。声は、楽器ですからね。

──10月からの『CRAZY KEN BAND TOUR World Tour 2023-2024』はどんなライブになりそうですか？

横山　いつもちょっとしかやらないと言いながら、結局どんどん増えちゃう感じで。ただ、初めて来た人が置いてきぼりくらわないように、どっから入っても楽しめるようなコンサートにしたい。選曲が非常に悩ましいところではありますけど、まさかの歌謡曲を入れたりとか、前は細川たかしさん「北酒場」を入れたりとか、なんの脈絡もなくそこに行ったりするんですけど。そういう、えっ？！って思うようなコンサートにはなると思います。アルバムから中心に。今回のアルバムは23枚目ですけど、23枚の中で全然手をつけたことがない曲もいっぱいあるんです。今の編成ならいろんな曲ができるんじゃないかと思ってます。

クレイジーケンバンド、ニューアルバム『世界』全曲試聴動画

直筆サイン入りチェキを１名様にプレゼント！

Vocal Magazine Web 公式Twitterまたは公式Instagramにて応募していただいた方の中から抽選で１名様に、横山剣さんの直筆サイン入りチェキをプレゼントいたします。

応募方法

＜Twitter＞
（1）公式Twitterをフォロー
（2）本記事公開のお知らせ投稿をリツイート

＜Instagram＞
（1）公式Instagramをフォロー
（2）本記事公開のお知らせ投稿に記事の感想をコメント

当選者の方には、Vocal Magazine Web 公式TwitterまたはInstagramアカウントよりDMでお知らせいたします。

Vocal Magazine Web 公式Twitter （@VMW_jp）
Vocal Magazine Web 公式Instagram （@VMW_jp）

＜締切：９月20日（水）23:59まで＞
ふるってご応募ください！

リリース情報

クレイジーケンバンド『世界』
2023年９月６日（水）発売
ご予約はこちら：https://ckb.lnk.to/sekai_CD

＜初回限定盤 [CD+DVD] ＞
UMCK-7220／7,700円（税込）

＜通常盤 [CD]＞
UMCK-1755／3,575円（税込）

【CD収録曲】
01. 宇宙ダイバー
02. eye catch ＊ transit lounge
03. Do it！世界は愛を求めている
04. SHHH！
05. 東方旅館 – Oriental Hotel –
06. マンダリン・パレス
07. eye catch ＊ CKB23
08. お湯
09. Sweet Vibration – CKB tune –
10. 残り香
11. Sweet Soul Train
12. TERIYAKI
13. レコードの日
14. 夜は千の目を持つ
15. 横浜美味礼讃
16. eye catch ＊ airport limousine
17. 観光

【DVD収録曲（初回限定盤のみ）】
CRAZY KEN BAND TOUR 樹影 2022-2023
2022.10.23 NAKANO SUNPLAZA
棕櫚
Almond
ドバイ
ウェイホユ？
Orange Cinnamon Sunset
莎拉 -Sarah-
雨に泣いてる
プラスティック・ラブ
夏のクラクション
IVORY
こわもて
夕だち
強羅
箱根スカイライン
Let’s Go Crazy Ken Band ～タイガー＆ドラゴン
コウタイ～マリリン・モンロー・ノー・リターン
混沌料理
路面電車
スージー・ウォンの世界
木彫りの龍
世界、西原商会の世界～世界、西原商会の世界Part2 逆featuring CRAZY KEN BAND / RHYMESTER
肉体関係Part2 逆featuring CRAZY KEN BAND / RHYMESTER
The Roots
空っぽの街角～ Punch!Punch!Punch!

＜CD購入者特典＞
●Amazon.co.jp【メガジャケ(形態別)（240×240㎜）】
●ヴィレッジヴァンガード【メガネ拭き（マイクロファイバー）】
●タワーレコード【ポストカード（初回限定盤Ver.）】
●楽天ブックス【アクリルキーホルダー】
●UNIVERSAL MUSIC STORE【ポストカード（CRAZY KEN Ver.）】
●その他・一般店特典【B2告知ポスター】

※全国のCDショップにて2023年９月６日発売のCDをご予約・ご購入のお客様に、先着で上記オリジナル特典をプレゼント。
※各店舗で用意している特典数量には限りがございますので、お早目のご予約をおすすめいたします。
※特典は数に限りがございますので、発売前でも特典プレゼントを終了する可能性がございます。
※一部取扱いのない店舗もございます。（詳しくは店頭にてお問い合わせください。）
※特典は商品と一緒にお渡しいたします。

ライブ情報

『CRAZY KEN BAND TOUR World Tour 2023-2024』
＜2023年公演＞
10月７日（土）東京・福生市民会館
10月９日（月祝）福岡・福岡国際会議場メインホール
10月15日（日）東京・LINE CUBE SHIBUYA（渋谷公会堂）
10月27日（金）大阪・NHK大阪ホール
10月30日（月）北海道・カナモトホール（札幌市民ホール）
10月31日（火）北海道・斜里町公民館ゆめホール知床
11月５日（日）神奈川・神奈川県⺠ホール大ホール
11月17日（金）愛知・日本特殊陶業市⺠会館ビレッジホール
11月19日（日）兵庫・神戸国際会館こくさいホール
11月23日（木祝）神奈川・小田原三の丸ホール　大ホール
11月26日（日）沖縄・ミュージックタウン音市場

＜2024年公演＞
１月20日（土）宮城・仙台電力ホール
１月27日（土）三重・シンフォニアテクノロジー響ホール伊勢　大ホール
２月３日（土）千葉・浦安市文化会館　大ホール
２月10日（土）東京・町田市民ホール
２月12日（月祝）京都・京都劇場
２月13日（火）石川・北國新聞赤羽ホール
２月18日（日）群馬・太田市民会館
３月２日（土）愛知・アイプラザ豊橋　“泣きながらツイスト”