【インタビュー】浜田麻里 最新アルバム『Soar』をリリース。デビュー40周年を迎えてなお進化し続けるヴォーカルの秘密にさまざまな角度から迫る!

取材・文:舟見 佳子

経験を積む中で、そういう筋肉を動かせるように自然になるのかもしれませんね

──ハイトーンをキープするためのトレーニングを何かされていますか?

浜田 日常的にやっていることではないんですけど、ツアーが決まると、ローからトップの近いところまでずっと発声を続けていって、何回もそれを繰り返したりします。それは特にハイトーンのためにっていうことではないんですけど。

──声帯と、声帯を支える筋肉の筋トレというような意識で?

浜田 そうです、筋トレ+柔軟性ですよね。

──全身の筋トレやストレッチは?

浜田 特にやってないんですよ。本当はやったほうがいいのはわかりつつも、いつも時間がなくて、そういうところに追い込めないので。ただご存知のとおり、歌を歌うこと自体が全身を使うことなので、まあそれだけでいいんじゃないかなと(笑)。

──歌っているときに、“今ここの筋肉がサボってるな”っていうようなことは、自分でわかりますか?

浜田 わかりますね。例えば、しばらく歌ってなくて急に歌う時間が長くなったりすると、お腹が筋肉痛になるんですよ。特に私の場合はロングトーンが多いですよね。なので、ギリギリまでグーッと筋肉で締めていくんだと思うんです。そのせいでしょうけど、リハで必ず筋肉痛になりますね。普段サボってるってことなんですけど(笑)。

──麻里さんのデビュー当時、妹さんをお腹に乗せて腹筋をやっていらっしゃるという噂を聞いたことがあるんですが(笑)。

浜田 (笑)。そんなことないですよ。都市伝説みたいな話だと思います。

──でも、そんな話がまことしやかに囁かれていたくらい、ファンやリスナーは麻里さんの歌唱力をすごいと思ってたんですよね。

浜田 デビュー時に「高校生のとき毎日腹筋100回やってました」とか言ったかもしれません。本当にすごく頑張ってた頃はそのくらいやってたと思うんですけど(笑)。あまり外側の筋肉は関係なかったのかもしれないですよね。大事なのは内側のインナーマッスル的なものなんでしょうね、きっと。

──そういう解剖学的なことも意識されたりしてるんですか?

浜田 実体験というか経験上ですね。どこが痛くなるかっていうのでもわかりますし。喉の周りもやっぱり筋肉ですよね。音を調整するための筋肉が、いかに柔軟かとか強靱かとか。その辺もあると思います。わりと最近のことなんですけど、いつも診ていただいている耳鼻科の先生のところで上咽頭にカメラを入れてもらったんです。普通は感覚がない場所で、生理現象的に動く筋肉なんですよね。“アー”だか“エー”だか忘れちゃいましたけど、何かの音を発声するときにそこが動くので、先生はそれをカメラで見ようとしたらしいんですけど、私は普通に動かせるんですよね。

──随意筋じゃないのに、それを自分の意思で?

浜田 はい、意識して。それは先生もびっくりしてましたね。“上咽頭の反応? 自分で動かせますよ”って感じで(笑)。それは歌を歌っていく中で発達してきた回路……なんじゃないかなと思いましたけど。経験を積む中で、そういう筋肉を動かせるように自然になるのかもしれませんね。それはここ5年ぐらいで知ったことなんですけど。

──歌っている中で、いろんなところのコントロールができるようになってるんですね。ご自身の身体のことをすごくわかってらっしゃるからだと思います。

浜田 たぶんこれに関してはそうだと思います。あと音域は多少、人よりも高い声が出ると思うんですけど、そのためにはやっぱり声帯を普通以上にグーっと伸ばすことになりますよね。人間って普通はただ会話するための喉ですけども、極端な高い音を出すために、人よりも相当伸ばしていると思うんです。その伸ばす際に関連する筋肉なのかもしれないですし、この上咽頭の辺りって。医学的なことはわからないですけどね。顔の筋肉なんかも含めて、関連する組織の動きが大切なのかなぁって客観的に思いました。

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