【インタビュー】小林柊矢、名刺代わりの1st Full Album『柊』制作秘話と、詞先の創作スタイル、こだわりの喉ケアを語る。

取材・文:後藤寛子

インディーズでの活動を経て、2021年11月にメジャーデビューを果たしたシンガーソングライター・小林柊矢。デビュー以降精力的にシングルリリースを重ね、ついにファーストフルアルバム『柊』が完成した。

自身の名前の一文字を冠し、「愛」をテーマに真っ直ぐなメッセージを届ける彼の優しい歌声と、90年代J-POPを彷彿させる華やかなサウンドが堪能できる1枚に仕上がっている。熟練のアレンジャー陣を迎え、堂々とJ-POPのスタンダードに挑む彼のルーツや歌へのこだわりとは? レコーディングでのエピソードから、こだわりの喉のケアまで、じっくり語ってもらった。

小林柊矢というアーティスト自身を好きになってもらいたい

──活動のきっかけは、16歳の頃にSNSに歌の動画を投稿したことからだそうですね。

小林 はい。もともとお風呂でもトイレでもどこでも歌っていたくらい歌が好きで、友達を誘ってカラオケもよく行っていて。最初は、僕がアカペラとかカラオケで歌ってるところを友達が撮って、TikTokに載せたんですよ。そしたら、ありがたいことに反響をいただけたので僕もやる気になって、シチュエーションとか考えて動画を撮り始めました。SNSで流行っている曲から、大好きなback numberさんの曲とか、たくさんカバーしましたね。

──そこから作詞作曲にも興味を持っていったんですか?

小林 曲は並行して作っていたんですよ。全然人に聴かせられるレベルじゃないし、自信がないから発表していなかっただけで。作り始めて半年くらい経ってから、人生で3曲目に書いた曲をYouTubeに初めて上げたんです。それが、今僕の公式YouTubeチャンネルの一番初めにある「僕が君の前から消えた時」っていう曲です。その前からSNSのライブ配信や文化祭では披露していて、たくさんの人に出してほしいという声をもらっていたので。アップに踏み切れたのはそのあと押しが大きかったですね。

──そのレコーディングはご自身で?

小林 そうです。スマホに直接繋げられるコンデンサーマイクを使って。パソコンも持っていなかったので、AppleのGarageBandとか、リバーブを付けられるアプリとかをいろいろ探して、試行錯誤して独学で頑張ってました。曲に反響をいただくと嬉しかったし、特に自分の歌を人にカバーしてもらえたのがすごく嬉しかったですね。今もそうなんですけど、カバーされる側に立てたのは感慨深かったです。

──インディーズリリースを経て、メジャーデビューに繋がっていくわけですけど、最初は歌が楽しくて始めたところから、だんだん作品として作っていくようになる中で、歌に対する気持ちや向き合い方に変化はありましたか?     

小林 最初にSNSでやっていた頃は、その動画がバズればいい、くらいの気持ちでやっていたんですけど。今は小林柊矢というアーティスト自身を好きになってもらいたいという気持ちが大きいですね。曲を好きって言ってもらうのももちろん嬉しいですけど、“小林柊矢が作る曲が好き”って言ってもらえたほうが嬉しいので。そこを目指すようになって、捉え方が変わりました。みなさんからの声をいただいたことで、自分が求められているところとか、活かすべきポイントもわかるようになってきましたし。まわりの意見はちゃんと聞いて、大事にしていますね。

──ちなみに、ヴォイストレーニングは受けたりしたんでしょうか。

小林 ヴォイストレーニングは、デビュー前から受けるようになりました。今はちょっと忙しくて頻繁には行けていないんですけど、続けています。ヴォイストレーニングを始めてから、自分で聴いても声が全然違うのがわかりますね。効果を実感してますし、歌える幅、表現の幅が広がったから、歌っていても楽しいです。

喉の使い方とか、腹式呼吸、鼻腔共鳴とかいろいろ教わって。結局は聴いている人にどう伝わるかなんですけど、やっぱり、土台にしっかり技術があってこそ表現の幅が生まれると思うので。例えば、弱く歌いたいところで、消えそうで消えないけどちゃんと声は太くて……みたいなイメージが自分の中で漠然とあるときに、その声を出せるか出せないかは技術で決まるんですよね。学べば学ぶほど、思いどおりにコントロールできるようになるのは楽しいですね。

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