【インタビュー】小林柊矢、名刺代わりの1st Full Album『柊』制作秘話と、詞先の創作スタイル、こだわりの喉ケアを語る。

取材・文:後藤寛子

歌に感情が憑依し過ぎちゃって、レコーディング中に泣いてしまうことも

──小林さんが思うJ-POPの魅力と言うと?

小林 相手に委ねて考えさせる曲ももちろん素敵なんですけど、パッと聴いて、自分はこういう気持ちなんだ、こういうことを思ってるんだっていうのがすぐ耳に入ってきて、身体に浸透するのが速いのが、J-POPの魅力かなと思います。だからこそ、僕の曲もけっこうわかりやすく、ストレートな曲が多いんですよね。

──レコーディングの順番としては、アレンジができあがって最後に歌入れですか?

小林 そうですね。アレンジから歌に影響を受けることはめちゃめちゃ大きいです。僕のデモのときの仮歌とは、全然表情が違ってきますね。僕がレコーディングで一番ワクワクするのがストリングスのレコーディングなんですけど。ストリングスが入ると、壮大な曲はすごく壮大になるし、切ない曲も心の奥底にぐーっと響くじゃないですか。僕の歌がなくても完成してるんじゃないかと思うくらい(笑)。ストリングスが生で入ると、歌うときの気持ちも全然変わりますね。

──そこは難しいというより、おもしろい、楽しいという感じ?

小林 楽しいですね。部屋の片隅でただただノートに書いていた曲が、こんなに壮大にアレンジされるんだっていうロマンもありますし。レコーディングの時間は、本当に嬉しい、楽しいという気持ちです。

──レコーディングはスムーズに進むほうですか?

小林 早く終わるときは早く終わるんですけど、時間がかかるときはものすごくかかります。今回で言うと、「惑星」は深夜3時過ぎまでレコーディングしていました。コーラスにこだわって、自分で考えて作っていったんですけど、メインの歌の邪魔をしないコーラスのライン取りが難しくて。やっぱり入れ過ぎてしまうと邪魔しちゃうし、入れなさ過ぎると素朴過ぎるし、絶妙な塩梅で入れるのが難しいんですよね。逆に、メインの歌入れは、とにかく何も考えずにやるという自分の中のスタイルがありまして。

──なるほど。

小林 考えて歌ってしまうと、全然感情が乗らなくて、考えた歌になってしまうんですよ。だから、本当にただただその曲のリズムとか音色に身を任せて、酔いしれて歌う。コーラスはしっかり考えるんですけど、メインの歌入れは技術的なことは考えず、詞の意味しか意識しないです。むしろ歌に感情が憑依し過ぎちゃって、レコーディング中に泣いてしまうこともけっこうあったりして。やっぱり実体験に基づく曲が多いので、そのときの気持ちが憑依してしまうんですよね。でも、泣くと声が詰まるので、レコーディングは1回中止になるんですけど(笑)。

──確かにすごく感情が伝わってきますし、歌詞から始まっているだけに、曲の中で描きたいものがはっきりしていますよね。

小林 そうですね。綴りたいものをまず綴っているので。余すことなく表現されているんだと思います。

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