【インタビュー】Novel Core、「TROUBLE」から「iCoN」へ。新作に詰め込んだ自身の存在の軌跡と、武道館公演への想いを語る

取材・文:鈴木瑞穂(Vocal Magazine Web)

自分の存在は、「TROUBLE」から「iCoN」へ

──今作の中で、スッと生まれた曲はありましたか?

Novel Core 「FREAK PARADE」が圧倒的にスムーズだったと思います。メロディを考えるときに15パターンぐらい立て続けに出てきたんです。大体多くても3つか4つぐらいなんですよ。でも「FREAK PARADE」は全然終わる気配がなくて、ぶっちゃけやろうと思ったらまだ5パターンぐらい出せたんじゃないかってぐらい、いろんなアプローチが自分の中から生まれてきて。それを歌詞に落とし込むのもそんなに苦労しなかったですし、レコーディングも制作も一番スムーズで楽しかったです。

──トラックも歌唱表現も遊び心が感じられるトリッキーでカラフルな1曲です。その場のノリを大事に作っていった感じですか?

Novel Core けっこうノリを大事にしました。ロックなギターが鳴っている上に、ある種民族的なドラムパターンで構築されてる曲でもあるので、ヴォーカルは声色で遊んだり、メロディも面白くないと嫌だなっていうのがあって。サビも耳に残りやすいメロディを考えたし、各ヴァースの始まりに《ン~》って声を入れながらそのまま歌詞に入るテクニックも、現場で思いついたアイディアを採用していて。あとプリフックの《色眼鏡も叩き割るだけ》の最後の《け》とかでやっている、わざと語尾で遊ぶ表現。あれも適当にメロディを歌ったときに出たアプローチで、面白そうだなと思って取り入れました。

──逆に生み出すのに苦戦した曲はありますか?

Novel Core 「ジェンガ」かな。この曲は、こういう曲を作るとか「ジェンガ」っていうタイトルとか、サビのフレーズは1年前ぐらいから構想があったんです。曲のイメージは最初から頭の中にできあがっていたんですけど、いざスタジオでメロディを作ろうとなったときにすごく苦戦しました。

ヴァース部分のバックがずっとストリングスのピチカートだけじゃないですか。あの上で良いメロディがなかなか浮かばなくて。唯一、現場で自分が納得するメロディが出なくて持ち帰った曲なんです。バンドメンバーのクマさん(クマガイユウヤ)に「クマさんだったらどんなメロを乗っけるか聴きたいです」って相談したりしたぐらいで。

でも結局レコーディングの2日前ぐらいに、朝起きたら頭の中でメロディが鳴っていて「これだ!」と思ってすぐマイクを引っ張り出して、忘れないように家で録音しました。自分のパソコンでハモリのエフェクトをつけてみたらめっちゃハマったんで「これでいこう!」と歌詞を書いてスタジオに再度入った感じでしたね。

──《積み上げたジェンガが崩れるように/僕らにも必ずお別れが来るけど それでも/出会えた奇跡は死なない 永久に》と力強く歌うヴォーカルを、コーラスで温かく彩っていく展開がとても感動的です。最後の合唱パートのアイデアはもともとあったのですか?

Novel Core ゴスペルみたいな終わり方にしたいっていうのと、ミュージカルみたいな曲にしたいということはオファーしていたので、最後にそういうパートを入れようという話になっていました。トラックを作ってもらっている段階で、僕が「最後のドラムパターンが変わるところにこういうのを入れたいです」って適当に歌ったら、それ録っちゃおうよって話になって、その場で録ったフレーズがあったんです。そこにハモリのエフェクトを足したら「これ生のコーラス欲しいな」ってなっちゃって(笑)。今回、THE SUPER FLYERSのメンバーでもあるYuhoさんとKayoさんにお声掛けして、入っていただくことになりました。

──2人のソウルフルな歌声とハーモニーを奏でるにあたり、歌う際に意識したポイントはありましたか?

Novel Core 僕自身のヴォーカルの意識ももちろんなんですけど、どちらかと言うと2人に入っていただくタイミングや分量をすごく意識した記憶が強いです。1サビまではエフェクトで作った僕のハモで歌っていて、2ヴァース目の頭から少しずつ2人のコーラスが入ってきて、2サビは2人のハモリの上で歌うっていう、そのトランジションがきれいに繋がることを意識してやっていきました。

──前作からさらに幅の広がったサウンドと、楽曲それぞれのメッセージが引き立つ個性豊かなEPです。改めて聴きどころを教えてください。

Novel Core 1曲目から5曲目まで全曲キャラクターも楽曲のジャンルも違いますし、今までの作品と比べても幅が広いEPになっているので、1曲1曲その日のテンションに合わせて聴いてもらいたいなと思います。続けて聴く場合も、曲の順番を入れ替えたりするとまた面白いと思うので、試してもらえたら嬉しいです。あと、実はまだあまり話していないネタがありまして。

──おお! ぜひ教えてください。

Novel Core 「iCoN」は、そもそもSakaiさんと最初に作った「TROUBLE」から繋がっていて。あのときは、《I am the TROUBLE》と歌う中で、自分が業界においての“エラー”だったり、“スタンダードから外れたトラブル的存在である”というメッセージを発信していました。でも、もっと仲間を増やして同じメンタリティを持っている人たちを巻き込んていく中で、“俺たちこそがこの時代が生んだ感情の象徴=iCoN(アイコン)である”と定義できるようになって。そこまでの流れを美しく描くために、あえて同じSakaiさんプロデュースを選んだというのがあるんです。

また、歌詞カードだと「TROUBLE」では《I am the TROUBLE》の綴りにおいて、《I》が大文字で《am the》が小文字だったんですよ。逆に「iCoN」では《i》が小文字で、《AM THE》を大文字にしていて。表記をひっくり返すことによって“トラブルからアイコンになる”っていう、状況がひっくり返ることを視覚的に表現しています。さらに、「iCoN」のサビ前で実は後ろでちっちゃく《I am the TROUBLE, but》と入れてたりとか。「TROUBLE」との繋がりを強く意識して「iCoN」を作っていたりします。

──それは「TROUBLE」を作ったときから、何か見えていたものがあったのですか?

Novel Core そうですね。「TROUBLE」を作ったときから「iCoN」という言葉のイメージとかは明確にありました。Zeppワンマンのライブタイトルを『I AM THE TROUBLE』にしたのも、自分がこの業界においてどういう存在、どういう立ち位置であるかということをストーリーとして組み立てていきたかったっていうのがあって。そのスタートとして「TROUBLE」を選んでいて、その次が今回の「iCoN」という感じです。

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