【インタビュー】Novel Core、「TROUBLE」から「iCoN」へ。新作に詰め込んだ自身の存在の軌跡と、武道館公演への想いを語る

取材・文:鈴木瑞穂(Vocal Magazine Web)

頭の中に描いていた映像や音を再現するように作り上げた

──ここからは最新EPについて聞かせてください。EPのタイトルや、タイトルトラックにある“iCoN”という言葉に込めた想いを教えてください。

Novel Core 今の時代が求めているスターやカリスマというのは、人から崇められるとか憧れられるような手の届かない存在というより、もしかしたらもっと距離が近くて、自分たちと同じような痛みや弱さも代弁してくれるようなアーティストなんじゃないかなと思っていて。自分はそういう代弁者になりたいという想いが音楽を始めた当初から強かったのもあって、今回のタイミングで“自分自身をこの時代が生んだありとあらゆる感情の象徴=iCoN(アイコン)”と呼びたいと考えて、この作品を作りました。

──本作はプロデューサーのRyosuke “Dr.R” Sakaiさんとタッグを組んで制作されたとのことで、どのように作っていったのですか?

Novel Core 完全にセッション形式で作っていきました。制作期間がツアーとドンかぶりしていてライブが多い時期だったので、先にスタジオに入る日程や時間をフィックスして、その日に何曲作るというのをあらかじめ決めていました。基本1日1曲、多いときは1日2曲みたいなスケジュール感です。

僕の頭の中に浮かんでいる映像や鳴っている音を、楽曲のリファレンスや映像的なイメージでSakaiさんにお伝えしてビートを作ってもらい、それを聴きながら僕も歌のアプローチを考えて、というセッションを繰り返していきました。

──ヴォーカルレコーディングも同時に行なったのですか?

Novel Core そうです。まずビートのベースが1曲あたり大体1~2時間ぐらいでできて、そこから1回僕がブースに立って、フリースタイルでメロディを適当に宇宙語で歌うんです。その中から良かったものを繋ぎ合わせてメロディが決まったら歌詞を乗せて、そのあとレコーディングという流れでした。

──歌詞のイメージ感はスタジオに入る前から考えていましたか?

Novel Core 歌詞のイメージが明確にあったのは「ジェンガ」ぐらいです。他の曲は制作を進める中で、どんな色を乗っけていこうかなと試していった感じでしたね。

──《空を裂き 太陽は爆ぜた/常闇が住みついた この星/絶えず 響く声は》と高らかに歌う「DAWN」はメッセージが強く響いてくるので、前から歌詞を温めていたのかなと勝手に想像していたのですが。

Novel Core 「DAWN」は1月21日に開催した『Novel Core ONEMAN LIVE -Untitled- at 豊洲PIT』公演のコンセプトとも重なるんですけど、“地球がもし仮に滅びたとしても消えないぐらい、音楽やエンターテインメントが持つパワーは強い”というのを表現するために作詞した楽曲で。コロナ禍に入ってからエンターテインメントの重要性について改めて議論されている感じがして、このタイミングでそういう曲を書く必要があるなってすごく感じたんです。

でもこの曲も超映像先行でしたね。ライブの演出イメージとかが先に浮かんでいて「こういう光の動きをするのでこういう音が欲しくて」といったことをSakaiさんに伝えながらできあがった曲でした。

──夜明けと彷彿させる深いサウンドがまさにEPの幕開けにピッタリだと感じますが、1曲目にしようというのは最初から決めていた?

Novel Core 決まってました。1曲目の「DAWN」と最後の「ジェンガ」でサンドイッチ状態にするっていうのだけは決まっていて、真ん中の3曲は少しスイッチしたんですけど、基本的にはタイトルなども全部先に決まっていて。だから作りたいものというか、やるべきことは見えてる状態でスタジオに入った感じでしたね。

──作る過程で、最初のイメージからガラッと変わった曲はありましたか?

Novel Core それはなかったです。もともと僕の頭の中で鳴っていた音や見えていた映像を再現していくような作業だったので、イメージ通りのものができたなと思ってます。

でも「ジェンガ」はあそこまで壮大になるとは最初思ってなかったです。最後のコーラス部分の音源を聴いたときは、壮大すぎて、それまでの部分とうまく繋げるのが難しいかもなって感じたぐらい(笑)。

──ヴォーカルレコーディングは2ndアルバム『No Pressure』収録の「TROUBLE」のときと同じく、Ryosuke “Dr.R” Sakaiさんのスタジオのオープンブースで録ったのでしょうか?

Novel Core はい、そうですね。

──前回は「オープンブースで歌うのは緊張した」と言っていましたが、今回はどんな感覚でしたか?

Novel Core 完っ全に慣れました(笑)。なんだったら最近オープンブースのほうがもはや好きです。ブースに入って無音の空間で歌うのも集中できるんですけど、リアルタイムでのフィードバックが聞こえなくて。スタジオにいるエンジニアさんとか、今回の場合だとSakaiさん、あと一緒に同行してくださるスタッフさんたちがポロッと言ったひと言が聞こえないのがけっこう嫌なんです。

例えば「今の良かったな」って自分が思ったときに、みなさんもそう思ってくれている雰囲気を感じ取れるので、オープンブースだと安心します。逆に違ったなってときもやっぱりそういう雰囲気があるので、それを感じながらレコーディングするほうが自分は向いてるなって思います。

──ライブでお客さんの反応を見ながら歌うのと似た感覚のような。

Novel Core まさにそうですね。特にレコーディングだとライブ以上に新しいアプローチを試しますし、今回「DAWN」のサビがすごく高くて何回も録ったりしたので、リアルタイムでフィードバックを感じられるのは良かったです。

──他にも歌うことが難しかった曲はありますか?

Novel Core 「iCoN」もキーがわりと高かったです。それと「DAWN」がけっこう素直な声で歌える一方で、「iCoN」はディストーションギターがメインの曲なので、声色的にも少しすりつぶしたというか、ディストーションのある声で歌ったほうがカッコいいっていうのがあって。“高い声を出すけど声帯的にはつぶしてる状態で歌う”っていうのを両立しなきゃいけなかったので大変でしたね。

──声色の作り方についてディレクションなどはありましたか?

Novel Core Sakaiさんからディレクションいただいた部分もいくつかありました。でもレコーディング中はほぼなくて、どちらかというと僕自身が「もっとこういう歌い方をやってみてもいいですか」と納得いくまで録るパターンが多かったです。

──テイクは部分ごとに録ることが多かったのでしょうか?

Novel Core 基本部分ごとでしたね。今回は楽曲ごとに声色の幅が広かったというのもあって、部分ごとに丁寧に録っていきました。でも曲によっては、例えば「FREAK PARADE」と「SORRY, I’M A GENIUS」はレコーディングがすごくスムーズで、想定してたよりも2時間ぐらい早く終わったんです。逆に「DAWN」と「iCoN」はちょっとレコーディングも苦戦しました。

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