【インタビュー】大原櫻子、改めて表現と向き合ったニューアルバム『FANFARE』完成。声も感情も「すごく大人になった」

2022.12.7

取材・文:鈴木瑞穂(Vocal Magazine Web)

わかんなくても何か伝わってきたな」って感じてもらえたらいいなって

──4曲目の「Greatest Gift」では、サビの最後を英語詞で歌うという楽曲展開が印象的です。

大原 これは作詞家さんのセレクトなのですが、サビでグッと感情が高まっていって、最後ちょっと優しく歌い締めるみたいなところの英詞がすごくぴったりだなって思っていて、好きなポイントです。

──英詞を歌うときに気をつけてることはありますか?

大原 私は日本語を歌うにしても、けっこうしゃべるように歌うことを心がけているのですが、やっぱり英語になってもちゃんと意味が伝わるというか、しゃべるように歌うというのは同じく心がけてます。

──前作のアルバムインタビューで“英会話に通っている”というお話を拝見したのですが、今も通っているのですか?

大原 通ってます。今は英語の歌を中心にやってるんですけど、(英語を使う)イベントがあったら週に2〜3回で、特にないときは週に1回とか、ゆるい感じでやっています。

──英語の歌を習うことでの進化は感じますか?

大原 全然違いますね。やっぱり英語の歌を歌っていると文法だったり単語も頭に入ってくるので、すごく勉強になってます。

──何か目指しているものがおありなのですか?

大原 ナチュラルな発音と意味合いが、日本人にも伝わるように歌えたらいいなっていうふうには思ってます。

──意味が伝わるということが大事なのですね。

大原 やっぱり英語の曲だと意味がわからないなって感じると思うのですが、それでも“わかんなくても何か伝わってきたな”って感じてもらえたらいいなって。


「世界観に寄り添えるように歌いたい」と声色を開拓した

──アルバムには9月から行なった初の3作連続リリース楽曲も入っています。さまざまな視点で“愛”を歌っていて、特に声色表現の幅を感じる3曲ですが、新しい声色の開拓をという意識もあったのですか?

大原 ありました。「Door」と「愛のせい」は特にそうですね。蒼山幸子さんが書いてくださった世界観に寄り添えるように歌いたいと思っていたので、それこそグッと年齢を上げたイメージだったり、吐息の量を増やしたり、ちょっと艶っぽくしたりという表現をやっていました。

──「Door」と「愛のせい」は大人っぽい声色ですが、2曲とも違う表現をされていることを明確に感じます。それぞれどんなイメージを持っていましたか?

大原 「Door」も「愛のせい」もなんですけど、女性の弱さも描いているけれど、女性の強さが前に出て描かれているなと思っていて。また、どちらかというと「Door」のほうが、人物像的にはリアルな私に近いのかなっていう。

──そうなんですか?

大原 いや、あの、全然別人ですけど(笑)。「愛のせい」と比べるとですね。「愛のせい」は男性を翻弄するようなけっこう魔性の女チックなので、思いきり艶っぽく歌ってみたりとかして。自分の頭の中でそういう主人公の像みたいなのはありますね。

──声色表現の開拓を進めるにあたって、例えば歌詞を読み込む時間を多くしたりなど、なにか試みたことはありましたか?

大原 でも正直、マイクの前に立ってみないとわからないところでもあって、レコーディング日までわからなかったんです。それこそ「Door」に関しては1回レコーディングしたんですけど、録り直したんですよね。曲の世界観と声色が合ってなかったりとかしていたので。そういう作業はありました。

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