【インタビュー】Penthouse浪岡&大島、歌のルーツと「閃光花」制作秘話を語る。“ツインリードヴォーカルとしてどれだけ声を光らせることができるか”

2022.11.11

取材・文:田代 智衣里(Vocal Magazine Web)

浪岡が曲を作るとメロディにもテクニックが入っている

──レコーディングではお互いにヴォーカルディレクションをすることもあるのですか?

大島 彼は一人で勝手に録ってくるので、私はしないですね。

浪岡 エンジニアの方の家で録らせてもらうんですけど、僕は自分がいいと思ったテイクを重ねていく感じです。

──ふたりで同時に録るというよりは、それぞれに録ったものを重ねる場合もある?

浪岡 そうですそうです。

大島 はい。

──では、浪岡さんがプロデューサーのような立ち位置なんですね。

浪岡 そうですね。プロデューサーだと思ってます(笑)。

──これまでにヴォイストレーニングをやったことはありますか?

浪岡 僕は一回もないんですよね。

大島 私はずっとやっていて、中学生の頃から同じ先生に習っています。私の歌い方は先生の影響もあるかもしれないんですけど、“言葉がハッキリ伝わるように、遠くまでしっかり届くように”という発声を意識しています。元々ルーツがミュージカルということも影響してると思いますね。

──浪岡さんはヴォイストレーニングをやっていない中でも、喉の筋肉などを分析することはありましたか?

浪岡 やろうと思った時期もあったんですけど、あんまりうまくできなかったので自分が聴いて一番いいと思う声や、歌い方を突き詰めていくスタイルになりましたね。だから、録音は欠かさないタイプなんです。

──大島さんはどんなメソッドのヴォイストレーニングを習っていたのですか?

大島 私はソルフェージュ寄りのことをしっかりやっているタイプなので、学生時代は音大生が勉強するようなコールユーブンゲンとか、コンコーネとか、そういう本をしっかり勉強して、音感を鍛えたりしました。あとは発声の基礎をしっかりやることで、枯れにくい声を作るのを意識していたと思います。

──大島さんは吉田美和さんにずっと憧れていたというお話が有名ですが、他にも理想とするヴォーカリストはいましたか?

大島 私の目標であり憧れはずっと吉田美和さんオンリーワンではあるんですけど、Superflyの越智志帆さん、いきものがかりの(吉岡)聖恵さんだったり、女性ヴォーカルとして声に華があって、たくさんの人の心に届けられる歌声を持っている方が昔からずっと好きで憧れていますね。

──浪岡さんは理想とするヴォーカリストはいましたか?

浪岡 僕はスティーヴン・タイラー(エアロスミス)がずっと好きなんですけど、他にもけっこう好きなヴォーカリストが多くて。そういう人たちのいいところをマネしながら、自分のものにしていった感じですね。

──大島さんは吉田美和さんという理想が最初にあったときに、そこから自分らしさを出そうと模索したことはありましたか?

大島 今もそうだと思うんですけど、最初はマネから入っているから、歌い方やライブパフォーマンスがどうしても似てしまうことがあると思っているんです。その中で自分の強み、自分らしさはやっぱり見えていないというか。どんなジャンルでもわりと歌うことはできるんですけど、本当に自分の一番尖った強みってなんだろう?みたいなことは、今も引き続き模索中ではありますね。

──歌唱表現として身につけたいと思って練習したテクニックはありますか?

浪岡 僕はフェイクとかこぶし回し的な、音程を細かく動かすテクニックをけっこう練習したことがありますね。

大島 それはPenthouseの楽曲にめちゃくちゃ入れられるので、私も最初は全然できなくて練習しましたね。浪岡が曲を作るとヴォーカルのメロディにもそのテクニックが入っているから、“これできないんだけど……”って感じで(笑)。

あとは昔オーディションを受けたときに、“ビブラートを意識してかけているのか、かかってしまうのかで全然違う”って話をされて。私はそのとき、ビブラートは意識しないでかかっちゃう状態だったんですけど、それから意識して選択できるようになるまで練習しましたね。

──今回リリースとなった「閃光花」の中で、そういったテクニックが詰め込まれているフレーズはありますか?

浪岡 僕が練習したビブラートで言うと、ビブラートの幅とか振動するスピードを意識しています。全体を通じて、フレーズの細かいところにビブラートがかかっていることでちょっとエモくなったりするので、そういうポイントが随所にあると思います。

逆にラストのサビの壮大なところでは、細かいビブラートをかけるよりも、堂々と歌うようにフレーズを作っていく意識をしました。

──大島さんは、これまでの曲の中で練習したテクニックが多かったのでしょうか。

大島 そうですね。けっこう今までの蓄積によってできあがったところがあると思います。毎回毎回新しい課題は間違いなくあるので、そのたびに乗り越えながら歌っています。

──これまでの曲で、そういった難しさがあったのはどんな部分になるのですか?

大島 最初にめちゃくちゃ苦戦したのは、「Jukebox Driver」だよね。

浪岡 あー、そう。

大島 あのシャッフルビートが最初はとれなくて。リズム感は悪くないほうだと思ってるんですけど、なぜか本当にとれなかったんです。今はPenthouseの曲って当たり前にシャッフルビートが入ってるから、身体に染み込みつつあるんですけど。浪岡は絶妙に入れてくるからね。

浪岡 確かに僕はスクエアの曲でも歌だけ跳ねたり……みたいなことをやるので、難しいところはあるかもしれないですね。

大島 テクニックが散りばめられてます。

──でも、すごく楽しそうに歌っています。

大島 そうですね。Penthouseの曲が大好きなので楽しいなと思ってるんですけど、レコーディングは本当に大変。つらい(笑)。

浪岡 あははは(笑)。

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