【インタビュー】FIVE NEW OLDのHIROSHIが結成12年目の新たなる一歩『Departure : My New Me』を語る
2022.09.23
取材・文:荒金良介
結成12年目となるFIVE NEW OLDが、9月21日(水)にニューアルバム『Departure : My New Me』をリリースした。今回はヴォーカルのHIROSHIに、今作を通して伝えたいこと、歌を探求する思いについて話を聞いた。
みんなでずっと笑ってたいからこそ、ちゃんと成功したい
──FIVE NEW OLDは結成12年目ですよね。この12年でターニングポイントになった出来事というと?
HIROSHI ふたつありまして、まず5年目ぐらいのときにもともとパンク・バンドでやってたんですけど、自分のルーツにブラックミュージックやジャズがあり、それを取り入れた音楽をやりたいと言ったときに、メンバーが受け入れてくれたんですよ。周りからは“急に変わったね”と言われたけど、自分としては全然変わったつもりはなくて。結局パンクをやるのも、グルーヴのある音楽をやるのも、好きな音楽を信じてやっているだけなんです。
──もうひとつのターニングポイントというと?
HIROSHI メジャーデビューしたときにSHUNくんがサポートベースとして加入してくれたんですよ。当時は不安もあり、音楽を続けられないんじゃないかと思ったんです。でも周りの人がすごく助けてくれて、一年後、SHUNくんもふたつ返事で正式メンバーになってくれて……そのときにこのバントは自分たちのものだけど、それだけじゃないと強く思ったんです。手を差し伸べてくれた人がいたから。一番の財産はメンバー4人の仲が良くて、一緒にいることが幸せなんですよね。
──それは一番素晴らしいですね。
HIROSHI その状態を長く続けたいから、もっと成功したいという気持ちがあるんです。みんなでずっと笑ってたいからこそ、ちゃんと成功したいなと。
──新作について聞かせてください。最初に明確なアルバム像はあったんですか?
HIROSHI 2020年の結成10周年を機にワーナーミュージック・ジャパンと契約をしました。本当は10周年を迎えたタイミングで、新しいところに向かおうと考えていたんです。結局コロナの影響で、去年の秋にアルバムを出して、そこで10周年を終えられたんですよ。ちょっと時間がかかってしまったけど、ここから新しく何かをやろうと話をして、もう一度FIVE NEW OLDはなんだろうと話し合ったうえで作品を作ろうと。
“何も振り返らずに新しいことをやるのではなく、思想をメンバーで共有してから、今回の作品に向かおうと。ジャケットのアートワークを作ってくれたMargtから“スターティング・ポイント”というワードをもらって、まだ出発していなくて、一歩を踏み出そうとしてる瞬間を1枚に収めようと。それでアルバム名を『Departure:My New Me』と付けたんですよ。
──アルバム名にはそういう意味合いがあったんですね。
HIROSHI 新しい私と出会い、自分をアップデートする意味も含まれてます。知らなかった私に出会う。それは自分にこんな一面があったんだというポジティブな面もあれば、こんな醜くい部分もあったんだというネガティブな面もあり、その先で“良かった”と思える自分と出会えるんじゃないかと。
──その考えをメンバー間で話し合ったと?
HIROSHI そうですね。FIVE NEW OLDは自分たちが信じた音楽を分かち合いたいという気持ちが大きくて。パンクから音楽性が変遷したけど、自分たちが信じていることをやっているだけだから、それを多くの人と分かち合わないと幸せにはなれないと思うので。