meiyo、1st EP『間一発』インタビュー。“最も大切な曲が聴かれなかった経験から新たな引き出しを”

2022.05.6

取材・文:田代智衣里(Vocal Magazine Web)

“これが僕の気合いです!”と送りつけたデモ音源が元に

──『間一発』最後の曲は「あとがき」ですが、ピアノ一本で歌声と感情がダイレクトに伝わります。

meiyo 僕はピアノが弾けないので、ピアノ兼アレンジャーの兼松 衆に入ってもらいました。彼のピアノと自分の歌で、クリックなしの一発録りをした曲ですね。

──「あとがき」も歌詞とメロディは同時に生まれましたか?

meiyo この曲は、なんとなくメロディが先にあったかもしれません。自分の中では珍しいことなんですけど、メロディが先にあって、歌いたい内容もあって、寄せていく作業をしていった記憶があります。

──「あとがき」ができたのはいつ頃ですか?

meiyo 去年の12月にできていますね。

──制作時間はどのくらいかかりましたか?

meiyo 数日以内にあらかたの歌詞とメロディは完成していました。ギターの弾き語りを録って、そのギターデモを元にピアノアレンジをしてもらいました。そこまで完成したのは今年だったんですけど、わりとすんなりできたかもしれないです。

──レコーディングの一発録りは、何テイクか録りましたか?

meiyo 何回かやってみましたね。よく言う話ですけど、“やればやるほどうまくなるけど味がなくなる”みたいなことがあったらしく。自分では気づけなかったんですけど、そのときはディレクターが、2個前が一番いいと言ったんです。

2個前のテイクは自分的には“いや、ちょっと声も震えちゃってるし”と思ったんですけど、今できあがってから聴くと、曲には合ってるテイクだなと思いますね。

──《例えばの思いつきでゴメンだけど》など、声色の味わいが特に詰まっているように感じました。テイクの選び方は第三者の意見も大事にして選んでいくことが多いですか?

meiyo 自分が納得できるテイクは、人から“ここmeiyoの良さじゃないよ”と言われることがあるんです。どうやら自分の思うmeiyoの良さが、人からすると意外と細かい部分だったりするんだなと思うことがけっこうあって。だからわりと人のことをかなり信頼しますね。

──それは昔からですか?

meiyo そうですね。人が昔アドバイスをくれて録った歌を聴いてると、“これちょっと大丈夫かな?”と思うような曲もあるんですよ。でも、信頼する人が言ってくれてるから大丈夫なんだろうなって考えます。

──「チャイニーズブルー」はドラマ『鉄オタ道子、2万キロ』のオープニングテーマにもなっていますが、タイアップが決まる前からあった曲ですか?

meiyo ユニバーサルミュージックと一緒に音楽制作をしていくことが去年の6月に決まったんですが、この曲は、その前日ぐらいに“これが僕の気合いです!”と送りつけたデモ音源が元になっていて(笑)。タイアップが決まってから、ちょっとだけ歌詞を書き直しました。

だから、もともと電車のことをイメージせずに作った曲なんですけど、当時のデモから《スタンタンスタンタンスタンタン》とか、何か電車を思わせるような言葉が実はいっぱい含まれていて。そんなこと考えてなかったのに、意外とマッチしたというか、何か奇跡的でしたね。

──気合いとして送ったデモ音源は、他にも何曲かあるんですか?

meiyo そのタイミングで渡したのはあと1曲あって、それはまだ何もしてないんです。

──その1曲もいつか音源化されるのが楽しみです。『間一発』のタイトルは、収録曲が決まったあとに考えたのですか?

meiyo 収録曲が決まったあとですね。全曲並んで、曲順を考えながらタイトルを決めた気がします。

──『間一発』という言葉はどこから来たのでしょうか?

meiyo EPという形でリリースするのがメジャー後、初ということで、何かコンセプトがあったほうがいいのか、ないほうがいいのか、いろんなことを考えたんです。とりあえず漢字3文字にしたいというアイデアが出て、「一大事」とか、漢字3文字のいろんな言葉をあげていきました。その中で「間一髪」は、僕が30歳でメジャーデビューした間一髪感みたいなものが面白いなと思って、「間一髪」にすることをまず決めました。

その「間一髪」のパツが「髪」じゃなくて発車の「発」になっているのは、後付けみたいな話なんですけど。“まったく別のジャンルの曲が5曲入ってるアルバムの、その間にあるmeiyoらしさで一発”というイメージで「間一発」に決まりました。

──“メジャーデビューが間一髪だった”ということでは、メジャーでデビューするまでには焦りを感じることもありましたか?

meiyo 僕は歌い始めたタイミングで、すでにオーディションの募集要項から外れる年齢だったんです。最近は30歳でもメジャーデビューする方が全然いますけど、ワタナベタカシとして音楽を始めて、meiyoをやってきた期間は、わりと焦らざるを得ないような時代でしたね。

──その焦りから、活動の中でやってみたことはありましたか?

meiyo なるべくいろんな人の目に触れるように、オーディションにも応募するし、“一緒にやろうよ”って言ってくれた人とは一緒にやるし。もうとにかく、フットワークを軽くして動きましたね。

最新情報

ヴォーカルや機材、ライブに関する最新情報をほぼ毎日更新!