【インタビュー】ISSA(DA PUMP)、17年ぶりのオリジナルALから深堀りする歌唱と喉ケア。“絶対にオンマイクでやり続ける”

取材・文:田代智衣里(Vocal Magazine Web)

DA PUMPが約17年ぶりのオリジナルアルバム『DA POP COLORS』をリリースした。2018年の大ヒット曲「U.S.A.」を始め、オリコン1位を初獲得し、第63回『日本レコード大賞』を受賞した「Dream on the street」など、23曲を収録した現メンバー初のオリジナルアルバムとなっている。

ヴォーカル・マガジン・ウェブでは、DA PUMPの看板を“自分の名字のようなもの”と言って掲げ続けてきたISSAに、今作をリリースするまでのヴォーカリストとしての歩みを訊いた。そこには天才肌でありながら、自分の武器を感じ取り、楽しむことで進化する姿があった。

ルーティンとしてやってきた喉ケア、レコーディングやライブパフォーマンスのこだわり、生の歌声を届けるうえで思うこととは。ダンス&ヴォーカルの歴史を担うひとりであるISSAの“無意識の中にある特別なスタイル”を覗いてみよう。

一番の武器はやっぱり歌なんだって

──待望のオリジナルアルバム『DA POP COLORS』がリリースされましたが、ISSAさんご自身では今作が完成するまでに歌唱の変化を感じることはありましたか?

ISSA 多少なりとも感じますけど、自分ではよくわからないですね。よく周りから“歌がうまくなったね”とは言われます。でも、好きでやってることをそのまま続けていたら、そんなに年数経ったのかな?って感覚なんです。

──変化するというより、突き詰めてきたのでしょうか?

ISSA まったく変えようとはしていなくて、その曲ごとにメロディや物語があるので、曲に対する自分のストレートな表現を素直にしています。わざと“こう歌おう”とかではなく、曲を感じると自然とそういう表現になるって感じですね。

──デビュー前、沖縄から上京した際に歌とダンスのレッスンに通っていたそうですが、本格的に歌い始めたときはどんな感覚でしたか?

ISSA やっぱり(当時は)声もそんなに出なかったですし、若さゆえのストレートな歌い方しかできなかった部分があったと思います。ダンスと歌を一緒にやるときに、天秤にかけるわけじゃないですけど、自分の役割としては歌のほうにどんどん比重が傾いたというか、気持ちの面でも“自分の一番の武器はやっぱり歌なんだ”って自分に言い聞かせるようになって。どんどんどんどん変化していったのは、そう思うようになってからです。

あとは、やっていれば自然に技術は身についてくる。小手先の技術よりも、歌の中の世界観とか、主人公の気持ちを届けなければ僕は嘘だと思っているので、歌ううえではそこに一番重きを置いてます。

──レッスンではどんなことをやっていたのですか?

ISSA ヴォイストレーニングの先生の鍵盤に合わせて声を出したり、そういうことから始めました。発声・腹式とか、そんなレッスンだけですね。“この歌をこういうふうに歌いましょう”ってレッスンはまったくやったことないですし、基本的な(声の)使い方ぐらいでした。

──ミックスヴォイスについて、ISSAさんご自身はレッスンを受ける前から自然と感覚を掴んでいましたか? 段階的に理解を深めていきましたか?

ISSA たぶん、自分がどこでどんなふうに(声を)出せば気持ちよく響くかとか、そういうことを歌いながら段々と……って感じですね。全然意識したことがないんです。自分が歌っているときの心地よさ、気持ちよさを重視しています。だから評価をしてもらったとき、自分からしたら“ええ! そうなんだ!”って感じでしたもん。

──“声帯も筋肉なので鍛えていくと出るようになる”と発言していたのを見たことがあるのですが、音域を広げるためにやったことはありますか?

ISSA 音域を広げようと思ってやっていたことじゃなかったんですけど、自分の場合は歌をずっとやっていたら、だんだん声が出てくるようになったって言ったほうがいいのかもしれないです。

でも、アドバイスするとしたら、“高音を出したいのであれば低音を鍛えろ”と言うかもしれないですね。やっぱりベースがしっかりしていないと無理なので。低ければ低いほど、下の懐が深くなるほど上の伸び率は伸びますし、当てにいくときに出やすいのかなって。僕も、普段の声は全然高いほうではないですし。

──今回収録されている「Oh! My Precious!」は昨年リリースされたばかりですが、アウトロでもかなりのハイトーンヴォイスを披露しています。さらに音域は広がっているのでしょうか?

ISSA 無理させるんですよ〜(笑)。無理させるからそうなっちゃうんですけど、あれはA・T(m.c.A・T)の楽曲なんですね。それをそのままのキーでやってみたらどうなのかって、ちょっとチャレンジ的なところがあって。あとは意地でやったので、ライブではやらないんです。

──作品ならではの歌唱でもあったんですね。

ISSA ライブでやると喉がちぎれちゃうので。作品だからできたチャレンジというか、遊びという感じですね。

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