【インタビュー】川崎鷹也、新曲「Be yourself」制作と、自身のヴォーカルスタイルを作り上げた“こだわり”を語る!

取材・文:藤井 徹(Vocal Magazine web)
撮影:上溝恭香(2021年12月18日(土)東京・ヒューリックホール東京)

2020年に「魔法の絨毯」がTikTokで話題となり、一躍その名を知られることとなったシンガーソングライター、川崎鷹也。
昨年は初のメジャーオリジナルアルバム『カレンダー』をリリースし、従来の弾き語りだけでなくバンドスタイルに乗せて歌声を届けてくれた。さらに、音楽番組のみならずバラエティでも活躍。トーク力も含めたタレント性が広くお茶の間にも知れ渡っている。

そんな川崎が1月21日(木)に新曲「Be yourself」を先行配信リリース。同曲はドラマ『もしも、イケメンだけの高校があったら』主題歌となっており、《自分らしさ》をテーマに書き下ろされたもの。
青春や友情をモチーフに描かれた歌詞がグルーヴィなアレンジに乗せて歌唱された、まさに新境地と言えるナンバーだ。

今回のインタビューでは、新曲の話を皮切りに、『カレンダー』を引っ提げて開催されたライブの話や、音楽専門学校時代や卒業後に邁進した、彼の音楽と歌への強いこだわりについて、かなり深い部分まで聞くことができた。川崎鷹也ファンはもちろん、ヴォーカリスト、シンガーソングライターを志す方は必見の内容なので、ぜひ最後まで読んでいただきたい。

《自分らしさ》というキーワードからどんどん派生してできた曲ですね。

──まずは、新曲「Be yourself」の感想から言っていいですか?

川崎 はい。

──和製スティーヴィー・ワンダーかと思いました! とてもグルーヴィなテイストのアレンジですが、その辺から聞かせてください。

川崎 わ〜お! いやいやいや、ありがとうございます。そうですね、いつものようにギターの弾き語りで作ってるんですが、ドラマの主題歌ということもあって、ドラマサイドの制作の皆さんが、どういう音が欲しいのか、互いにディスカッションを重ね、アレンジャーさんに入っていただいてできた曲になります。元々の曲は弾き語りでステージに立てるのが大前提ではあるんですけど、そこから“最新の音”だったり、“聴いていて踊りたくなるような曲”だったり、“本当に元気が出る曲”だったり、いろんなキーワードがある中で、このアレンジになりました。

──なるほど。原曲の姿が想像しにくいですよね。そこをあえて?

川崎 そうですね。僕は弾き語りを今までずっとやってきたし、これからもそこは変わらないんですけど、ただこういう新たなチャレンジの歌も歌いたいなと思ってますし、いろんな自分の可能性を広げるためにも、今まで僕の曲になかったアレンジの仕方をアレンジャーさんと一緒に考えながら楽しく作った曲になります。

──歌い方の部分で意図して変えたことは?

川崎 特に意図しては変えなかったですね。ただ、キメが多かったり裏拍がすごく重要だったりと、リズムのとり方、グルーヴのとり方というのが、やっぱり従来の弾き語りの曲と違うので、そこは変わっていった部分だと思います。そこの音に対するメロディの捉え方、オケに対してどうやって寄り添いながら歌えるかっていうのを考えた結果ですね。

──メロディとか歌い回しのアプローチが、オケが仕上がってから変化しました?

川崎 いや、メロディとその音の捉え方は変わってないんですが、リズムの取り方が変わってますね。うしろノリでリズムをとってるんです。弾き語りでも裏拍を意識して歌う曲はありますけど、めったにしないので。この曲はそこの部分(♪ワン・エンド・ツー〜とリズムを刻みながら)エンドのほうをわりと意識してるかもしれないですね。

──ドラマの主題歌を前提として書き下ろしたとのことですが、今回は原作が漫画や小説ではなくて、秋元康さんのオリジナルシナリオ。まずどこから手をつけていきました?

川崎 まだ確定していない段階の脚本を読ませていただき、制作の皆さんと話す中で《自分らしさ》というキーワードをもらいました。自分らしさって、人それぞれあって正解もないし、何がそもそも自分らしさなのかわからない。そんな中で葛藤する主人公というストーリーを自分に置き換えてみたとき、“たしかに自分らしさってなんだろう?”みたいなところは考えましたね。

学生時代、夢や理想ばかり追いかけて、でも現実は全然そうじゃなくて……みたいな葛藤と悩みがあったなと。でも、なんだかんだそれを考えても仕方なくて、そのときの壁、そのときの悩みはいつの間にか解決していたり、そんなに悩むことじゃなかったなと楽観的に思えたり……。これまでの人生を振り返るとそう思っているので、そういった内容で《自分らしさ》というキーワードからどんどん派生してできた曲ですね。

──原曲ができたあと、アレンジの具体的なアプローチはどういう作業だったのですか?

川崎 アレンジャーの宮田 ‘レフティ’ リョウさんと一緒に進めたんですが、部活の延長みたいなやり取りをしつつ、本気で大人が遊びながら作った感覚ですね。“イントロから掴みたいよね!”とリズムもキメキメにしたり、ギターじゃ簡単に押さえられない、ピアノならではの音、13th、9th、6thなどのコードをだいぶ散りばめてくれていて、おしゃれなサウンドになっていますね。

──楽しそうな雰囲気が音に出ていますよね。歌唱面で今までやってなかったけど、新たにチャンレンジした部分はありますか?

川崎 それで言うと2番のサビのあと転調するんですよ、この曲。半音、全音上げとかじゃないけっこうな転調をしていて、そこのメロディラインを宮田さんと一緒に考えました。唯一僕だけの脳みそから自然に出てきたメロディじゃないのが、ここのDセクションのところ。だからこそ、そこの歌い回しは普段とちょっと違うかもしれないですね。コード感なども僕の中になかったものだし、ここだけは唯一共作みたいなイメージですかね。

──他にパートができていて、あとでここをつけた?

川崎 そうですね、はい。

──逆に言うと、あとは今まで培ってきたテクニックを随所に入れて歌っている感じですか?

川崎 そうですね。

──とはいえ《だけど腐るときもそりゃあるけど》の《あるけど》のところとか、《どれだけ悩んでみても》の、《悩んで》のところだったり、これまでよりもちょっとグルーヴ感を強めに出している感じはするんですけど……それほどでもないですか?

川崎 あまり僕は意識して作ってないですね、これまでの曲も、この曲も。……あまり考えていないんです(笑)。ギターで曲は作ってるんですけど、そのときの音ノリだったりコード移行の仕方、ストロークのパターンなどに合わせて一番気持ちいい歌い方をしているっていう感じですね。

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