【インタビュー】川崎鷹也、新曲「Be yourself」制作と、自身のヴォーカルスタイルを作り上げた“こだわり”を語る!

取材・文:藤井 徹(Vocal Magazine web)
撮影:上溝恭香(2021年12月18日(土)東京・ヒューリックホール東京)

3年くらいは本当に台本と一文字も違わないMCをやってましたね。

──そして、これもヴォーカリストとして実は大事な要素かと思うんですが、MCが非常に達者でいらっしゃって(笑)。

川崎 (笑)。達者でした? でもしゃべらなかったほうですよ、たぶん。“あっ、全然しゃべってないな”と思ってアンコールで焦っていっぱいしゃべりましたけど。

──それはバンドでやっていたからという部分も影響しているのですか?

川崎 いや、そこはあんまり影響してないかも?(笑)正直コロナ渦になってマスク越しの表情が見えづらいので、お客さんの反応とか空気感がわかりにくいんですよ。僕はMCで“この会話がはまったな”と思ったら広げたりするし、“こっちの話題がウケるのか”と思ったら引っ張ったりするので、お客さんの表情、反応がわかりにくいと、はまってても次に行ってしまうこともあって。“そこをもうちょっと掘り下げたほうが良かったのになあ”っていうのは、お客様側はたぶんあるんですよ。それがステージ上からわかりづらいっていうのが、MCが少なかったひとつの原因かもしれないですね。

──そうだったんですね。それでも距離感の取り方が上手だなと感じました。あらかじめMCで話す内容は決め込んでいくんですか?

川崎 いやもう白紙です。“ここで告知してください”と、“ここで配信決定を言ってください”、あと曲名を言う曲と言わない曲……“聞いてください、「Young Song」”とかだけ決まってて、それ以外は全部フリーです。

──じゃあバンドも照明さんも、みんないつ終わるのか緊張しながら見てるわけですね(笑)。

川崎 そうかもしれないですね(笑)。しかも僕、リハでMCを一切しないので。

──でも、MCって練習するものじゃないですよね?

川崎 そう……いや、え〜と、MCは練習しなきゃいけないです!

──おお、なるほど!

川崎 僕はライブを始めたての頃から、ずっとMCは台本を書いて臨んでました。

──今は白紙なのに、逆に書いてた!?

川崎 はい。一字一句。で、それを暗記してステージでしゃべってました。“(お客さんに向けて)全然笑ってくれないじゃん!”っていうセリフが台本にありましたから(笑)。3年くらいは本当に台本と一文字も違わないMCをやってましたね。

──それがMCを上達する道だという確固たる信念のもと?

川崎 いやいや、単純にMCが苦手だったんです。最初は話すのが苦手だったので。“お待たせしました、川崎鷹也です”って書いてましたよ。さすがに“それはわかるやろ!”って(笑)。

──いつから白紙にできたんですか?

川崎 いつだろう……? 下北沢のArtistという、お客さんが50人いたかいないかで満杯になる場所で初めてワンマンライブをやったんですね。そのときまでは、一字一句作ってたんですよ。ワンマンライブだと30分ステージじゃないので、1時間とか1時間半のMCを書くのがしんどくなったんです。“うわっ、面倒くさ!”って(笑)。

で、2回目のワンマンライブは四谷の天窓だったんですけど、そこで初めて台本なしでやったときに、本当に3年間台本作ってきたので、なんとなく話すことが染み付いてて、曲前のエピソードだったり、伝えるべきことを書かなくても頭の中に自然に出てきたんです。そこからですね、台本を一切書かなくなったのは。

──これ、いい話だわ〜(笑)。

川崎 ホントですか(笑)。この話、したことないです。恥ずかしいですけどね。

──後輩であるミューズ音楽院の生徒さんたちに言っておかないとですね!

川崎 そうですね! でも、台本を書かなくてもできるのが、きっと芸人さんだったり話芸のプロだと思うんです。それこそバラエティ番組に出させていただくようになってから、台本にない話とか、“ボケ・ツッコミ・回し”みたいなことを芸人さんは瞬発力や反応で返すので、やっぱり敵わないなあって。いや、もちろんそこで勝負してるわけじゃないですけど(笑)。いつもすごいなって尊敬していますね。

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