【インタビュー】Novel Core 磨きあげるヴォーカル・アプローチ 足掻きながらも戦い続ける理由

2021.12.15

取材・文:鈴木 瑞穂(Vocal Magazine Web)

2021年12月15日(水)、Novel Coreが待望のメジャー1stアルバム『A GREAT FOOL』を配信リリース、およびBMSG MUSIC SHOP & タワーレコード(※対象店舗のみ)にて数量限定でフィジカル盤を発売する。

弱冠20歳(※取材当時)という若さでありながら、数々の苦悩や挫折を乗り越え、その経験から生み出される骨太で本質的な歌詞。独学と実践で鍛え上げてきたテクニカルなラップ・スキル、そして今回のアルバムで飛躍的な進化を遂げたヴォーカル表現。

高みを目指し走り続けるNovel Coreの、努力の証とも言えるヴォーカル/ラップ・アプローチと歌詞に込める想いについて詳しく聞いた。【最後にプレゼント情報あり】

賢く上手に生きられなくてもいい

──アルバムのタイトルにはどんな想いが込められていますか。

Novel Core このアルバムは20歳から21歳になるまでの1年間を切り取ったような期間で制作していて。とにかくバカでかい夢を見て、根拠のない自信を武器に生きていたいという気持ちと、一社会人として冷静な判断力や協調性が求められる瞬間のギャップにやられていたので、同世代の人達は勿論、同じような気持ちを抱えている全ての人たちに向けて、“賢く上手に生きられなくても別にいい、恐れを知らない大馬鹿者であれ”というメッセージを伝えたくて、このタイトルを選びました。

──タイトル・トラックの「A GREAT FOOL」では、社会の常識やステレオタイプに対する反論を代弁してくれている印象を受けました。Novel Coreさん自身もアイデンティティと社会の評判との間で悩むことはありましたか?

Novel Core 社会の常識や、“こうあるべき”という枠組みに押しつぶされそうになることが多かったタイプではあるかも……。15歳の時に高校を1年で中退して、音楽の道に進んで。もともと音楽はオールジャンル聴いていて、POPS、HIPHOP、ロック、ジャズ、R&B、レゲエ、全部好きだったんで、“いろいろなジャンルをミックスした音楽を作っていきたい”という想いは昔から変わってないんです。でも、ラッパーが歌を歌うと“セルアウト”とか“売れ線狙ってる”とか、そんな言葉を浴びることも少なくなかった。社会の“こうあるべき”を全部ぶち壊しにいきたいっていうのは今も自分の中に確固たる意思としてあって、そういう既成概念への反発がこの曲にそのまま反映されてます。

──サビの《右左も分からない 俺達の生き方で》は《俺“達”》にあるように、今回のアルバムの歌詞からは一緒に走ってくれているような“仲間感”をより一層感じましたが、何かきっかけがあったんですか?

Novel Core メジャー・デビュー前に出した前作のアルバム(『WCMTW』)は自主制作だったので、責任を背負うのが自分達だけだったんです。メジャー・デビュー以降は自分の周りにスタッフさんが沢山いて、ファンは勿論、応援してくれる人達が沢山いて…チームとしての意識が凄く強くなって。そういう環境の変化に対して、自分の中でも1人称が“俺”から“俺達”に変わった1年だったと思います。

──所属マネージメント/レーベルのBMSGにもBE:FIRSTを始め、たくさんの仲間が増えましたよね。

Novel Core もともとひとりで突っ走ってきた一匹狼タイプだったので、友達は多くても仲間と言い切れる人はあんまり多くなくて。でも今は悩みがあった時に(愚痴を)こぼせる人たちが所属マネージメント/レーベルの中にもいて、仲間なんですけど、本当に家族に近いというか、BE:FIRST含めAile The Shota、TRAINEEのみんな、edhiii boi……今いる仲間たちは本当に全員フラットに仲良く、かついろいろ刺激し合ってます!

──「A GREAT FOOL」のサウンド面では、THE ORAL CIGARETTESの山中拓也さんをプロデューサーに迎えられていますが、実現のきっかけは?

Novel Core メジャーデビュー・シングル「SOBER ROCK」をリリースした際、プロデュースしてくださった日高さん(※SKY-HI。プロデューサー名義ではSOUCEKEY)の家でビートを作っていた時に、急に日高さんが“ギター生でカッコいいの入れたいよね!”って山中さんに電話し始めて(笑)。そしたら深夜2時頃に来てギターを弾いて入れてくださったんですよね。僕は初めましてで、でもライブ映像もよく観ていて、大好きだったので“ヤバい、山中さんだ!!!”ってすごく興奮しました。

でも、その時は初対面のテンションのノリもあったので、改めて楽曲単位でしっかりプロデュースをしていただく機会が欲しいなと思っていて。今回メジャー1stアルバムのタイトル・トラックだし、メジャーデビュー・シングルの伏線回収みたいな意味も含めて、このタイミングで山中さんにやっていただくことが、すごく意味のあることだと思って再度オファーさせていただきました。

──ORALさんのロックでダークな世界観もありつつ、Novel Coreさんの歌声や雰囲気にもとても合っている印象ですが、ロックにもルーツがあるんでしたよね。

Novel Core ラップを始める前からロックはすごく好きで、ボン・ジョヴィみたいな超王道から、ちょっとマニアックなのまで、沢山聴いてました。ロック特有の世界観や、ファッションからも沢山影響を受けていますね。あと、そもそもラップとロックはめちゃくちゃ相性がいいので!最近リリースした楽曲は「WAGAMAMA MONDAIJI」も含め、ロック要素が強いものが多くなってきてるかな。

──Novel Coreさんの存在感のあるヴォーカルも印象的で「天気雨 feat. Hina (from FAKY)」以降、さらに進化していると感じます。ヴォーカル・エフェクトもあまり使ってないですよね?

Novel Core 「天気雨 feat. Hina (from FAKY)」では、歌唱のピッチ補正と楽曲自体の調律的に、オートチューンを使ってます。最近は、歪みとか声質を活かすエフェクトはかけても、基本的に歌唱はナチュラルでいくようにしてるんで、オートチューンはほぼかけていない状態です。根本的な歌唱のレベルを上げないとな…っていうタイミングだったので、ヴォーカルに対する意識がすごく上がった1年間でもありました。

──本格的にトレーニングされたんですか?

Novel Core 実はボイトレはまだ行ってなくて……(笑)。アルバムの制作途中にボイトレに通い始めると後半に作っていく楽曲たちとの差がすごいことになる気がして。自分が“全曲録り直したい!”とか言い始めてスタッフさん達に迷惑をかける未来が見えたので(笑)、さすがにそれは…と思い、ボイトレはアルバムを作り終えてから始めようと思ってます。

でも、『THE FIRST』(オーディション番組)で、参加者たちがボイトレの先生や日高さんにディレクション受けているところを何回も巻き戻して観て、自分も色々試してみたりはしました。“人が人に教えられてること”をとことん盗む作業をしてましたね(笑)。なので、今のところほぼ独学です。

──えっ、独学!? 歌声が身体から響いてると感じたのですが、フェジカル・トレーニングはしていますか?

Novel Core 身体作り、さぼっちゃってて……。筋トレはしないとダメですね。今、改めて反省しました(笑)。

──《絵空ごとで腹かかえて》の語尾のしゃくりあげるヴォーカル表現も印象的ですが、細かい歌い回しはどのように考えていったんですか?

Novel Core いつもプロデューサーの方とトラックを作っていって、ある程度形が見えた段階でとりあえず1回ブースに入って、即興の宇宙語でメロディを乗っけていく作業をするんです。それをあとから切り貼りして歌詞を乗せていくんですけど、今回は宇宙語の段階で“ここはこういうニュアンスでいきたいな”というのが自分の中で完璧にイメージできていたので、どちらかと言うとヴォーカル表現を殺さないように歌詞を乗っけることを意識して作りましたね。

──歌い回しは全部ご自身で考えているということですか?

Novel Core そうです、そうです。今作は全部そうですね。

──メロディも?

Novel Core メロディも90%ぐらいは自分で考えてましたね。

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