【インタビュー】DEEP SQUAD 1stアルバム『D’PARTURE』で魅せた“変幻自在”のヴォーカル・スタイル”を深堀り!

取材・文:藤井 徹(Vocal Magazine web)

6人組ヴォーカル・グループ、DEEP SQUADが12月15日(水)に1stアルバム『D’PARTURE』をリリースした。
10年以上のキャリアを誇るDEEP TAKA、DEEP YOUICHI、DEEP KEISHIの3人が、2019年7月に“DEEPオーディション”を開催。
合格した宇原雄飛、杉山亮司、比嘉涼樹の3人を新たに迎え入れてDEEP SQUADとしての活動を展開中だ。
6人全員がメイン・ヴォーカルを務める実力を持ちつつ、美しいハーモニーを奏でることもできるため、サウンドスケープも自由自在。
このアルバムは、まさに“変幻自在のボーカリスト集団”というキャッチフレーズを見せつける好盤となっている。
これまでの活動やアルバムの話を聞くとともに、6人全員に“ヴォーカリストのこだわり”についても深堀りしてみた。

全員がメイン・ヴォーカルも歌えて、なおかつコーラスもできるグループは少ない(TAKA)

──DEEPのメンバー3人が企画したオーディションで、宇原雄飛さん、杉山亮司さん、比嘉涼樹さんの3人を選んだ決め手を聞かせてください。

DEEP YUICHIRO もちろん歌のうまさとかルックスみたいなものも、オーディションをしていくうえで大切なことですけど、それよりも一人ひとりの存在感とか、華がある人ってことで、この新しい3人でした。一緒に活動してると、3人もすごく成長してくれていますし、これからも伸びしろがあると思うので、本当にこの3人を入れて良かったなって思っております。

──オーディション当時の記事を読むと、“ヴォーカルに特化したエンターテイメントを目指す、これから作り上げるんだ”という話がありましたが、具体的にはどういった姿を描いていたんですか?

DEEP TAKA もともとCOLORとかDEEPというグループで活動していた時からのコンセプトを継承したいなと思っていました。それは、全員がメイン・ヴォーカルも成り立つコーラス・グループということですね。メイン・ヴォーカルがひとりいて、他のメンバーはコーラスっていうグループが多い中、全員がメイン・ヴォーカルも歌えて、なおかつコーラスもできるというグループは、たぶん今なかなかいないスタイルだと思うんですよね。なので、そういう部分を確立して唯一無二のグループになりたいということで、“変幻自在のヴォーカリスト集団”をテーマに、DEEP SQUADというプロジェクトを立ち上げさせていただきました。

ただ、オーディションの最中もそういったテーマを決めて行なっていたわけではなく、今いる若手の3人も含め、参加してくださった皆さんからのインスパイアを受けて、“こういうグループにしていたら面白いよね”というアイディアをもらったんです。オーディションをやっていくにつれて、そういう未来像が浮かんできたので。

──そこから1年、オーディションの決勝と同日の2020年7月21日に、1stシングルをリリースされました。コロナ禍で、なかなか動きづらさもあったかとは思うのですが、その中で3人の新しい力を迎えて、どんな準備をしていたのでしょうか?

DEEP KEISEI このアルバムに向けて曲はずっと作っていたんですよ。自分たちでハーモニーを日々スキルアップするっていうことと、まだコロナ禍に入るギリギリ前だったので、けっこうライブもさせていただけました。本番のライブをやりつつ、スキルアップもしつつ、デビューに向けてグループが一丸となる準備をしていましたね。

これがプロなんだ、歌だけじゃダメなんだと思いましたね(宇原雄飛)

──では、若手のお三方にお聞きしたいと思います。実際にプロで10年以上バリバリに活動していたメンバーの方と過ごした、デビューまでの1年間で感じたプロのすごさ、DEEPメンバーのすごさについて聞かせてください。

杉山亮司 加入する前から自分でラップとかやってたんですが、自分の部屋がRECスペースだったんで、DEEP SQUADをやるまで、ちゃんとしたレコーディング・スタジオに入ったことがなかったんですよ。そこでいろいろなアドバイスを受けたりすると、なんかすごいなって。素直に“プロになった実感”がありましたし、スタジオの外で先輩たちが歌ってるのを聴いてると、“うわ、うまいなあ”って。もともと僕もDEEPさんの楽曲を聴いていたので、その人が目の前で歌っているから不思議な感覚でもあったし、“本当に歌ってるわ〜”と思って(笑)。そういうところが、なんかプロってすごいなとシンプルに思いましたね。

宇原雄飛 オーディションの最後で合宿した時に驚きましたね。DEEPのメンバーの皆さんと一緒のステージに立たせていただいたんですけど、リハーサルだったりライブをちゃんと作り込むのが人生で初めてでしたし、ずっと音楽漬けの毎日だったので、お三方の歌とか経験とかがわかってすごいなって思いました。受かってからも、自分はレコーディングで本当に苦戦した部分があって、その時にディレクションに入ってもらったり、いろんなアドバイスをもらって、吸収する部分もたくさんありました。歌以外でも取材の場とか、ステージのMCもあるじゃないですか。やっと少ししゃべれるようになったなって感じなんですけど、これがプロなんだ、歌だけじゃダメなんだと思いましたね。

比嘉涼樹 何から何まですごいなって思うところばかりだったんですけど、一番思ったのは、お客さんの前に出た時の振る舞いだったり、佇まいです。やっぱり最初の頃は特に人前に出るだけでもめちゃくちゃ緊張してガチガチだったんです。だけど(先輩たちは)もちろん緊張もあるとは思うんですが、キャリアが十何年もあるから緊張にも慣れていらっしゃると思うので、その時に大きく見えて。プロだなと思うと同時に頼もしく感じました。

──レッスンを受けていて、これはなかなかハードだったなあという思い出は?

雄飛 ちょうどコロナ渦に入って本当に部屋から出てなかった時に、(若手)3人はオンラインでヴォーカルの先生とめちゃくちゃレッスンしてて、その期間が本当にためになりましたね。歌も変わった時期なんですけど、やっぱりそのぶん課題もたくさんあったし、一番きつかったかもしれないです。コロナ禍というメンタルもあったり、今スキルアップしなきゃっていう気持ちもあったり、いろいろしんどかったですね、その時は。

──これからいくぞ!っていうタイミングでしたからね。そんな事情もあったのかもしれないですが、初期からYouTubeで楽曲カバーにもトライされて。COLORやDEEPはもちろん、あいみょんとかLiSAのナンバーも取り上げていました。

TAKA やっぱり、僕らを知らない方に知っていただけるっていうのがひとつの大きな理由ですね。あいみょんさんのあの曲が好きだったり『鬼滅の刃』の曲が好きで聴いてみようとなった人が、“なんだこの人たち!?”って引っかかって、そこからDEEP SQUADを知っていただけたらいいなって。

──プロモーションで外に出ていけない時期でしたからね。

TAKA そうですね。でも、家にいる時間が多かったので、YouTubeのユーザーはドンと増えたじゃないですか。こういう時期だからこそできることを選んでやってきたなっていうのはありますよね。

──DEEP SQUAD独特のルールはありますか? 例えばレコーディングで自分が歌っている時に、その人は同じ場所にコーラスを入れないとか。

TAKA まさにそうですね。やはりライブを意識するので。僕がメインを歌ってる時に僕のハモリが入っていたら、ライブで具現化できないじゃないですか。そこはすごく気をつけてレコーディングは進めます。もちろん、中にはそうじゃないものもあったりもしますけどね。作品としてのクオリティ重視ということもあるんですけど、なるべくオケがなくてもアカペラで成り立つぐらいの構成にしています。

──まさにパズルでしょうね(笑)。

TAKA 組み立てが6人だと本当に大変で。歌唱パートも行ったり来たりしなきゃいけないメンバーが出てきたりとか。そういうのがけっこう難しいんですよ。

KEISEI 同時刻に同じとこにいちゃいけないっていう……。

DEEP TAKA
宇原雄飛

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