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【インタビュー】Shohei(THREE1989)、美しい歌声から見える真っ直ぐな歌への愛

インタビュー:鈴木 瑞穂(Vocal Magazine Web)

レジェンド・ヴォーカリストへのリスペクトから繋がる楽曲アプローチ

──第2章はしっとりと雨の情景が浮かぶパートですね。竹内まりやさんの「恋の嵐」をカバーをされていますが、原曲の明るい感じに対し、しっとりと歌われているイメージでアレンジしているのが印象的です。

Shohei 原曲とは一線を画したいなと思ってて。この曲を現代風に僕らがアレンジするとどうなるかなってところから始まったんですけど、僕はやっぱり“この曲は歌を強調させたい”とメンバーに言ってました。カバーで歌うのとオリジナルを歌うのってメロディの作り方的も全然違うと思うんですよ。「紫陽花」という曲がその前に入ってるんですけど、それがどちらかと言えば儚い曲なので、そのテーマに従順するように、ちょっとアンビエントな感じにしていけたらいいよね、という話から今のアレンジに至りました。

──コーラスの部分からは山下達郎さんへのリスペクトが感じられました。

Shohei まさにそうなんです、聴きまくりました(笑)。「恋の嵐」のオリジナル版も山下達郎さんがコーラスされてるじゃないですか。“わあ、これはちゃんとやらんとヤバい!”と、めっちゃ勉強して。それまではひとつのメロディ・ラインに対してベタベタとハモリを塗ることが多かったんですけど、「恋の嵐」の山下達郎さんのコーラスワークは、クレッシェンドみたいな“抑揚”という要素が多かったので、これを取り入れたいなと。特にサビのところではクレッシェンドを意識しています。

──続く第3章では第2章から一転し、“奇想天外な恋物語”というストーリーでアップテンポな曲調が続きますよね。「夏ぼうけ」では、歌声をしっかり張ったりブレスでリズム感を出すなど、すごく細かくヴォーカル・ディレクションをされてるなという印象を受けました。

Shohei これは久保田利伸さんのTHE BASEMENT of Funky Jamというスタジオで録ったんですけど、村山英世さんという、もともと僕らのヴォーカル・ディレクションをしてくれている方にディレクションしてもらっています。いつも自分でやる時には気づけない細かなニュアンスを教えてくれて、その場でセッションしながら作り上げていきました。

──テイクのたびに歌いまわしを変えていくんですか?

Shohei そうですね、それこそ修行のように何回もやりました(笑)。楽しいですけど、めちゃめちゃ精神削られるというか。良くしようと思ったことは全部パシッと言ってくれるから成長にも繋がって嬉しいし鍛えられますね。ホント、修行です(笑)。

──レコーディングの時に行なう、決まった発声練習はありますか?

Shohei 子供の頃、CHEMISTRYのドキュメンタリーを観た時にリップロールをやるシーンがあったので、それを真似して歌手を始めてからずっとやっていますね。

──どのくらいまでやったらOKとかあるんですか?

Shohei 声がだんだん出るように整ってきたらやめる感じですね。気持ちがリラックスできてきたらOKです。

──第4章ではクリスマスのストーリーが展開されます。インタールードも含めて「Christmas Delivery – Interlude」から「Private Castle」はひとつの大きなストーリーのようにも感じられたのですが、同じ男女をテーマにされてるんですか?

Shohei そうです、そうです。「Hot Chocolate」は、部屋でひとり相手を待っている、と。そのあとの「Private Castle」では相手が家に来るという展開なので、同じカップルの別々の視点を描いた感じですね。どちらかと言うと「Hot Chocolate」はヒロインで、「Private Castle」は男性主人公って感じかな。

──「Private Castle」は歌いまわし、メロディ、コーラスワークなどから、久保田利伸さんのエッセンスも感じ取れたのですが、インスパイアされた部分はありますか?

Shohei うわぁ、嬉しいですね。久保田さんの「Indigo Waltz」の歌い方からは、インスパイアされたかもしれないです。あと曲を書く時に久保田さん節みたいなものはけっこう入れたかも。Aメロの《Swingin’ Swingin’ Walking》とか。曲の切れる部分や締めの言葉みたいな、ちょっとしたところですごく意識しているかもしれないですね。

──久保田さんの好きな歌いまわしはありますか?

Shohei 言葉や歌詞がない休符の部分にも言葉があるというか、他の人があまりやっていないような、“休符を発声して自分のリズムを乗せる”という歌いまわしが好きです。それを僕らが以前にリリースした「mint vacation」という曲でやった時に、村山さんが、“それいいね”と言ってくれて。僕的には癖になってしまっていたので、いらないのかなとも思ってたんですけど、“それ久保田さん、いつもやってるよ”みたいに言ってくれて、“いいんだ”って受け入れられたところはありましたね。

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──Shoheiさんはブレスの時に発音される時もあって、すごくリズムエッセンスになっていますよね。

Shohei そうそう。リズムエッセンス、ゴーストノートみたいなやつを入れるというか。それは真似して練習して、体得していった感じですね。

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