すぅ、あいにゃん、ゆかるんの3人体制となって初のアルバム『TRIANGLE』をリリースしたSILENT SIREN。2年間の活動休止から復活した2024年以降、じっくりと制作された6年ぶりのアルバムは、サイサイらしいポップさを持ちつつ、ガールズバンドとして重ねてきた深みが感じられる12曲が収められた。
現在、産休/育休中のゆかるんの想いも背負い、サポート・メンバーとともに全16本のツアーを敢行している、すぅとあいにゃんに、アルバムの話、ツアーの手応えなどをたっぷりと聞いた、特大ボリュームのインタビューを前・後編の2回にわたってお届けする。
取材・文:藤井 徹(Vocal Magazine Web)
撮影:Kota Aoki
ライブで《ギター、すぅ!》って初めて言った(笑)。(あいにゃん)
──インタビュー後編はアルバム8曲目、「オンリーワン」からお聞きしましょう。
すぅ なんか、すごい昔の曲に感じちゃう。
あいにゃん 確かに。活動再開後の1枚目のEPなので、最近ではあるんですけど、ライブでけっこう定着してきてね、欠かせない曲になってきてる感じがします。
──めちゃくちゃキャッチーで、合いの手のコーラスも多いので、ライブで盛り上がる様子が想像できます。
すぅ どうなるかが見えてた曲っていう感じですね。
──とはいえ、実はリズムの裏拍をしっかり意識して歌わないと、わりとグダグダになっちゃう、リズムをシビアにやらないと決まらない感じの曲なのかなという気がしました。レコーディング前にリズムを身体に入れていくための準備はありました?
すぅ すごいタイトな曲なので、その音符の長さを入れるのは時間かかった記憶がありますね。長すぎても変だし、短すぎても違うし、楽器の音符の長さに合わせて歌うっていうのは、めっちゃ録り直した記憶があります。歌のニュアンスも大人っぽ過ぎず、この曲は昔のサイサイっぽさを出したかったので、ちょっと可愛げのある感じを思い出しながら録りました(笑)。
あいにゃん クボくんが最初にメロを作って、“この曲、めっちゃバズらせたい”って言ってたから、どうなるんだろうと思ったら、まさかの「オンリーワン」のこの歌詞。序盤で《ちょっと待て! お手!》って。“えっ!?”みたいな。新しいサイサイの歌詞ができて、すごく衝撃を受けたのを覚えてますね。
──この《待て! お手!》はアクセントが全部裏に入ってくるんですよね。
すぅ そうなんです。《待て! お手!》が裏拍で、すぐ次の《泣いて泣いて》が表拍なので、最初は忙しかったですね。やっていくと全然普通なんですけど、けっこうタイトなんで、馴染むまではすごい難しかったです。でも、ゆかるんが付けてくれた振り付けがあるおかげで、歌も《泣いて泣いて》って、やりやすいっていうイメージができちゃって。
あいにゃん 確かに。うちらも最近ようやく竿で上下に振り付けできるようになったくらいなんですけど、最初は本当に忙しすぎる曲なので、動けなかったよね。本当に演奏も歌も全部忙しい曲だなって。
すぅ Aメロは裏で《ンチャッチャ ンチャッチャ》ってリズムなんですけど、《いたいの いたいの》でけっこう変わるので、ギミック的にはすごい詰め込んだ楽曲です。ベースのスラップもあるしね。
あいにゃん そうだね。コピーし甲斐がある、歌い甲斐がある、やってみると意外と難しいっていう曲ですね。
──また、ギター・ソロらしいギターソロもあって、今の時代では、逆に新鮮だったりします。
すぅ 確かに! “クボ節”って感じですね。
あいにゃん あそこいいよね。私、実はこの間(のライブで)、《ギター、すぅ!》って初めて言った(笑)。
すぅ あ、“言ってんな!”って思ったの(笑)!!!
あいにゃん なんかここはやっぱり《ギター、すぅ!》だろうと思って言ってみたんですけど、お客さんがめっちゃ《オイ! オイ!》叫んでたから掻き消されたかなあって。
すぅ いや私、“言ってくれてる!”って思って。ニコニコしちゃった(笑)。
あいにゃん 初めて言ってみました(笑)。ここいいですよね、顔で弾いてそうですものね。
すぅ ハハハ。犬の顔をして弾いてるの(笑)。

──犬の顔ですか! 続いて「きゅぴきゅぴ」です。
すぅ 最近やってないなぁ。
あいにゃん ツアーではまだやってないですね。
──これもポップ&キュートで、サイサイの真骨頂とも言えるナンバーかと思います。だからこそ、過去曲も含めてライブの選曲で競争相手が多いんでしょうけどね。
あいにゃん そうですね。このポジションの曲って、どこに入れよう?って、いつも思います。
──歌い方としてはキャラボイスに近いスタイルかなと思いますが。
すぅ そうですね。わりとこういう歌詞のときはキャラっぽい感じというか、ちょっと可愛げのある感じにはしてます。
──声の出し方の意識としては、どこを変えているんですか?
すぅ 上のほうで歌ってますね。例えば「衝動」とかだと、本当に前(に出して歌う感じ)だけど、これはちょっと“うわの空”感というか、鼻にかかるまでは行かないですけど、いつもより2トーンくらい上げてるイメージですね。だからライブだと3トーン上がってるかもしれない。(実際に歌いながら)《とってもいい感じ》じゃなくて、(トーン上げて)《とっってぇもいい感じ!!!》くらい。
──文字では伝えづらいですが、すごくわかりやすかったです(笑)。
すぅ (読者へ)2トーン上げてるよ(笑)!
──なんとかニュアンスを感じ取っていただきたいところです(笑)。こういう可愛いタイプの曲を表現する際に、今のキャリアや人生経験があって、表現として変化した部分は自身で感じましたか? ちょっと俯瞰で見ているとか。
すぅ あ〜、確かに昔は“こういう風に歌いたいな”っていうのが言葉にできなかったというか、表現できなかったんですけど、今は“こういう風にしたいから、こうしてみよう”っていうチャレンジができるようになった。それは、自分たちの歌の特徴をちゃんと自分で理解できたのかなっていうのはありますね。サイサイの歌ってなにげに難しいんですけど、歌詞に対して、“自分の声質で歌ったら一番この曲が良く表現できるかな?”っていうのを考えながら、レコーディングやライブにトライしています。
あいにゃん この曲、すぅの中でだいぶ振り切ってる歌詞だなって。テンション感も含めて思いました。
すぅ ちょっとなんか懐かしいよね。
あいにゃん うん。《ひとくちサイズ愛なんてきっと》のところとか、平成でこういう曲があっても、なんか馴染むなってフレーズばかりで好きですね。すぅの振り切ってる曲もいいなって思います。
すぅ クボくんもディレクションを始めて16年目なので、ディレクションの仕方が変わってきてるんですよね。
あいにゃん “もっと振り切れ”みたいに言われたのって、これ?
すぅ あ、それは「オンリーワン」とかもそうなんだけど、“もっとぶりっ子していいよ、もっと可愛くていいよ”みたいな感じで、クボくんはディレクションがうまくなったというか(笑)。こういう風に言ったらテンションが上がるなとか、こういう風に表現したいんだろうなって、思っているけどできない私に対するアドバイスがすごい的確で。歌を録ってくれる人もすごい重要なんだなって思いました。自分が頑張ってやってる雰囲気でも、マイク越しに聴いたら全然テンションが低かったりすることもあるじゃないですか。なので自分が思ってるよりもふた回りぐらいオーバーにしたり、オーバーに抜いたりとかしないと、案外その表現ってそんなに出てこないものなんだなということがわかりました。
──音源作品ってそういう意味では難しいですよね。ライブだと視覚で補完するものがいっぱいあるじゃないですか。表情とか動きとか。
すぅ そうですよね。だからハッピーで喜んでて笑ってる曲は、ちゃんと笑ってないとその表現ができないなと思います。マジで超笑いながらレコーディングしてるので、顔がめっちゃ疲れるんですよ(笑)。でもクボくんに“もっとやれ、もっとやれ”と言われるから、“これ以上できないよ!!!”とか言って、たまにブチギレたりします(笑)。
あいにゃん 終わったときの達成感がヤバかったよね。粘ってたね〜。クボ・ディレクションによる指導が多い中でも、こういう曲調こそ、すぅは粘っているというか……。
すぅ “もっと行こう、もっと行こう”って言われるから。でも、ありがたいですね。勉強させてもらってます。









