バンド・ヴォーカリストのためのアーティキュレーション大作戦!【集中連載】『ロック・ヴォーカリスト“THE BIBLE”』Vol.4

文:本山nackeyナオト(SMDボーカル教室)

バンド・ヴォーカリストに必要なリハスタの知識(予約編)

リハスタって実際どんなところなんだろう?

 ヴォイス・トレーニングを行なったあとは、毎回恒例のバンドマンのための基礎知識のコーナーをお届けしよう。

 今回のテーマはリハーサルスタジオ、略してリハスタ。一般的にバンドの練習スタジオとして使われているけど、どんなスタジオを選べばいいのかなど、参考になることをレクチャーしよう。

 ちなみに筆者のリハスタはコチラ。
 リハーサルスタジオモンキーダンス:http://studiomonkeydance.com/

リハーサルって何?

 厳密に言うと、リハーサルはライブや演劇、イベント、またはテレビ・映画・ラジオなどの映像や音声を収録する前に主に行なわれるもの。PAセッティング、ライティング、舞台装置などを扱うスタッフと出演者とのやり取りや、実際の進行などを最終的に確認するものだ。

 ゲネプロは、本番直前の練習の通し稽古。本番のように練習するので、実際に公開されることもある。そのリハーサルやゲネプロを行なうスタジオをリハーサルスタジオと言うんだ。だけど、通常「リハスタとはバンドで練習するスタジオ」の解釈でいいだろう。リハスタという名称の他、音楽スタジオ、練習スタジオ、シンプルにスタジオなど、名称はさまざまだ。

初心者の方はここに注意

 スタジオと言ってもレコーディングをメインで行なうスタジオもあるし、撮影スタジオもある。また音楽スタジオでも、クラシックやピアノ専用スタジオや、機材を設置していないスタジオもあるので、予約の際には事前にホームページなどで忘れずに「バンド演奏ができる練習スタジオ」であることを確認しよう。

 初めてリハスタを選ぶときのポイント

 リハスタは全国にたくさんある。バンドでの音楽リハスタの選ぶポイントをレクチャーしよう。自分たちに合ったリハスタが見つかるといいね!

メンバー全員が通える場所にあるか?

 リハスタでは当然何回か練習することになる。そうなると自宅から近い、通学や通勤の途中駅にあるなど、通える範囲にあるのかはとても重要。メンバーもいるので、話し合いながら決めよう。
 また、ライブ当日の本番直前に入る場合は、会場から近いところのリハスタを調べておくといいだろう。ちなみに筆者のリハスタはライブハウス、西川口Hearts(https://hearts-web.net/hearts/)から車で3分の距離にある。

どんなところなのか?

 リハスタは、筆者のスタジオのように2階にあったり、どこかのビルに入っていたり、スタジオとライブ会場が一緒になっていたり、1階がCDショップで地下にリハスタがあったり、リハスタのみのビルだったり……本当にさまざまな場所にあるのだ。スタジオによっては、わかりづらい場所にあることも多い。初めてリハで訪れる前にはインターネットで住所などを調べておこう。

 最近では空気の換気や機材の消毒などをしっかりしているスタジオと、そうでもないスタジオもあるだろう。合わせて確認したい。ちなみに筆者のスタジオブースでは、全ルーム空気洗浄・換気できるエアコンに入れ替えた。https://www.ac.daikin.co.jp/roomaircon

どんな機材が置いてあるのか?

 バンドでのリハスタ使用の場合、どんな機材が置いてあるのかは、とても重要。機材は設置していないリハスタもある。また自分の機材を持ち込むことができるリハスタもあるし、持ち込みNGのリハスタもある。

 ほとんどのスタジオは機材を置いていると思うけど、年代や種類によっては、音のイメージが違ったり、使いづらかったりする。また、そのブースの状態によっても変わる。さらにバンドスタイルによっても音も変わってくるのが当然だけど、楽器をやっている人は、将来自分専用のアンプや機材を購入する際の参考に役立つだろう。

<筆者リハスタ使用機材>
●ギター・アンプ 
MARSHALL JCM900、ROLAND JAZZCHORUS-160、YAMAHA DG100、Fender The Twin
●ベース・アンプ
YAMAHA B100 III
●ドラムセット
TAMA ROCKSTAR-DX
●PA
ミキサー/YAMAHA EMX5014
モニタースピーカー/BOSE802
マイク/SHURE SM58×3

どんなルールがあるのか?

 リハスタによってルールは異なるけど、バンドでプレイする上での特殊な決まりがどこのスタジオにもある。会員制度のところもあるし、店頭でしか予約を受け付けない、金額や料金設定/キャンセルに関する取り決めなど、ホントにさまざまだ。

 土足NGのスタジオもある。“機材の持ち込みもできるのか? スタジオ内での飲食はOKなのか?”など、各リハスタによって異なるのだ。

 リハスタでは終了時間は厳守。5分前終了が基本だ。また機材は高価なもの。乱暴に扱い壊した場合は弁償をしてもらうというルールを定めているスタジオは多い。使用方法でわからないときは、自分たちだけで判断せず、必ずスタッフに聞くこと。すべてのバンドマンがお互いに気持ちよく使用できるよう、しっかりルールを確認&守って使用しよう。

どんなサービスがあるのか?

 リハスタによってサービスも異なる。ポイントカードのような制度があるところや、パック料金や長時間割引サービスなどを設定しているところも多い。また、ロビーなどでコーヒー無料のサービスをしているところもある。

 マイクとケーブルはスタジオに入る際、カゴに入れて渡してもらうことが多い。また、高価なマイクや楽器のレンタルサービスを行なっているスタジオもある。有料/無料などはスタジオや製品によって異なるので、ホームページなどで確認しておくと良いだろう。

 個人練習(ひとりや2人で練習すること)の料金は安く設定しているが、空いているときのみ予約を受け付けるスタジオが多いようだ。

 筆者のスタジオでは、スクールの生徒さんと一般の方では金額が異なる。生徒さんは、生徒価格でかなり安く借りることができる。

どんなスタジオがあるのか?

 スタジオの規模によって、部屋数や部屋の大きさが異なる。ビルがすべてスタジオのところもある。ひとりで練習できる専用のブースから、ライブができる大きさのリハスタまで、ホントさまざま。自分たちの目的に合ったリハスタを見つけよう。

どんなスタッフがいるのか?

 スタジオのスタッフは受付業務専用のスタッフからバリバリの現役プレイヤーなど、実にさまざま。雇用形態もバイトの方もいれば社員もいるし、筆者のような代表者や音楽講師もいる。その人柄や相性によっても、スタジオの印象も変わってくるだろう。

 プロデュースやライブハウスにブッキングしてくれたり、バンド活動をアドバイスしてくれるスタッフや店長もいるだろう。ちなみに筆者はコレ(連載)をやっている。実際に行ってみないとわからないけど、電話の対応や行ってみての印象でも変わるので、自分に合ったスタッフと巡り会えるといいね。

予約の仕方は?

 基本的にスタジオはどこも予約が必須。予約方法は電話が一番多いが、インターネットでの予約システムがあるリハスタもあるので、まずはググってみよう。

 キャンセルなどで当日でも空いている可能性もある。予約するときは「何人で使用するか、何時間使用するか、バンド練習で使えるか?」などを確認しよう。

 筆者スタジオの場合は電話で予約することが可能。0120-9482-88「連載記事読んでるよ!」のひと言で1時間無料(初回限定・2時間以上の利用に限ります)!

いくらで借りられるの?

 ほとんどが「1時間いくら」という形で貸しているが、地域、場所、部屋の大きさ、機材によっても料金は異なってくる。また、時間帯や土日・祝日によっても金額は変わることがある。個人練習だと1時間500円というスタジオもあれば、プロユーススタジオでは1時間5,000円というスタジオもある。

 ほとんどのリハスタが部屋単位の金額なので、何人で入っても1部屋の金額は同じところが多いだろう。例えば2,000円なら4人で割ればひとり500円で借りられることになる。ただ、ひとりあたりいくらと、個人練習用に別途金額を設定しているスタジオも多い。条件などはさまざまだ。

いかに練習するかでヴォーカリストの実力やバンドの能力は変わってくる

 バンド・ヴォーカリストは、バンドでの練習が最も大切で最も成長する。どんなに歌がうまくても、人間性が最低な人はバンドのヴォーカリストには決してなれない。そしてどんなに才能があろうと、練習していかないとセンスは磨かれない。

 プロ志向の方や趣味の方もいると思うけど、いかに練習をするのかで、ヴォーカリストとしての実力やバンドの能力は変わってくる。

 筆者はすべてのバンド・ヴォーカリストを尊敬する。ぜひ、あなたのヴォーカリストライフを満たすべく、バンドを組んでリハスタを探して練習してほしい。頑張ろうね、応援しています!

Vol.1〜Vol.3、Vol.5も合わせてチェック


プロフィール

本山nackeyナオト

埼玉県出身。
 これまで500ステージ以上のライブ、100曲以上のレコーディング、ロックから演歌まで幅広いレコーディングやステージングをディレクション。誰もが知っているビッグバンドやメガヒットアーティストなども含め、200以上のバンドをメジャーへとサポートした。

 1989年からSTUDIO monkeydance(スタジオモンキーダンス)を主宰し、自身のスクールでは常に100人以上在籍中。

 ヴォイストレーナーのほか、ヴォーカル講師、音楽ディレクター、音楽プロデューサー、セミナー講師、ラジオパーソナリティとして多方面に活躍中。テレビ埼玉(『ミュージックシティスペシャル』)定期的に出演。フジテレビ系(『スーパーミュージックジャム』) ほかにも日テレ、TBSテレビ、テレビ東京など出演。

 ヴォイストレーニングの指導には定評があり、これまで30年のボイストレーニング指導で延べ30,000人以上にかかわり、多くのプロ歌手やプロ音楽家、プロヴォイストレーナーを誕生させている。

SMDボーカル教室
http://smdvocal.com/index.html

所在地:埼玉県川口市西川口1-33-9 博宝堂ビル2F
TEL:0120-9482-88

ナッキー先生が、リットーミュージック「歌スク」の講師として参戦中!
https://uta-school.jp/teacher/detail/5

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