バンド・ヴォーカリストのためのアーティキュレーション大作戦!【集中連載】『ロック・ヴォーカリスト“THE BIBLE”』Vol.4

文:本山nackeyナオト(SMDボーカル教室)

おはようございます! ヴォイストレーナーの本山nackeyナオトです。生徒さんからは【ナッキー先生】と呼ばれています。

ロック・ヴォーカルには欠かせないハイトーンの発声。今日もついてきてくれよな!

今回のテーマは、アーティキュレーション!

 今日はヴォーカリストのためのアーティキュレーション(Articulation)レッスンだ。みんなからの要望が多いハイトーン発声には、実は滑舌や表情筋、舌筋なども大きく関係している。
 また、高い音を出そうとすると滑舌が悪くなるという方もいるのではないだろうか。原因は舌の筋肉(舌筋)や表情筋にあるかもしれない。声を発するからには当然「滑舌」の基礎的な知識は欲しいところだよね。

 学生さんはみんなの前で話したり発表したりするとき、社会人の方は大事なプレゼンのときに噛んでしまったり、何度も聞き返されたりしたことってないかな?
 滑舌の悪さで悩んでいる人は実はけっこう多いんだ。言葉を何回も聞き返されたり、滑舌が悪いばかりに好きな曲をうまく歌えなかったりすると、誰でもへこむよね。

 滑舌は少し練習するくらいじゃ、なかなか上達しない。何事もそうだけど毎日コツコツのトレーニングが必要だ。一緒に頑張って、楽しくボイトレしていこう!

アーティキュレーションって何?!

 一般的にアーティキュレーションとは、音と音のつなぎ目や切り方の表現の方法のことを言うのだけれど、ヴォーカリストの場合は他の楽器と違い、「滑舌」を意味する場合も多い。
 音の長さやバランスを整え、音と音のつながりにさまざまな強弱や表情をつけることで、メロディラインや旋律などに味付けをするスキルだ。

 スラー、スタッカート、レガート、テヌートなど、みんなも聞いたことがあるよね。
 ヴォーカル歌唱でも、他の楽器でもアーティキュレーションの知識やスキルが必要な場面がたくさん出てくる。また、たくさんの表現方法がある。これの組み合わせがあることによって音楽の幅、人間味、バンドの一体感、プロ感というものができてくるのだ。
 オリジナル楽曲でも、それぞれの音の区切り方や、つなぎ方に気を配ることで、曲に表情をつけたり、雰囲気を変えたりすることができるのだ。

ヴォーカリストのレガートとスタッカートについて知ろう

 【レガート】とは、ボウイング・タンギングせず、次の音となめらかにつなげて演奏すること。スタッカートの対になる発声だ。音符の長さを十分に保って歌うことを表わす。
 ボウイングとはヴァイオリン、ヴィオラなど、ヴァイオリン属の楽器での演奏で使うスキル。タンギングとは、リコーダー類での演奏の使用で使うスキルのこと。

 ヴォーカリストの場合は(レガート=テヌート=スラー)と考えてもらって大丈夫だ。

《レガートの効果》

 レガートはそれぞれの音をしっかりと強調することで、なめらかにメロディが聴こえる。特にアクセントを入れると聴いている人に強いメッセージ(伝えたいこと、訴えたいこと)を送ったり、気持ちを込めたりすることができるのだ。

動画①「レガートでの歌唱法・発声法」

動画①「レガートでの歌唱法・発声法」

 【スタッカート】とは音を短く切って歌うスキル。特に初期の場合の腹式呼吸の練習には最適の発声方法だ。筆者のスクールでは、音を短く切る長さの違いによって、以下の3種類のプログラムに分けている。

1:少し音を長めに切るメッゾスタッカート
2:中ぐらいのスタッカート
3:非常に短く切るスタッカーティシモ

 これもヴォーカリストの場合は感覚で大丈夫だ。

《スタッカートの効果》

 スタッカートは音の短さや歌う際のアタック(※音の出だし、音の立ち上がり)の強さによって、軽やかさや力強さ、激しさなど動的(※動きのあるさま、生き生きしているさま、力強く生き生きと躍動するさま)なニュアンス(※微妙な差異)を出すことができる。

 オリジナル楽曲のメロディラインを作る際には必要な知識だ。

動画②「スタッカートでの発声方法&腹式トレーニング」

動画②「スタッカートでの発声方法&腹式トレーニング」

 レガートとスタッカートの歌い分けによって生まれる表現の違いや、躍動感のニュアンスをしっかり出せるようになろう。

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