ヴォーカルテクニック&無敵のグルーヴ大作戦!【集中連載】『ロック・ヴォーカリスト“THE BIBLE”』Vol.5

文:本山nackeyナオト(SMDボーカル教室)

【フォール】って何?

 「しゃくり」が理解できたら「フォール」は簡単だね。「フォール」とは、「しゃくり」と真逆で、本来のメロディの音程から発声して、低い音へ移行していくヴォーカルテクニックだ。

 カラオケでは「⤵」こう表記されて、これも加点対象になる。

 「フォール」を意識して歌うことができると、そのメロディ部分の印象を強め、他と異なるイメージを演出できたり、個性的な(癖のある)歌い方にしたりできるのだ。感情表現も出しやすくなるし、抑揚を表現するうえで必須スキルと言えるだろう。

 これも「しゃくり」と同様、偶然できてしまう場合は、ピッチ(音感)が悪い証拠なので、イヤートレーニングをたくさん行なっていきたい。

  「しゃくり」と比べると「フォール」は正解の音程からフラットしていく、下に下げるテクニックなので、こちらのほうがラクにできる人も多いだろう。

動画②:簡単でわかりやすい「フォール」テクニック実践編

動画②:簡単でわかりやすい「フォール」テクニック実践編

 「しゃくり」もそうだが「フォール」は特に、回数が多すぎたりすると、あまり良くない印象を与えてしまう場合がある。
 ピッチが取れていない、安定して歌えていないという印象だ。聴く人に「ピッチが甘い」と認識されないように注意しよう。

フォールを使っている楽曲をチェック!

 この連載ではお馴染みだけど、LiSAは「しゃくり」も「フォール」も実例でとてもわかりやすいヴォーカリストだ。歌唱力のあるヴォーカリストは「しゃくり」も「フォール」もうまく、抑揚を見事に表現できるので、やはり必須のヴォーカルテクニックだよね。

 《自由を知った》の《しいいった》の歌い方は本当にわかりやすいと思う。

LiSA – 紅蓮華 / THE FIRST TAKE

 ONE OK ROCK の名曲「wherever you are」は、特にAメロとBメロで「フォール」テクニックを随所に使っている。また、Cメロの《二人》のところ、《ふたあり》の歌い方も、すごくわかりやすく参考になると思う。

wherever you are/ONE OK ROCK

最新情報

ヴォーカルや機材、ライブに関する最新情報をほぼ毎日更新!